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34話「目覚め」

新章が始まりました。


チュンチュンッ


小鳥のさえずる声で俺の意識は浮上してきた。


まぶたを貫通した光でより一層と覚醒する。


スゥ


ここは?


想像していた天井とは違い、木造の天井であった。


「うぐっ」


体を動かそうにも全身が痛みで全くと言って動かない。


ガチャッ


俺が寝ている足側から扉の開く音が聞こえる。


トットットト


パシャパシャっ


『おっとと』


随分高い声の人物が俺の横へと何かを持ってやってきた。


ピタッ


で、俺と目が合うわけだ。


『あ、ぅ』


トッ


タッタッタタッ


バタンッ


栗色の髪の毛を持つ少女が何かを床に置いて去っていってしまった。


むぅ・・


俺の目付きが悪いせいか・・・


ガチャッ


『おかーさん』

『あらあら、急がなくてもいいのよぉ』


少し待っていたら少女と大人の女性がやってきた。


『目が覚めたんですね』


少女と同じ栗色の髪を持つ女性が優しく話しかけた。


ここは?


パクパクパク


俺は声を口に出そうとしたが声として出なかった。


「うぐっ」


また、体中の痛みで呻く。


『無理をなさらず。アナタは3日前、大雨の時崖から転げ落ちてきたのを娘が見たのです。生きているのが不思議なくらいなのですよ』


俺は3日間眠りっぱなしになっていたのか・・・・3日間!?


「ぐがっ」


また激痛が襲う。


『目が覚めたという事は食事ができそうですね』

『私も手伝う』

『少し待っていてください。食べやすいスープでも用意しますね』


バタンッ


2人は部屋を出ていった。


俺が目覚めるまでたったの3日間?


少なくても2年以上寝ていたはずだ。


キョロキョロ


頭も動かせないが視線だけは動かして周囲を見る。


木造の屋根の他に、机らしき物や棚のような物だけが映る。


本当にここは病院なのか?


確かGMは自宅から病院に搬送して医療施設で保持してくれている筈だ。


崖から転げ落ちるなんて事はありえないだろう・・・


なによりもあの女性とその子供は日本語を話していた・・・外見からして2人共外国人だ、あんな流暢に日本語が話せるなんてかなりの時間が必要な筈。


疑問が疑問を呼ぶな・・・


ガチャッ


『おまたせしました。大したものは出せませんが・・・』


女性が木の器を持ってやってくる。


「う、あ」


殆どうめき声しか出せない。


『ゆっくり飲んでください』


木のスプーンでスープを掬い俺の口に運んでくれる。


ズズッ


薄い・・・


第一印象はそう感じた。

塩気をまったく感じず、溶け込んだ野菜その物の味がした。


だが、ゲーム内ではなくリアルで久しぶりに食べる食事に嬉しさがこみ上げた。


『あらあら、涙を流すほどの物ではないですよ』


女性は困ったように呟く。


・・・


『お皿が空になりましたね。アナタが回復してからもっと話しましょう』


女性は部屋を出ていく。


・・・・・・


・・・



zzZ


腹が満たされて眠りに自然と付いた。


パチッ


唐突に尿意を催し目が覚めた。


「うぐぅ」


体を動かした事により、激痛で悶える。


『ど、どうしたの!?』


ちょうど俺の額にタオルを替えに来ていたのか少女が心配そうに声をかけてきた。


「あ、うぐ」


が、呻くことしか出来ない。


タッタタタッ


少女は俺の異変に母親を呼びに向かったようだ。


バタバタタッ


『あらあら、どうしたのですか?む~』


女性は人差し指を頬に当てる可愛らしい仕草をして俺を観察する。


『あ、なるほど』


女性が近づき俺に覆いかぶさっている布団を剥がすと俺の背中と膝裏に腕を通した。


いや、そんな華奢な体で俺を持ち上げ


フワッ


上がるんかい!


どんだけの腕力だよ。


いや、待て・・・俺のリアルでの身長は175オーバーだぞ、体重も70近くだ・・・持ち上がったとしても色々おかしい・・・


『トイレに行きたいらしいから、扉を開けてちょうだい』

『はーい』


女性の両腕が塞がっている為、少女が部屋の扉を開ける。


さらに歩きトイレの扉を開けてくれる。


カッ


なぜ、外?


