28話「フィフス-二次職③」
≪人形使いのレベルが20になりました≫
子供マネキンを修復してもらい訓練する事、一週間が過ぎ人形使いのレベルが20に達した。
時折実践をしたからレベルアップが早かったのだろう。
「遂に大人サイズを渡す時が来たようだね。最高傑作を用意させて貰ったよ」
ダビットソンに連絡を取り大人サイズの木製マネキンについて声を掛けたら既に出来上がっていたようだ。
・戦闘用ドール(木製)
木で出来た大人サイズの戦闘用のマネキン。
服・革装備を着させる事が可能。
どの武器でも装備可能。
人形使いで操る事が可能。
木製用油によって手足の動きが滑らかになっている。
170cm
耐久値UP(中)
耐久値:300/300
ランク:マジック
品質:3
「魔法級か」
「レア素材を使ったからね」
「装備できる種類が増えているが」
「大人サイズだから武装できる幅が広がったのさ」
「盾とか持てるのか?」
「制限があるんだ。木製だから重装備には出来ないよ?」
「革装備に盾と剣のナイト系とか出来そうか?」
「それなら重量制限とか大丈夫だね。革職人に知り合いとか居る?居ないなら紹介するよ」
ダビットソンに案内されマーケットへとやってくる。
知り合いの何人かに挨拶して進むと露天商の前へとやってくる。
「あ、居たいた」
「ダビットソンとは珍しいね?革製品でも欲しくなった?」
「いや、お客さんを連れてきたよ」
「珍しいねぇって、糸使い様じゃん」
「あれ?知り合い」
「その装備(タイガー装備)を作ったのウチだからね」
「あぁ、ヤンマー作の革装備なのね」
「今度はウチに何を作らせる気なの?」
「いや、革装備をコレに装備させようと思ってな」
「マネキンじゃん。コレってダビットソン作?って戦闘用ドールってなんや?」
「糸使い様はフィフスで人形使い様に転職したんだよ。っで戦闘用の人形を僕が作ったんだ」
「な、なるほど。事情は飲み込めたけど、革装備が欲しくてウチの所に来たって事でいいの?」
「そういう事。人形に前衛をさせたいみたい」
「前衛にさせたいなら鉄装備は?」
「木製じゃ革が限度みたい」
「あぁ~。ま、注文は受け付けるよ。素材とかは持ってる?」
「全然持っていない。周辺での狩りはしてないんだ」
「装備可能職業は?」
「服か革ならなんでも装備可能だよ」
「じゃ、素材代も含めてライノサラス装備になるよ?」
「ライノサラス装備?」
「フィフスの西に位置する荒野に生息してるサイの革。今までよりも防御力が高い革だね」
「値段は?」
「防御力は鋼鉄より少し劣るけど、体と腰だけで157,000G」
「虎装備の数倍以上か」
「そもそも、コレは弓使い系職業専用装備。んでモンスター自体も硬く中々手に入らない素材なんだよ?」
「需要の問題か」
「そうそう。弓使い系のフィフスプレイヤーは殆ど居ないから全然普及しないんだよ」
「なるほど。資金が心もとないから金策に走るか」
それかレア素材を売るかだな。
太古の杖は除外として、ウッデンコア、ロックコア、アイアンコア、怪鳥の羽根の4つ・・・か。
「素材も手に入るか分からないから気長に待ってもらうよ。または素材を持って来てもらう位だよ」
「わかった。今回も世話になるな」
「そんな畏まられてもね。出来上がったら伝えるよ」
「あぁ」
「じゃ、僕はこの辺で」
「ありがとうな」
「いい経験になったよ」
ダビットソンとヤンマーと別れて金策に走ることにする。
「そっち行ったぞ!」
「うっす!」
「トリプルファイアーボール」
「グレーターヒール」
「糸拘束術二式!」
ゴウキ達と合流し人形の装備を整える為に荒野へとやって来た。
そこで人の数倍もあるサイが敵として襲いかかってきた。
