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【ライト戦記】宇宙の彼方から革命を越えて_連載版  作者: Tongariboy
3. 燃える帝都、戦火の八騎士

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 3-5. 再会

———革命をかけた戦いの背後で、帝都の街が壊されていく。

影を追って鬼は次々に瓦礫を砕き粉塵を巻き上げる。

砂埃を割いて掴みかかる巨腕を、身をかがめかろうじて躱すアーシス。

すれすれで髪を撫でた巨腕にゾッとしながらライを中心に走り回っていた。


「くそっ、温存しておきたかったがやるっきゃねーか!」


 意を決した彼は、ナイフを投げつけた。

目や喉、急所を的確に狙い撃つナイフ。

ライは無作法に薙ぎ払ったが、その僅かな隙にアーシスの姿が消えた———




 姿が消えた。

時間稼ぎかしら。

困ったわね、魔力の消耗が激しいのに……

まさか、特性を把握されている?

無いとは言えない。

厄介ね。


 魔法を解いて探知を使うべきかしら。

この力、小回りがきかないところが難点ね。

普通ならすぐ済むのに。

ここまで手間取るとは誤算だった。

まったく。

やってくれる。

その立場もあながち嘘じゃないってことか。




———ライの視界にナイフが映る。

瓦礫ごと建物を吹き飛ばすが姿はない。

背後から迫る風切音。

巨腕で打ち払うが、やはり姿はない。

動こうとした矢先、今度は屋根の上から飛来する。

致命傷ではないが傷を負えば消耗する。

いまや影さえも消したアーシス。

予測不能な射線。

動きを封じられたライの影を、無数のナイフが縫い止めていた———




 彼は魔法が使えないはず。

どうやっているのかしら。

……そういえば聞いたことがある。

確か鋼糸を使った戦いを体得しているとか。

これがそうってこと?

魔法じゃなく奇術で挑むとは。

明らかな時間稼ぎ。

つくづく腹が立つ。



 ……ナイフが止んだ?

さすがに使い切ったか。

次はどう来るのか。

いいわ。

皇帝のお気に入りがどれ程のものか。

この私に示してみせなさい。




 ……おかしい。

何もしてこない。

何もしてこない?


あ!


まさかあいつ!



———アーシスの考えに気づいた彼女は急いで魔法の腕を解き、ソナーを放った。

そして敵が既にその場にいないことを悟ると、消耗を度外視して魔力を纏い逃げた少年の下へと向かう。

赤い閃光は、かつてない程に強く燃えていた。




 ナイフを投げきったアーシスは急いでアルファの下へ戻っていた。

逃げた方向へ来ても隠れている少年の姿は見えなかった。

だが幸いアイラが気付き合流する。

しかし。

走り出す2人の頭上から迫りくる高魔力。

炎よりも熱い憤怒を纏う戦姫が凄まじい熱量と雷鳴を伴い大地に激突する。


「ポォー! キサマァァァァァァ!」

「うげっ、や、やばい! 逃げろアルファ!」

「ま、またかっ!」

「覚悟ぉ!」


 鬼さえ恐れそうな形相で襲い来るライ。

ひぃぃぃぃ、と悲鳴をあげる男2人。

巨大な魔力の影が2人の頭上に覆い被さる。


 その時、ライの身体が僅かに光り、震える。

少年の腕輪から放たれた微弱な電気がライの身体を駆け巡る。


「待ってライ! 私です、アイラです! ライ!」


 闇を打ち払うその声に、荒れ狂う憤怒が鎮まる。

力なく下がる魔力の腕。

「アイラ? その声、本当にアイラなの?」

「ライ! ああ、やっと会えました」

「この腕輪が? そんなことって」

「私ですよ、あなたの友人のアイラです」


 巨腕もそのままに、ライ・ク・アーは少年が身につける腕輪を優しく包みこんだ。




 再会を果たした2人。

状況を丁寧に説明するアイラ。

要所を絞って質問するライ。

2人だけが知る秘密を共有しながら、ライはアイラを認めた。


「正直に言えばまだ信じきれない」

「わかっています。理解されるのは難しいと思っています」

「でもそこの間抜けがアイラだと認めたし、とりあえず信じておく。何よりそうであって欲しいもの」

「ありがとう、ライ」

「ちょっと待て。なんで俺が間抜けなんだ。大体いきなり襲ってきやがって」

「探しに出たらすぐに見つかるような間抜けがこの先やっていけるのか試してあげたのよ」


 アーシスを見下すライ・ク・アー。

痛いところを突かれ、アルファがいたからと言い訳を考えたアーシス。

だが彼女はその表情を読み取り牽制した。


「言い訳は見苦しいわよ、騎士長ポー・ツ・イー」

「ちょっ、おおお前! それは、まだ、いやアルファ今のは」

「ポー、あなたが何者であろうとこの2人を守り抜きなさい」

「……ああ、言われなくたって」

「あなたが死ぬことになっても守りなさい」

「わかってるって」

「少しでも傷をつけようものならこの手で貴様の命を断つ」

「おいおい」

「まあアルファ、膝にほんのりと擦り傷が」

「う、言われてみると(すね)が痛い気がする」

「キサマァ!」

「いやいやそりゃないだろ! ていうか今のやり取り」

「冗談よ。バカね」

「アーシスおもしろーい」

「息ぴったりだったね、ライ」

「そうね。ふふふ」

「こいつら兄弟かよ。はぁ、もう勘弁してくれ。つかれた……」


 もう無理、などとボヤきながらその場に倒れ込んだアーシスであった。




「ふーん、同じ騎士長でも差が歴然とするものなんだね」

「うるせーな。前に言っただろ。俺は空席を埋めるためだけに選ばれたんだよ。ついでにいうとイーの家名が長老と被ってるのは偶然、関係ねーんだからな」

「長老って?」

「あん? 知らねーのか。じゃあいいや」

「なんのことか教えてよ、ポーシス君」

「てめぇ」

「坊や、私が説明してあげる。騎士長ブルー・ウー・イー、長生きのお爺さんのことよ。ポー・ツ・イーという名前だからてっきり甥っ子か何かだと思っていたわ。叔父の七光り」

「ちげーよ。そもそも騎士長なんて柄じゃないんだ、俺は」

「ふーん。なんでアーシスは騎士長に選ばれたんだ?」

「……さあな。それは俺も知りたいよ」



「ねえ君」

「なに?」

「名前は?」

「アルファ」

「そう。アルファ、アイラをよろしくね」

「うん」

「それとアイラ」

「はい」

「もう自己犠牲なんて考えないで」

「……」

「あとアルファ君に迷惑かけないように。アイラずぼらだから」

「ちょっとライ!」

「そうだったんだ」

「それに」

「わー! わー! 違うの、アルファ! 違うの!」

「違うって言ってるよ?」

「遊びに行ったら待たされた上に寝間着のまま出てきたこともあったわ」

「あれは前日催事で!」

「つまり本当なんだね」

「あああ、これまでに作りあげた知的な私が崩れていくぅ……」

「いやなんとなくわかってたけど」

「……どういうことだ」

「はいはい。さてと。もう行くわ。この戦い、私にもやりたいことがあるの。じゃあまたね、アイラ。いつか、また」

「うん。いつかまた。元気でね……ライ」



 彼女は満足気に微笑み、腕輪をそっと撫でると、振り返ることなくその場を去っていった———





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