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52話「船の墓場①」

横画面推奨

「ペンドラゴン、この艦の使用領域は何%なんだ?」

「20%未満ですね」

「80%近くは未使用領域か」

「使用領域って何よ?」

「俺達が普段から使っている区画が艦からしてみれば何%使っているのかという話だな」

「たった20%しか使っていないの?じゃあ、あと80%は何なの?」

「アダマンタイトの塊ですね」

「希少鉱石のアダマンタイトを使っているの?」

「外装に使われている金は1%未満です」

「それってどういう事?」

「この艦自体が何千億っていう値段なのよ」

「えぇ!?ワープ料金なんて余裕だね」

「確かに・・・だがここまでの量のアダマンタイトを確保するのは至難の業・・・手放す訳には行かない。ガンジ達が集めて出来た艦なのだからな」

「その通りですね」

「そういえばガンジという名前が出てくるけどどんな人?」

「前から気になっていたよ」

「そうですね。宙域まで到着する間に経緯を話したほうがよさそうですね」

「任せた」


ペンドラゴンが何故『地球』を目指しているのか、何故、アダマンタイト製の艦を所有しているのかを説明をした。


「うぇえええええ」

「なんて凄い人たちなのかしら」


俺達の世界で起きた千年前の話をしてキャメリアは涙を流して、リリィは感心していた。


「ガンジさんって方は偉大な人だったのね」

「我々はマスターを『地球』に送る事を目的に作られた存在です。マスターと共に歩み終わりを告げるまで尽くすのが使命なのです」

「まぁ、そんな訳だ」

「本当に出会えて良かったわ」

「目的の宙域に到着しました」


船の墓場と呼ばれてる宙域は宇宙デブリ等が他と比べて多く浮遊している宙域であった。


「むかし、ここで大規模戦争でもあったのだろう」


至るところに宇宙船の破片や部品が浮かんでいる事を見るに物凄い量の宇宙船が爆散したのだろう。


「レーダーに反応はあるか?」

「ありません」

「射撃艦船用の高周波レーダーに切り替えろ」

「宜しいので?」

「ここなら問題ないだろう」

「射撃艦船用の高周波レーダー行きます」


ピピピピピピピピピピピピ


周囲500km圏内に赤い点が現れた。


「敵情報が反映されました。直線距離にして約450kmに居ます」

「盛大なお迎えだ事」

「ひぇえええ」

「主力戦艦は何処にいる?」

「敵中央、最奥にて構えている模様」


ピピピピピピ


   