【鑑定】
名前:NoName
レベル:44
種族:ライノサラス
体力:4,200/5,800
魔力:70/70
状態:健康、ノンアクティブ
「硬ってぇなぁ」
「突進も勢いが強いでごわすよ!」
「魔法も全然効いていない感じっすよ」
「たしかにコレだと狩るプレイヤーは居なさそうですねぇ」
10分近く戦闘をしているがサイの攻撃力や防御力が高く苦戦を強いられている。
【毒(中)】
何度も攻撃を通してようやく状態異常になった。
ブルゥルゥ
「なんだこりゃ!」
「赤くなったでごわす」
【激怒】
「激怒ってなんだ?」
「激怒ですって!?2人とも離れてください!!」
「「え?」」
ブォンォン
「「ぐはっ」」
サイの角が豪快になぎ払い前衛2人を弾き飛ばした。
「激怒はエリアボスと同じで一時的に強くなります!」
「引き寄せ!」
ダメージを受けた2人を俺らに引き寄せる。
「エリアヒール!」
ソニーが2人を範囲内に収めながら回復する。
「こっちに来るっすよ!」
ドッドッドッドッドッ
「糸拘束術二式!!」
6本のミスリルの糸がサイの突進を強制的に止める。
ビギャァン
!?
2本のミスリルの糸が引きちぎられた。
【反撃不可、拘束19秒】
ブルルゥ
「グレーターヒール」
「うぉおおお!」
回復をし終わったロンドが挑発で外れかかったタゲを固定し動けないサイに攻撃を仕掛ける。
その後にゴウキが反対側から攻撃を開始する。
「行くっすよ!トリプルファイアーボールっす!!」
ヒュオッ
ドガアガガアァアン
3つのファイアーボールが動けないサイに直撃し大爆発を起こす。
ヒュォオオオオオ
ブォモォオオオ
【鑑定】
名前:NoName
レベル:44
種族:ライノサラス
体力:3,450/5,800
魔力:70/70
状態:毒(中)、火傷(大)、激怒、ノンアクティブ
アレだけの攻撃に体力は殆ど減っておらず防御力が高いという事が分かる。
「体力は?」
「3,450だ、全然減っていない」
「くそっ!」
「ボス並みの戦闘時間って疲れるっすねぇ」
「油断せず行きましょう!」
・・・
・・・・・・
ブムォオオオオ
ドシィン
戦闘開始してから30分程経過してようやくサイが地面に倒れふした。
「フィイイイイ」
「終わったでごわすなぁ!」
「魔力回復ポーションも数本使いましたね」
「ドロップアイテムは何すかね?」
「そうだな」
ライノサラスの皮×2
ライノサラスの角×1
ライノサラスの脚×2
「何が必要なんですか?」
「皮だな」
「因みに何枚ですか?」
「上下で47枚だそうだ」
ガクゥ
「すまんな」
「割に合わねぇよ」
俺もそう思う。
「掲示板でサイが毛嫌いされている理由もわかりますね」
「狩人用装備は辛いっすねぇ」
「鋼鉄より劣るらしいが防御力は革装備の中でも最高峰らしいぞ」
「確かにそうみたいですが、緊張感がありすぎる戦いは怖いですね」
「精神が持たねぇよ」
「そうでごわすなぁ。オイの防御力も貫いて来るでごわすし」
「あの角での突進がヤバイな」
「唯一の救いはノンアクティブだった事ですね。ここはスルーされている見たいですし」
周囲を見てもサイ狩りしている他PTは俺たち以外は居ない。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「よく、集めてきたね?大変だったよね」
「仲間たちには多大な迷惑になったがな」
「倒すのに時間が掛かるモンスターらしいからね。素材も揃っているみたいだし35,000Gでいいわ」
「めちゃくちゃ安くなったんだが」
「ほとんどが素材の手間賃で高い設定にしているのさ。その苦労が報われないとダメでしょ」
「皮47枚が118,000Gの価値になるのか」