太陽光が眩しい外へと出ていく。


トレイに行くんじゃないのか?


『さ、ここがトイレよ』


と案内されたのは小さな小屋に奥が見えない程の深い穴があいている場所。


ボットン便所?


なんて時代遅れなんだ・・・せめて水洗和式だろ。


『と言っても体が動かせないから手伝うわ』


ゴソゴソ


女性は俺の抱え方を変えてズボンや下着を器用に脱がせにかかる。


ちょっ!?


ん?


まて、この体はなんだ?


視線が変わって自身の体を見下ろせる状態になって違う事に気になった。


170オーバーの体だと思っていたがどう見ても小学生低学年レベルの体だった。


『はい、終わりましたよ』


と考えている間に体は事を済ませていた。


また、運ばれて寝かされる。


・・・


・・・・・・


どうやら俺はログアウトできたとは思えない。


たしかにゲームオーバーの文字は見たのだから目覚めるはずだった。


が、今の状況は違う。


病院ではなく民家で目覚め、体は小学生レベル、世話をしてくれる人は日本語が流暢な外国人だ。

文化レベルも日本で言えば江戸時代よりも前と言ってもいい。例えここが日本の江戸時代よりも前だったとしても南蛮人と呼ばれていた外人が住める訳ない。

話によると、この家には女性と少女だけで暮らしているらしい。

女性の名前はアンナ、少女はマリ。

それくらいしか教えてくれなかった。


ググッ


ここ3日間看病してもらい大分体が動けるようになった。


上半身を起き上がらせて周囲を見るとベット、椅子、机、棚くらいしかない簡素な家具しかない。


グッ


っ!?


ベットから立とうとしても両足は未だに激痛で立てない。


アンナいわく、骨折しているんじゃないかと言う話だ。


両足は添え木と布で簡素な物で固定している。


崖から落ちたときにできた傷は塗り薬で殆ど回復している。


何かあれば机に置いてある木端を打ち鳴らして欲しいとの事。


といってもトイレくらいしか呼び出す動機はない。


既に何度もお世話になっていて何故か慣れた?


すこし恥ずかしいという気持ちもあるが、体が小学生だからなのだろうか?


「一体、ここは何処だ?」


お、喋れた。


今まで呻く事しか出来なかったからな。

これで会話できる。


・・・


『食事よ』

「アンナさん」

『あらあら、喋れるようになったのね。でも・・・』

「ここは何処だ?」

『ごめんなさい、アナタの言っている事は分からないの』


な・・んだと!?


『この国・・・いえ、もっと遠いところから来たのね。私達の使うヒメリア語とは違うもの』


じゃぁ、なんで理解できているんだ?


『魔道具の中に翻訳する物もあるらしいのだけれど、小さな村じゃ愚か私達には買えないわ』


魔道具・・・つまり、地球でも無い発言だろ。


「ステータス!」


ブゥン


【ステータス】

 名前:アオイ

 種族:ヒューマン

 レベル:1

 職業①:傀儡師(Lv1)

 職業②:裁縫師(Lv5)

 体力:5,420/5,420

 魔力:4,282/4,282

 攻撃力:983

 防御力:914(+3)

 状態:健康

 称号:なし

 ランク:?


【装備】

 頭:なし

 体:麻の服

 腰:麻の服

 足:麻布の靴

 背中:なし

 右手:なし

 左手:なし


【ファッション】

 頭:なし

 首:なし

 指:なし



【傀儡師スキル(Lv1)】

 ・糸拘束術一式(LvMAX) [魔力-1]

 ・糸防御術一式(LvMAX)    [魔力-2]

 ・引き寄せ(LvMAX)       [魔力-5]

 ・魔力操作(LvMAX)    [魔力-1/1s]

 ・観察(LvMAX)        [アクティブ]

 ・鷹の目(LvMAX)    [魔力-5/1s]

 ・二連脚(LvMAX)    [魔力-2]

 ・乗馬(LvMAX) 

 ・右腕操術(LvMAX)      [魔力-1]

 ・左腕操術(LvMAX)      [魔力-1]

 ・胴体操術(LvMAX)      [魔力-1]