           戦

         重   重

        巡     巡

      軽軽       軽軽


賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊

賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊

賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊



どうやら俺たちの存在に気がついて待ち伏せをしている様だ。


「今回は偵察だった訳だが、奴らの統率力は其の辺とは違うようだ。一糸乱れのない艦隊運用を熟知しているな」

「どうするのよ」

「勝ち目なんて無いよ~」

「射程距離まで近づけ。右椀主砲5門を用意しろ」


ギュギュッ


ヘッドセットと右手側に手袋を嵌める。


「右椀部主砲用意します」


ゴゴゴゴゴゴッ


右側に展開された5門の主砲が腕として展開されていく。


「主砲発射まで5,4,3,2,1」

「魔力強化四段階」


シャァアアアアアアアアアア


砲門から五本の糸が射出し海賊船団に向けて発射された。


「斬鋼線」


宙域に浮かぶ大小のデブリを切り裂きながら五本の銀線は海賊船団に襲い掛かる。


シュォオンン


一瞬で通り過ぎて手元に戻ってくる。


ドドドドドドドドォオン


           戦

         重   重

        巡     巡

      軽軽       軽


賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊

賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊

賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊賊




海賊船数十隻と軽巡洋艦一隻が範囲内に入り一撃で爆散していった。


「魔力変換炉出力10%以下へ低下」

「コロニーに帰るぞ」

「針路変更します」


数十秒ほどの会戦であったが戦果は上げられた様だ。


・・・


・・・・・


バンッ


「説明して!」

「アレは何なの!」


コロニー内のハブリックスペースで2人に問い詰められる。


「たったの一撃で敵艦の数十隻が轟沈するなんて戦艦級レーザー砲並の威力じゃない」

「軽巡洋艦一隻も撃沈したんだよ」

「アレが俺達の主砲だ。まぁ、魔力は殆ど食われたがな」


最大射程50kmの糸を操作するのに魔力枯渇状態となり逃げ帰ってきたわけだ。


「物理攻撃じゃなかったの?」

「アレは物理のスキル攻撃だ」

「サラッと非常識的な発言ね。あんな長距離攻撃ができる生物はいないわよ」

「それを実現しているのがあの艦だ。スキル攻撃を拡大補助する役割も持っている」

「・・・それって魔導具の類って事?」

「魔導具に近い事はしている。規模はとんでもないがな」

「超大規模魔法だった感じだけど個人の魔力じゃ賄えないわよね?」

「魔力変換炉、古代竜の魔石2つから魔力を捻出しているんだ。あの一撃で使用した魔力は約500万だ」

「500万魔力!?」

「それって多いの?」

「多いって物じゃないわ。私の知っている限り人の持てる魔力は4桁が限界なのよ。それなのに7桁の魔力を使用したなんて」

「古代竜がどれほどの物か驚いただろう」

「倒したの?」

「1頭は俺とNALLシリーズでな。もう1頭は四大勇者達だ」

「勇者なんて私が居た世界には居なかったわよ」

「竜自体が?」

「竜はいたけど誰も倒せない種族として君臨しているわ。倒すには戦車とかを持っていかないと無理なくらい」

「なるほど」

「魔力じゃ攻撃力を上げることが出来てもどんな威力よ」

「あの主砲1つの攻撃力は27,540だな」


・オリハルコンストリング砲

 【古竜の爪】が取り付けられた糸使い専用武器。

 【オリハルコンの糸】によって糸の耐久力が増加する。

 【オリハルコン】で出来た砲身を持っている。

魔力消費が半減、糸の耐久値を増加

 射程距離500km。

 糸は最大5本まで操作可能である。

 攻撃力:27,540

 耐久値:78,400/78,400

装備可能職業:糸使い

 ランク:ワールド

品質:8



「スキル発動での攻撃力は619万6,500だ」

「600万!?」

「魔法銀・・・ミスリル以下は斬れる様に魔力を注いでいたからな」

「一撃でアレだけの数を沈められる事に合点が言ったわ」

「全く話について行けないよ~」

「非科学的な話よ。それが」

「魔力とか攻撃力とか?」

「そうね」

「何百万とか言っていたけど凄いの?」

「とてつもない数値よ。1人の生命体が出しちゃ駄目な数字だわ」

「実感が沸かないなぁ」

「戦艦級レーザー砲が湾曲して敵船団を薙ぎ払ったのと同じよ。射程距離500kmなんて・・・」

「わぁ~お」

「その常識外からの攻撃で海賊達も大慌てだったでしょうね」

「こういうのって無慈悲って言うんだっけ?」

