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【ライト戦記】宇宙の彼方から革命を越えて_連載版  作者: Tongariboy
2. 革命軍本部

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15/17

 2-9 つかの間の休息

 ぽかぽかしてて気持ちのいい天気だ。

作戦本部の演習場っていうか運動場みたいで殺風景だけど、今はちょっと面白い。

屈強なおじさん達が頑張って自転車に乗る練習をしている不思議な光景が広がっているからね。

後ろを支えてもらってたり、バランスが上手く取れずにハンドルが安定しなくて蛇行してる。

補助輪も作ってあげればよかったかな。

なーんかこの光景、シュールすぎてなんか頭が働かないなぁ。


「天気がいいし、こういう日はのーんびりゆったりするのに適しているね、アイラ」

「はい。とてものどかな情景ですね。このような時を常に過ごすことが出来るように、と祈ります」

「祈りねぇ」

「元は信仰心の厚い宮司ですので」

「そういえばそっか。元は、ね。ねえエネルギーが溜まっていくのってどんな感じなの?」

「例えるなら、喉が乾いていたところでおいしい水をごくごくと飲むような心地です」

「へー。じゃあこの魔法の光を照射されてるのは?」

「お日様にぽかぽかと照らされているような心地です。じんわりと効きます。あぁー、いーですねぇ、しみますー」

「のどかっていいねぇ」

「はいー」

「なんかとろけちゃいそーでゆ〜らゆら〜」

「ゆ〜らゆら〜」


「目の前にいるけどさ、自転車に乗った騎士が暴れ回る姿というのはなかなか想像出来ないね」

「私もです」

「騎士なんて初めて生で見たのに、それが自転車に乗るなんてね。シミュレーションも文献でも見たことない。文化レベルのミスマッチだ」

「歴史に残るワンシーンになりそうです」


「これを記録して映像作品にまとめたら人気が出るかもしれませんね。タイトルは【明日を乗り切る自転車戦争】なんてどうでしょう」

「なんかチュニーみたい。アイラって意外とそういうの好きだよね」

「……監督はアルファ。私は裏方の監修と脚本で」

「売れるかな」

「やめておきましょう……」


「この戦いもあと少しか。その最後の仕上げが自転車に乗ることとはね。ま、ボクが乗るわけじゃないからいいけど」

「だといいですね」

「ないない。ボクに出来ることなんて見ていることだけ。ここでエネルギーを溜める後方待機が唯一の仕事さ。皆がんばって、あははー」



 もちろん後で乗ることになった。





「じゃあお休み、アーシス」

「ああ、ゆっくり休めよアルファ。アイラ様もどうぞご自愛下さい」

「ええ、ありがとう」

「アーシスも夜ふかしするなよー」

「しねーよ。おらさっさと子供は帰って寝ろ」

「はーい」



 ……行ったか。

ったく、騒がしい奴だ。

アルファめ、だいぶ気が緩んでるな。

進軍の準備はもう始まってるってのに。

そう、後戻りはできない。

もうじきだ。

もうじきこの戦いが終わる。

この長い戦いが、遂に終わる。


 俺は、何を望んでいるのだろうか。

戦いの先にあるものを、俺は受け入れることが出来るのだろうか。

帝国の打倒、革命の駆逐、この国の未来。

革命軍の幹部は、そしてコーン皇帝は、この戦いの果に何を視ているのか。

俺に出来ることとは一体、何だというのだ。

未来の行く末は……


 皇帝を殺す———全ては、俺の手にかかっている。





———戦火の音が忍び寄る。

革命の灯火は今、大きく揺れ動いている。

街は息をひそめ民は身を固く引きこもり、戦いに身を置くものは丹念に武具を磨き込む。

戦士達が持つ刃が欠けた剣は、明かりを受けて柄から切っ先へと白い光を滑らせる。

擦り傷が刻まれた鎧を手に取り、胸のプレートを覗き込む。

ぼやけた鏡のように、輪郭を失った顔が映し出される。

顔のない自分を見た彼らは、拳を握りしめ、何を想うのか。


 帝都の騎士達は友や家族との語らいを終え、戦地へと赴く。

帝国の象徴たる8人の英雄が己の役目を全うすべく最後の仕上げに取り掛かる。

果実酒を掌で弄ぶ官僚らは屋敷で宴を享受し、渦巻く思惑を飲み干す。

そして皇帝は、ただ静かに国を見つめ、自らが描いた世界図に身を投じようとしていた。


 決戦の刻は近い。

避けようのない未来がまとわりつくように彼らを包み込む。


 絡み合う思想の果てに、彼らが形作る世界の行く末とはいかなるものか———

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