 ・右脚操術(LvMAX)      [魔力-1]

 ・左脚操術(LvMAX)      [魔力-1] 



 ・糸拘束術二式(LvMAX)   [魔力-5]

 ・糸防御術二式(LvMAX)   [魔力-5]

 ・多重操糸術(LvMAX)    [魔力-2]

 ・操糸(LvMAX)      [魔力-2/1s]

 ・切り離し(LvMAX)    [魔力-1]

 ・斬糸(LvMAX)       [魔力-10]

 ・ワイヤーネット(LvMAX)   [魔力-10]

 ・ワイヤーロード(LvMAX)   [魔力-10]

 ・アンカー(LvMAX)   [魔力-5]

 ・落とし糸(LvMAX)   [魔力-2]

 ・三連脚(LvMAX)    [魔力-3]

 ・誘導(LvMAX)      [魔力-10]

 ・囮糸(Lv15)       [魔力-10]

 ・盗聴糸(Lv15)     [魔力-10]

 ・注視(LvMAX)         [アクティブ]

 ・遠視(LvMAX)      [魔力-10/1s]

 ・マクロ人形操作(LvMAX)   [魔力-10]

 ・マリオネット(LvMAX)    [魔力-50]


 ・鑑定(LvMAX)         [アクティブ]

 ・千里眼(Lv15)     [魔力-15/1s]

 ・糸拘束術三式(LvMAX)   [魔力-10] 

 ・糸防御術三式(LvMAX)   [魔力-15]  

 ・斬鋼線(LvMAX)     [魔力-15]

 ・自立戦闘(LvMAX)      [魔力-50]

 ・自立化(LvMAX)      [魔力-50] 


 ・看破(LvMAX)      [魔力-100]


【裁縫師スキル(Lv5)】

 ・魔力糸(LvMAX)       [魔力-2]


【種族スキル】

 ・駿馬

 ・インベントリ(Lv7)

 ・日本語(Lv10)

 ・ヒメリア語(Lv1)


あった、【ヒメリア語】・・・コレがあるから理解できたのか?


『??』


俺の行動にアンナは不思議がる。


俺のステータス画面は他人には見れないようだ。


つーか、まだ続いていたのかよ。


ここがゲーム?


全部が全部リアルだろ。


確かにゲーム時は大幅アップデートを繰り返してリアル化が行われていたがあの時でさえゲームだという認識が抜け切れない物があった。

だが、ここはどうだ?ゲームと言い切れるとは思えない場所だ。


『とにかく食事にしましょう』


相手が何を言っているのか理解できるなら今はコレで良しとしよう。


食後、アンナから意思疎通をしたいと申し出された。


『私が何をいっているか理解できますか?分かっている場合は首を1回縦に振って下さい』


コクリ


『それなら良かったわ。アナタの言っている事は分からないけれど、私達の言葉が通じているのですから』

「アオイ」

『それがアナタの名前ね。答えられるなら答えて欲しいのだけどアオイは何処から来たのかしら?』


フルフル


『分からないのね?』


コクリ


『ここはルネという村ですよ。マリス王国のトランブル領にあります』


アンナはマリス王国と周辺国について話してくれた。

マリス王国より南側に位置するウリス王国、西側に位置するミリス王国、南西に位置するネリス王国が隣接する。

マリス、ウリス、ミリス、ネリスの四大国は不可侵条約及び互いに協力し合う国である。通称四連盟。

遥か昔に四人の勇者が魔王を倒し各自で国を作り出されたのが始まりだそうだ。

剣の国マリス・拳の国ウリス・賢の国ミリス・癒の国ネリスとも呼ばれている。

四連盟に敵対している国はテンペスト帝国と呼ばれる強大な帝国であり数十年に一度戦争が行われる。

四連盟は互いに兵力等を出し合って均衡を保たせている。それほど帝国は広大な土地を持っている。

この五ヵ国の共通言語がヒメリア語だそうだ。


つい数年前までその戦争があり両陣営共疲弊している為、食事等が貧相になっているそうだ。


逆に考えれば数十年は戦争が起こらないと言うことだ。


何故、こっちの陣営と広大な土地を持つアッチの陣営が均衡を保てているのかと言うと魔素の多いこの地で生きていくと自然とレベル差が出るから数千程度の差であれば問題無いそうだ。