「そんな生易しくないわ。圧倒的すぎて戦いにもならないわ」

「使いどころさえ間違えなければな」

「よぉ。方舟のぉ大戦果は聞いたぜ」


そこで「ロンギ」のヌス艦長が現れた。後ろにルーンが控えている。


「どんなマジックを使ったか知らねぇが海賊船数十隻に軽巡洋艦一隻を沈めて立派じゃねぇか」

「それはどうも」

「で、どうやった?あんな金ピカ艦で釣ったんか?」


どうやら海賊船を時間を掛けてチマチマ倒して最後に軽巡洋艦を沈めた戦略だと勘違いしている様だ。


「違うよ!」


キャメリアが反論する。


「キャメリア」

「あ、うん」


仲間でもない内から手の内を暴露するのは命取りとなる。


「企業秘密って事か。まぁ、なんでも良い。あれから考えたんだがお前さんのクエストに協力してやってもいいぜ」

「本当か?」

「ここじゃなんだ。会議室を使おうぜ」


俺達は会議室を借りて入っていく。


ドカッ


「数は少ねぇ事に関しては文句はあるが、お前さんの大戦果を聞いたら考え直さねぇとな」

「それで?」

「参加する事に決めたってわけだ。作戦はそっちに任せるが俺の所はプラズマイオン粒子砲の巡洋艦だ。維持費だって掛かる。報酬金額はこっちの方が多くても良いよな?」

「何言っているのかしら」

「報酬は平等だよ」

「うるせぇ!何も知らねぇ小娘どもは黙っていろ!!」

「報酬を融通しろと?」

「そうだ。そっちは軽巡洋艦でこっちは格上の巡洋艦だからな。艦長なら維持費や人件費だって多く掛かる事くらい分かるよな?」

「もう一組の「カナタ」に相談しないと承諾はできんぞ」

「B級、軽巡洋艦カナタが三組目か。あの船は戦闘向きじゃねぇぞ」

「あぁ。妨害工作の得意とする艦が必要と思ったからな」

「俺は好きじゃねぇな。ジャミング攻撃をして混乱している時を狙うやり方なんてな」

「これは小規模とは言え船団同士の戦いだ。姑息とか嫌いなんかで決めていいクエストじゃないだろう」

「ちっ。6:2:2でどうだ?」

「そっちが6、こっちとカナタで2の報酬か?」

「おうよ」

「俺達が主力艦隊を潰した場合は全部こっちに来るんだよな?」

「なに馬鹿な事を言ってやがる。全体の報酬の分配の話だろう」

「そっちはプラズマイオン粒子砲を撃たなかった場合でも報酬を分配するのか」

「こっちは前線で戦う艦だ。敵の意識を集めてんだから連携プレーの賜物になるんだよ」

「軽巡洋艦も前線に出る艦だが」

「海賊達側からしてみれば軽巡洋艦より巡洋艦を倒す方が優先順位が高いからな」

「今回の件で俺たちの艦が狙われる可能性は加味してないな?」

「軽巡洋艦を潰したからって調子に乗るなよ。こっちは参加してやるってんだ」

「カナタが来るまでこの話は進まないんだがな」

「あと1ヶ月後に戻ってくるって話だったな。それまでに決めておけよ」


そう言ってヌス艦長は出て行った。


「ヌス艦長は口は悪いですが腕は確かです。あまり喧嘩腰で話されない方がいいですよ」


副艦長のルーンが続いて出て行った。


「なによアレ」

「報酬のことばかりしか言わなかったねぇ」

「あんな奴は仲間にしないほうがいいわよ」

「私も同じ意見だよ」

「船団の一員として働いてもらえればいいさ」

「それで1ヶ月も待つ気?」

「カナタからは面会の了承を得ているからな」


・・・


・・・・・・


カナタの帰艦を待つあいだに近場のクエストを消費しつつ貢献度を少しでも上げていった。


『初めまして方舟の艦長アオイさん』

「カナタの艦長カンナギでいいか?」

「改めて軽巡洋艦カナタの艦長をしているカンナギですわ」

「女だったとは」


軽巡洋艦カナタの艦長はカンナギと名乗る豹族の獣人だった。


「あら?艦長が男ではないのは不満でしょうか?」

「いや、珍しく思っただけだ。艦長として優秀であれば性別は無用だろう?」

「そうね。一部の固い頭の人達を除いて私達女艦長はそこまで肩身が狭いわけじゃありませんもの」

「一定数はいるんだな?」

「それでも全体のごく僅かですわ」

「それで本題となるんだが」

「あの船の墓場に住む海賊船団の討伐をたったの三隻で挑むというお話ですわね。ハッキリ申し上げますが無謀だと思いますの。もっと人と船を集めないといけませんわ」

「ロンギの船長と同じことを言うんだな」

「向こうの軽巡洋艦一隻と数十の海賊船を沈没させた事は聞きましたわ。ですが、私達が参加する材料としては弱いですわ」

「ふむ。やはり戦力不足か」

「幾ら巡洋艦一隻と軽巡洋艦二隻でも向こうには戦艦まで健在ですのよ?」

「しかし、増員するにしたって俺達はつい半年前に着たばかりだ。他の団員については知らないんだ」

「アナタが望む船団としての基準は何ですの?」

「最低でも軽巡洋艦以上の戦力だ」

「高望みしすぎですわ。もっとランクの低い団員を誘ってみてはいかが?」

「報酬の事を考えれば分配は少ないほうが言いと思ってな」

「はぁ~、金色の死神が聞いて呆れますわね。報酬については確かに大事かもしれませんわ。ですが、命があってその価値が出てきますのよ。それと軽巡洋艦クラスの戦力を集めた所で分配報酬の配分は跳ね上がりますわ」