「PT戦闘だと少ないと感じるけど需要の問題があるからね。需要が高くなれば供給が溢れて来て安く作れるんだけどねぇ」
「なるほど、後で補填しておかないとな」
PTメンバー達にはサイの素材を融通してもらった。
「はい、鋼鉄の長剣と鋼鉄の小盾よ」
少し前から鋼の剣と盾をミモザに依頼していた。
・鋼鉄の長剣
鋼で作られた長剣
攻撃力:130
耐久値:300/300
装備可能職業:剣士
ランク:クリエイト
品質:2
・鋼鉄の小盾
鋼で作られた小盾。
防御力:50
耐久値:300/300
装備可能職業:剣士
ランク:クリエイト
・戦闘用ドール(木製)
木で出来た大人サイズの戦闘用のマネキン。
服・革を着させる事が可能。
どの武器でも装備可能。
人形使いで操る事が可能。
木製用油によって手足の動きが滑らかになっている。
170cm
【ライノサラスの鎧】
【ライノサラスの腰鎧】
【鋼鉄の長剣】
【鋼鉄の小盾】
攻撃力:130
防御力:126
耐久値UP(中)
耐久値:350/350
ランク:マジック
品質:3
「装備させてみると様にはなるな」
「そうね。遠目からじゃ人形には見えないわね」
「スピード重視の軽戦士という所か」
「これで戦う気?」
「あぁ。仲間達に手伝ってもらったからな」
「注意するべき所はプレイヤーと違い自力がない分不利な性能だって言う事よ。防御力よりも高い攻撃力が当たれば体力の代わりに耐久値が減るからね」
「わかった。早速狩りに言ってみるか」
人形を歩かせるだけでも魔力は減るから戦闘時以外はインベントリにしまっておく。
ピ~ンポ~ンパ~ンポ~ン
≪王都が開放されました。これより転移ポータルから王都へ行ける様になります≫
遂に攻略組がフィフスのエリアボスを突破したようだ。
ちょうどよく中央広場にいて転移ポータルに触れる。
≪転移可能の街:≫
ファスト:2,500G[転移不可]
セカンド:2,000G[転移不可]
サード:1,500G[転移不可]
鉱山都市:1,000G[転移不可]
フォース: 500G[転移不可]
王都: 500G[転移可能]
「今まで活性化した街も一覧に載るが転移できるのは王都だけか・・・一度転移してみるか?」
≪王都に転移します。500Gが支払われました≫
シュンッ
転移してみると風景がガラリと変った。
中央広場の噴水も豪華に飾られて高い位置から水が落ちている。
周辺の建物も赤レンガを使用したレンガ調の背が高い建物がズラリと綺麗に建てられている。
なにより目を引くのが白く輝く西洋の城。
城の周囲には高くそびえる壁で囲われている。さらに外側にもう一つ、最後に俺が立っている位置から外側に一つ。計3つの壁で王都は守られている。
設定では俺が居る場所が一般人の住み働く区画。2つ目の壁の中は貴族の住む区画、最後の3つ目は王城で働く人々や王族の住む区画という感じなんだろう。
「よ!さっそく来たか」
王都の開放でほかの街から転移してきたプレイヤーで溢れていたが俺を的確に探し出したのはレッドであった。
「俺達でも王都に来れるのには驚きだ」
「王都だけは特別なんだろう。ただし、王都から外には出るなよ」
「分かっている」
次々と転移ポータルからファスト~フォースのプレイヤー達が転移され広場の人口密度が酷くなりつつあり移動を開始する。
「とりあえず、俺たちのギルドホームに来いよ」
「フィフスにあるんだろう?」
「フィフスが実体のあるギルドホームなんだが、月数千ゴールドでギルドホームの玄関まで転移させてくれるゲートが貸し出されているんだ」
「つまり、行き来が自由にできるのか」
「ギルドホーム限定だがな。ただし、帰るとき専用で来るときは徒歩か転移ポータルで来る事になる」