というか村人がそんな軍事情報を持っている事が驚きなんだがな。


・・・


それから1ヶ月の月日が流れた。


「ほっほっほっ」

「アオイ兄ちゃん、朝ごはんだよ」

「あぁ」


俺の体は回復し運動することも可能となった。

1ヶ月の間でアンナとマリの会話を聞いていた為、ヒメリア語がLv2となり会話が成立できるようになった。

今は早朝のランニングをしてリハビリをしている所だった。


朝食はいつも通り野菜スープに硬い黒パンだ。

白くて柔らかいパンは貴族たちが食べる物だと教わった。


「体の調子はどうでしょう?」

「大分動き回れるようになった。ありがとう」

「いえいえ」

「アオイ兄ちゃん、またパンのカスがくっ付いているよ」

「あらあら」

「ん」


黒パンは硬く、ボロボロとパンくずが落ちてしまう。

だからスープに浸して食べているわけだ。


「何か手伝う事ないか?」

「そうですね。私達と薬草でも摘みましょうか?」

「ソレがいいよ」


この家は代々から調薬師を受け継いでおり薬師として村に住んでいる。

村人の何人かが薬を貰いに来る所をみると無くてはならない一家のようだ。

薬の提供の変わりに食料を貰っているようだ。

娘のマリも調薬師見習いでアンナと共に森の浅い所へと入って薬草摂りに勤しんでいる。


「それでは、行きますよ」


アンナに連れられて、俺たちは森へと立ち入る。


【鑑定】

 名前:アンナ

 レベル:15

 種族:ヒューマン

 職業:薬剤師(Lv8)

 体力:275/275

 魔力:197/197

 状態:健康


【鑑定】

 名前:マリ

 レベル:5

 種族:ヒューマン

 職業:薬剤師見習い(Lv2)

 体力:141/141

 魔力:83/83

 状態:健康


鑑定で2人のステータスを見る。


これが村人としてのスペックの様だ。


一応、アンナは背負カゴの他に鉄製のナイフを持っているが、ゴブリンと出会った場合は大丈夫だろうか?


森の浅瀬にはモンスターが滅多に出ないらしい。


・ヨクナール草

 体力を微回復(1)

 普通の緑色の葉。葉のギザギザが8つある。

 ランク:ノーマル

 品質:1

 CT:5秒


パサッ


パサッ


群生地につき俺達は互いに見える位置に居る状態を保って採取に勤しむ。


「休憩にしましょうか」

「わーい」


群生地から離れた場所に移動をして川へと移動する。

昼食という概念が無い為、川で喉を潤す位の休憩のみだ。


「う~ん。これは毒草ですよ」

「えぇ~どう違うの~?」

「この紫色の線が3本入っている葉が毒だと見分けるものなのですよ。ちゃんと教えたはずですよ?」

「う~ん。似てて分かんないよぉ」


アンナはマリの採取したカゴから一つつづ検分している。

時折薬草以外の物を取り除いている。

モチロン何が違うのか何度も言い聞かせていた。


「アオイは全部薬草ですね」

「アオイ兄ちゃんすごーい」

「まぁな」


イロハに付き合って薬草採取系は呆れるほど行ったから見飽きている。

自動的に鑑定が発動して答えを出してくれるが一目見ただけで見分けられるくらいだ。


「もしかして鑑定持ちだったりしませんか?」


ギクリ


「何の事だ?」

「まぁ、ありえませんね」

「おかーさん。かんてーもちって?」

「鑑定持ちというのは少数の人が持つスキルの1つです。その効力はアイテムが何なんのか見通せせる素晴らしいスキルなのです」

「スキル?私も持っているの?」

「スキル持ちは滅多に現れませんよ。もちろん私もマリも持っていません」


「看破」


【看破】

 名前:アンナ

 レベル:15

 種族:ヒューマン

 職業:薬剤師(Lv8)

 体力:310/310

 魔力:232/232

 攻撃力:51(+4)

 防御力:37(+3)

 各種装備品:鉄のナイフ、麻の服、麻のスカート、革靴、背おいカゴ

 所有スキル:注視、跳躍

 状態:健康


【看破】

 名前:マリ

 レベル:5

 種族:ヒューマン

 職業:薬剤師見習い(Lv2)

 体力:141/141

 魔力:83/83

 攻撃力:15

 防御力:11(+3)

 各種装備品:麻の服、麻のスカート、革靴、背おいカゴ

 所有スキル:注視、ウォタ

 状態:健康


ん?