「どういう事だ」

「ランクの低い戦闘民間船であれば20~50人で動かせますが、軽巡洋艦クラスになりますと150~300人という人件費と維持費が掛かってしまいますの」

「カンナには何人のクルーが居るんだ?」

「大体で200人前後とだけ答えますわ」

「戦闘民間船四隻分か」

「ただ高威力の戦艦クラスを募っても全体に掛かる費用が馬鹿になりませんの。移動に掛かる燃料費、人件費、食費だけでもかなりの額になりますわ」

「戦闘民間船四隻を募った場合も同じだけの費用が掛かるだろう」

「その分、高速戦闘が可能な船でもありますの。私達の艦では低速戦闘がやっとの事ですわ」


50mと200mだと戦闘方法に違いがあり動き方が全然違う。

戦闘民間船だった頃は移動しながらの戦闘が可能だったが軽巡洋艦では方向転換するにしても遅いのだ。


「鈍足な私達だけですと海賊船に翻弄されて蜂の巣ですわ」

「その為のジャミング範囲が広い艦を選んだ」

「たとえ敵の動きを鈍らせた所で近づかれたおしまいですわ」

「そこで俺達の艦にある戦闘ドローンを使う。最大数500機による飽和攻撃を仕掛ける」

「・・・武装は何ですの?」

「旋回式のレーザー砲だ」

「標準的なドローン用の装備ですわね。しかし、500機も結構お持ちですわね」

「クラス5無人戦闘機・CT8-87352ソロゥ20機も投入する」

「私の艦に居ます戦闘機部隊と行動を共にすれば良いかしら?」

「無人だから連携は取れないぞ」

「その分、生存率が上がるならばウチの子達に任せますわ」


有人戦闘機で固めるより無人戦闘機などに混ぜておけば被弾率は下がると考えているのだろう。


「主砲10門とは大きく出ましたわね。こちらは2門ですわ」

「レールガン(超電磁砲)か」

「そもそもオリハルコンストレングス砲というのは聞いた事ありませんわ」

「コレが今回の戦果に繋がった主砲だ。あの時は5門による一撃で離脱した結果なんだがな」

「たったの一撃であの戦果ですか?にわかに信じられませんわ?」

「主砲を使う時こそが戦況が変る場面だ」

「ずいぶん自信がおありでこと・・・もし三隻でやるのでしたら私達は辞退させて貰いますわ。では、失礼あそばせ」


そう言い残し会議室を出て行く。


・・・


「どうだったのかしら?」

「戦力不足を指摘された」

「当たり前ね。この際報酬は考えないで勝利だけを考えるべきね」

「そうだよね。アオイはお金の事も入れているから行動範囲が狭くなっちゃうんだよ」

「艦長。キャメリア様とリリィ様の意見も聞き入れたほうが宜しいかと。お金は別の報酬でも手に入りますが貢献度は早々手に入りません」

「金は別で手に入れるか・・・」


ペンドラゴン達の訴えによって報酬金は二の次となり戦闘民間船のギルド員達とも手を組むことにする。


『こちらがアオイ様の仰られていた分野に精通するギルド員をリストアップしました』

「あぁ」


受付からデータを受け取り、ペンドラゴンと吟味しながら船のデータや戦歴等の項目を見て戦闘系、阻害系、電子戦系の3系統に分別して各分野10組み合計30の船長が集まってくれた。