「なんだか荒れそうな感じだが」
「その事も含めて説明があった。ここだ」
木製の大きな門が俺たちの前に佇む。
「ギルドホーム専用のゲートだ。潜ればフィフスのギルドホームに到着する」
「そうか」
ガチャッ
大きな門をくぐり抜けると一度だけ訪れた事のある玄関が目に入る。
『あら、お帰りなさい』
出迎えてくれたのは見たことの無い女性プレイヤー。戦闘用装備という訳ではなくエプロンを装着している。
「ただいま。紹介するが、俺の知り合いで元糸使い様だ」
『貴方が糸使い様と呼ばれているプレイヤーね。私はイオリよ。よろしくね』
「アオイだ。よろしく」
「いま、王都への攻略が完了して祝賀会の準備中なのよ」
「リーダーは?」
「皆と一緒に買い出し中」
「そうか。俺はコイツと話したいことがあるから奥に引っ込んでいるよ」
「話が終わったら手伝いなさいよ」
「分かっているって」
「邪魔する」
レッドに連れられて二階にあるレッドの個人部屋に入る。
話のとおりベッドにアイテムをしまう箱に椅子と机が置いてあるだけの質素な部屋だった。
「まぁ、座れよ」
レッドがベットに座り、俺は必然的に椅子に座る形になり向かい合う。
「話ってなんだ?」
「王都への転移が可能になって俺としては嬉しくは思うが、王都開放と同時に転移可能になるなんて違和感があっただろう?」
「イベントか?」
「こういうのはイベントの前触れだと思っている。でなきゃ、低レベルのプレイヤーが王都に転移できるなんて自殺行為だろ」
「今頃、何名か王都外に出始めているんじゃないか?」
「そこは安心していい。王都の門を潜るにはそれなりの身分証明書が必要だ。衛兵が絶対に通さないようになっている」
「事故は防がれているのは安心だな」
「王都自体はかなり広くて俺達でも全然把握できてねぇからな」
「今頃観光しているプレイヤー達でごった返しだろうな」
「恐らくな。いくつかスレが立ってやがる」
掲示板には王都に関する事が書かれていた。
「買い物ができない?」
俺もいくつかのスレの中をみていたら気になる点が書かれていた。
「いや、俺達は買えたぞ?」
「ほとんどのプレイヤーが施設の利用に制限が掛かっているようだ。飲食物の購入もダメらしいな」
「・・・初めての事だから分からないことだらけだな」
「お前たちに出来て、他の街からきたプレイヤーに出来ない事か」
「攻略者だからか?何か必要な条件が見えないところで発生しているんじゃないか?」
「恐らくな。徒歩でエリアボスを倒さずに次の街へいけないようになっているのと同じ力が働いているようだな」
それで幾人かのプレイヤーがゲームオーバーになったのも事実だ。
「王都に転移できる理由がイベント絡みだったとしてもだ。観光するだけしか出来ないとなるとプレイヤー達に何をさせたいんだ?」
「基本、次の街に行ける条件が揃って初めて施設の利用が可能なのだろう。エリアボスを倒せていないプレイヤーには倒してから利用しろという事なんじゃないか?」
「なるほど。となると王都で発生するイベントの線が濃くなった訳だな。戦争でも始めるつもりか?」
「ぶっ飛んだ推理だな。低レベルプレイヤーを集めてどうするんだよ」
「戦争は個より数で勝敗が決まる。低レベルでも数を揃えたら高レベルでも危うい結果になるんだぜ」
「俺たちがいくら考えても仕方がないから詳細を待つとしようぜ」
「だな。要件は以上だ」
「エリアボスの情報はどうしたんだ?」
「既に攻略スレにリーダーが載せてるぜ」
「わかった。いつも助かってるぜ」
「それが俺たちの役目だからな。お前の活躍たのしみに待ってるぜ」
話が終わり俺はノーチスのギルドホームを出て行く。
お疲れ様でした。