2人供スキルを持っている様だが気づいていないのか?


どう判断して良いか分からないな。


「スキル持ちとか分かるのか?」

「あらあら、『禊の儀』を受けた事がないのですか?」

「禊の儀?」

「子供は7歳になると、近くの街へ向かい協会にてスキル持ちかどうかを見る為の儀式をするのです」

「スキルを持っていた場合はどうなるんだ?」

「スキル内容によります。希少スキル持ちなら国が黙っていないでしょう」

「その場合親とかどうなるんだ?」

「両親共に王都に向かうことになります」

「その両親が村や街に欠かせなかった場合は?」

「子供だけを引き取りますね」

「それで良いのか?」

「やむを得ない事情というのがあります」

「そうか」

「さて、薬草採取に戻りますよ。マリには難しい話ですからね」


フシュゥウウ


マリの頭から蒸気らしき物が出ていた。


「だな」


再び薬草採取して俺達は家へともどる。


プチプチプチ


今まで入れてもらえなかった部屋に入りソコが薬を調合する部屋だと分かった。


俺とマリは薬草を茎から葉っぱに分離する作業を手伝っている。


「なるべく間隔をあけて置くのですよ」


大きな使い古された布の上に俺達は葉っぱを置く作業を延々と続けていく。


乾燥させるには密集しているよりバラバラの方が乾きやすいと説明があった。


ゴリゴリ


アンナは俺達の様子を見ながら、手では乾燥した薬草を薬研やげんで粉末に挽いている。


・薬草の粉薬

 最も簡単に作れる薬。

 対象の総体力を3%回復する。

 ランク:クリエイト

 品質:2

 CT:10秒


鑑定がアンナの作っている薬を判別する。


「それは?」

「最も簡単な薬ですよ。乾燥させた薬草を粉にするだけで薬になるのですから」

「どんな時に使うんだ?」

「料理中や作業中に切り傷を作ってしまった時ですね。あと頭痛を和らげる効果がありますよ」


小さな怪我に使用する粉薬というわけか。


「ポーションとかは作らないのか?」

「あらあら、ポーションの製薬は国の機密ですよ」

「そうなのか?」

「私達薬剤師は傷を癒す効果を持つ薬しか作ることは許されていませんよ。国の許可を持つ調薬師がようやくポーション以上の制作が可能になるのです」

「非効率的だな。広い範囲にポーション制作者が居れば効率的だろう?」

「色々事情があります。ポーションと言えども万能ではありません。飲めば即回復すると過信してしまう者が続出します」

「戦争時なんか怪我人だらけだろう?ポーションで回復とか図らないのか?」

「その場合は各国の調薬師が集まり製薬します」

「人が足りないだろう?」

「癒しの国の神官達が総動員して動くので間に合うそうですよ」

「なるほど」

「だから、薬剤師は粉薬まで許されているのです。一般的に怪我をするとしても切り傷程度が多いのですから」

「狩りで生計を立てている人が事故で骨折したどうするんだ?薬で間に合うのか?」

「間に合いません。完治するまで待ちます」

「それじゃ、その人はどうするんだ?」

「村によりますが、その間は周囲の村人達で支えあいますね」

「ポーション制作が許されていればそういった事はなくなるのにな?」

「世知辛い世の中なんですよ」

「じゃあ、薬剤師が居ない村はどうするんだ?」

「居る村にいって分けてもらいます。私の所にも隣村やさらに山向こうの村から来た人もいますよ」

「毒になったら間に合わないんじゃないか?」

「そうそう毒になる人はいません。万が一の場合に備えて毒になった場合の薬を各村の村長が常備していますよ」

「なるほど」

「仕事に戻りますよ」


この会話をしながらアンナと俺は手元は止めずに動いていた。

マリだけが黙々と仕事をしていただけであった・・・


結局、ここはどういった所なのか未だに分からない訳だがその内わかるだろう・・・

お疲れ様でした。

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