ランクもD~Fまでとバラバラである。


・・・


大会議室に33組の艦長、副艦長、船長、副船長の合計66名が席に集まる。


「今日は俺の声によく集まってくれた」

『金色の死神といやぁ、ちっとは有名なギルド員だからよぉ』

『それにこんな晴れ舞台に呼ばれちまったら』

『応えねぇ訳がねぇな』

「そうか。初顔合わせとなるが今クエストの受注者である方舟の艦長を勤めているアオイだ。今回はよろしく頼む。こっちは副艦長のペンドラゴン」

「皆さん、よろしくお願いします」


少しザワめきが起こる。


「そしてコッチが巡洋艦」

「ロンギの艦長ヌスだ。よろしくなテメェら」

「私はロンギの副艦長ルーンと申します」

「更に軽巡洋艦」

「カナタの艦長カンナギですわ。皆さんよろしくお願いしますわ」

「カナタの副艦長ミコト。よろしく」


『「ロンギ」と「カナタ」か・・・どちらともBランクだ』

『それに加え、先日大戦果を上げたの金色の死神の二つ名を持つCランクの「方舟」だぜ』

『この戦い勝てるかもしれないな』


「ごほんっ。まずは他の艦長と副艦長から自己紹介をしてくれ。手短にな」


ガタッ


1時間程掛けて60名の自己紹介が終わる。


「まず、作戦だがこの布陣で行こうと思う」


ピッ


巨大な画面に布陣を描いたイラストが浮かび上がる。


          巡

         戦 戦

       戦戦   戦戦  

     戦戦       戦戦


          軽

         ジ ジ

       ジジ   ジジ

     ジジ       ジジ


          軽

    電           電

  電電             電電

電電                 電電


「最前線は巡洋艦ロンギを主とした戦闘民間船で奮闘してもらう。次に軽巡洋艦カナタを軸にしたジャミング部隊で敵の目を潰すか乱して貰う。最後に軽巡洋艦方舟を軸とした電子戦に特化した部隊で相手のシステムを乗っ取る。ジャミング中は俺たちにも少なからず影響があるからいつもとは違う動きになるが奮闘を祈る。大まかな流れはこんな形だ詳細は日を改めて各部隊毎で連携や行動を決めてもらう」


「ちょっと待て、俺の部隊にDランクが6、Eランクが2なのは良い。なぜFランクが2組みも混ざってやがる?」


ヌスが各グループの資料を見て口を出す。


「私の所にもFランクが2組いますわね?ご説明願えないかしら?」

「俺達の所にもFランク2組を入れている」

「6組もFランクがいやがるのか」

「私が申し上げたのは戦力であって足でまといでも数合わせでもありませんわよ?」

「なぜ、彼らを選んだかと言うと、この中で一番の船団戦を経験しているからだ」

「けっ、弱い者同士が集まってるだけだろうが」

「ロンギやカナタの戦歴も見させてもらったが船団戦での経験は数える程度、年に一回あるかどうか・・・彼らに比べて圧倒的に経験不足だ。俺も含めてな」

「俺達がFランクより下だと言いたいのかぁ?」

「経験が下だといっているんだ。戦闘分野、阻害分野、電子戦分野に分けての船団戦の作戦内容に俺は採用させてもらった。この作戦の基盤は君たちが作り出した物だ」

『そんな』

『僕達は本当に弱いだけで』

『互いに支えあって生きていくしかなかっただけだよ』

『皆が協力して』

『専門分野に分かれて』

『戦ってきただけなのに評価されるなんて』


6人の同じ顔が照れて笑う。


「よく見ると6つ子じゃねぇか」

「犬人族に見られる光景ですわね」

「彼らは犬人族、中でも連携力の長けたハウンド種のセリアンだ」


犬人や猫人族にも多数に渡って別れる種が存在する。


以前、アラムド連邦軍辺境駐屯基地所属、巡洋艦艦長のロロも同じ種であったな。


「ランクが下でもその連携力は俺を含んで誰もが経験していない程の努力がある。各種分野のノウハウを期待している」

『『『『『『はい!』』』』』』

「という事だ」

「つまり、戦闘についてはコイツ等から習えって事か?」

「ノウハウ等を貰えと言っているだけだ。矜持って物もあるだろう?」

「分かってるじゃねぇか」

「私は賛成致しますわ。ジャミング系の人達よろしくお願いしますわ」

「最後に分配方式だが全報酬を5:5で分ける。主力戦艦たる俺達三隻が5でお前たち三十隻で残りの5を分ける」

「なっ!?」

「本気で言っていますの!?」

「考え直せ。いいか、何度も言うが主力戦艦の維持費は馬鹿にならねぇって」

「行くのにも帰るのにも少なからず費用が掛かりますのよ。9:1が妥当でしょう」

「俺達三隻が3:3:3で残りが彼らの分か?」

「そうですわ。被弾数等も考えば200m級の大型戦艦はいい的ですもの」

「その為の分厚い耐ビームコーティング特殊鋼装甲板や対光学兵器防御膜バリアじゃないのか?もちろん、お前達の考えている事も理解している」

「報酬が少なすぎると言っていますわよ」

「全然理解していないじゃねぇか」

「だから、考えた末に出した結論は俺達の分は切り捨てた。お前たち二隻で25%を分け合え。残りの50%を三十隻、大体の1.6%の報酬だ。25%の報酬と1.6%の報酬どちらが優遇されているのか分かるか?」

「ぐっ・・・」

「それだとアナタが大損するだけじゃありませんの」

「俺たちの目指すのはAランクだ。貢献度か金かを天秤に掛けてこの結論に至った。そうだな、俺が欲しいと思っているのは敵戦艦の持つ原子炉A型2基と高速推進機A型2基に100cmレーザー単装2基40門の内数門手に入れば御の字だと考えている」

「・・・ちっ、俺が狙っていた奴だが言い返せねぇ」

「私も欲しいとは思っていましたが、その報酬で構いませんの?」

「金は他で稼げるが、この装備は狙いたいな」

「戦艦が爆散したら報酬0じゃねぇか」

「できるだけ戦艦は後に回してくれ」

「戦艦を最初に狙えるならそうしていますわ。まずは海賊船を倒す事が先決ですもの」

「とりあえず、以上で合同会議を終える。ここからは各分野に分かれて話し合ってもらいたい。では解散」


・・・


「では、僭越ながら我が電子戦の指揮を執るチャリオットと言う。よしなに」

『僕が副指揮を担当します。ルーカスの電子戦担当をやってますモクっていいます』


電子戦におけるエキスパート達が集まり会議を進める。


「まずは電子戦における基本的なところから足並みを揃えてもらうのである。互いに足りない部分を埋め合うが良い」

「では、シミュレーション戦を開始したいと思います。手元の端末で左右に分かれて電子戦をやって貰います。チャリオットさんが右翼軍、僕が左翼軍として分かれます」


同じ性能、同じ機種、同じ環境での電子戦で各個人の技量を浮き彫りにさせる。


ここは任せても良いだろう。


・・・


「俺が前線の指揮を勤めるヌスだ」

『僕が副指揮を務めるカーンの戦闘機総長のヤクです』

「俺等の役割は後ろの連中の盾になる事だ。その為に一機でも抜かすんじゃねぇぞ」


ここは超大会議室であり。戦闘機乗りが各船から集まっている総勢300人超えのパイロット達がいる。


「後方の船からも幾人か出てもらっていますが、クラス3戦闘機が主力となります。クラス4や5の戦闘機ですと場を混乱する原因となりますので後方部隊の護衛が主な任務です」


クラス3戦闘機パイロット、クラス4,5戦闘機パイロットと別れる。


比率にして2:5:3と言った所だ。


クラス3戦闘機は中々手に入らない物だからな。


「で、なんでお前が居るんだ?」


ヌスが俺に話しかけてくる。


「俺もパイロットの端くれだしな」

「お前は艦長だろう?旗艦が方舟じゃねぇか」

「それは副艦長のペンドラゴンの役目だ。俺はお飾りなだけだ」

「にしては度胸もある、力もある、人を纏めあげるカリスマもあるじゃねぇか。つか、前線に出てくんじゃねぇよ」

「艦長がパイロットとなって前線にでてきて何がおかしい?」

「艦長が戦闘機乗りなんて話聞いた事ねぇぞ」

「それはアンタの常識だろう。それに俺が居ない所であいつらなら上手く回せるさ」


NALLシリーズは優秀すぎるから一時的に俺がいなくなっても問題ないだろう。


「ちっ。お前の乗る戦闘機は?」

「クラス5戦闘機・CTL-40165リィンカーンだ」

「CTL-40165・・・こいつぁ」


ヌスが端末を見て呟く。


「こんな骨董品で戦うつもりかよ」

「骨董品?」

「リィンカーンは約1000年前に設計された機体だ。クラス5なんかじゃねぇ、クラス15戦闘機だ。よく持っているな」

「15世代前の戦闘機だったのか?」

「動くだけで凄いといえるが博物館に飾ったほうが良いレベルだな」

「今のクラス5戦闘機のスペックはどんな感じだ?」

「最低でもこのスペックがねぇとな」


□基本性能

  機名:CT8-87352ソロゥ

  機種:クラス5戦闘機

  艦体:全長10m(飛行機型) 

  主機:動力炉F型2基 推進機F型1基

最高速度:1.6コイル

  補機:なし

  兵装:旋回式のレーザー砲2門、追尾型ミサイル2門(10発)、回転式20cmバルカン砲2門

  防御:合金装甲版

     対光学兵器防御膜シールドF型

特殊兵装:モーションキャンセラー


「ソロゥなら俺ももっているぞ」

「持っているならソッチを使いな」

「リィンカーンは古いから乗るなってことか?」

「動くだけマシな方だ。だが戦闘向きじゃねぇ事は確かだ」

「ここのコロニーにはそういった武装も売っているのか?」

「もちろん、売っているぜ。なにせ中継地点でもある此処には何でも揃うからな。安全地帯でもあるし工房もいくつもある」


コロニー自体には殆ど足を踏み入れていない。


「お前さんが欲しがっていた原子炉A型も売ってやがるがバカ高ぇ。100億とか俺達じゃ破綻しちまう」

「なるほど。後で改造を施しておくか」

「そんなに思い出深い戦闘機なのか?」

「古い知人から受け継いだ戦闘機だ。現役で戦ってくれている」

「一度拝んでみたいものだぜ。この戦いが終わったら見せろ」

「戦闘中に見れるだろうさ」

「本当に何考ええいる分かんねぇな」

「ヌス艦長、お話が」

「あぁ。今行く」


最初は悪印象だが話してみると世話好きのオッサンだな。


「アルテミス、リィンカーンだが今の時代じゃ古い戦闘機らしい。最低でもクラス5戦闘機と同じスペックまで改造を施しておいてくれ」

「畏まりました」


通信機にてアルテミスに指示をだす。


・・・


「換装が早いな」

「基本的な構造は昔も今も変わり無いので装備を換装するだけでした。いくらか出費してしまいましたが宜しかったでしょうか?」

「何も言われないなら構わない。リィンカーン、調子はどうだ?」

《機械の私には調子が悪くなることはありませんよ。艦長》

「新しい武装はどうだ?」

《艦長の心遣い感謝致します。リィンカーンのサポートシステムとして恥ずかしくない様に致します》

「で、アレがソロゥの残骸か」


戦闘中に破壊されたソロゥの残骸を回収していた為、使える部品類をリィンカーンに載せ替えただけで費用はあまり掛からなかった様だ。


「残ったの物は鉄くずとして出します」

「売れるのか?」

「戦闘機などに再利用される訳ではなく日用品の原料にもなるみたいです」

「そっちへ流れるのか」

「レア金属などは一箇所に集めて備蓄しています」


どんな機械だとしても希少金属が使われている。


□基本性能

  機名:CTL-40165リィンカーン

  機種:クラス15戦闘機

  艦体:全長10m(飛行機型) 

  主機:動力炉F型4基 推進機F型4基

最高速度:12.8コイル

  補機:なし

  兵装:旋回式のレーザー砲、追尾型ミサイル4門(20発)、回転式20cmバルカン砲1門 

  防御:オリハルコン装甲版

     対光学兵器防御膜シールドC型

特殊兵装:モーションキャンセラー、サポートAIシステム、ガントレットアーム



「クラス5の性能か?」

「艦長の乗る機体ですので必要経費ギリギリで作り替えました。スペック的にクラス3以上かと」

「クラス3戦闘機のスペックは?」

「こちらです」


□基本性能

  機名:SLC-78942バーン

  機種:クラス3戦闘機

  艦体:全長10m(飛行機型) 

  主機:動力炉E型2基 推進機E型2基

最高速度:4.6コイル

  補機:なし

  兵装:旋回式のレーザー砲、追尾型ミサイル2門(10発)、回転式20cmバルカン砲2門 

  防御:合金装甲版

     対光学兵器防御膜シールドD型

特殊兵装:モーションキャンセラー


「速度が段違いなんだが・・・」

「サポートAIシステム前提で超高速戦闘機として作り替えました」

《操縦は私に任せてください。大まかな指示を頂ければ最善のルートでいきます》

「早すぎて撃てないだろう?」


高速戦闘における優位はなにも速さで決まるものじゃない。

同速度での戦いで決まるのが鉄則だ。


「まぁ、これなら誰からも言われないだろう」

「艦長、こちらが前線部隊の大まかな配置図です。後方支援戦闘機はジャミング部隊の護衛として散らばる模様」

「他の部隊はどうしている?」

「カンナギ艦長率いるジャミング部隊は再編成を繰り返して微調整中。前線部隊はヌス艦長の指導の元で連携訓練をしています。電子戦部隊はチャリオットとモク様とキャメリア様によって指導しています」

「キャメリアが指導する側なのか?」

「艦長、キャメリア様はここ数年間で電子戦における腕を伸ばしてきました」

「俺とリリィは殆ど草原部屋に居たからな」


日本旅館を作り出した部屋をそう呼んでいる。


「よくご覧になって評価してあげてください」

「あぁ。わかった」


キャメリアとの接触が少なかったから評価が見誤っていたようだ。

お疲れ様でした。

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