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機巧のギルフェンセィア 天使の子守歌  作者: 胡桃リリス
第二章 決闘騒ぎ!
26/91

chapter21

前話と同タイトル・同内容のままでした。大変申し訳ありませんでした。(2019/4/30)

 日もだいぶ傾いた時間に、一台の馬車が駐屯地へ向かっていた。

 朝早くに出掛けた第一小隊の副隊長が、視察から戻ってきたのだ。

 カーテンを少しだけ開けて外の様子を眺めていた副隊長は、何気ない様子で口を開いた。


「ベルさん」

「何でしょうか?」


 答えたのは対面に座る部下ベルだ。彼女は読んでいたメモ帳から顔を上げた。


「もしもの話ですが……赤く染めた鎧を全身に纏った騎士がいたら、どう思いますか?」

「目立ちたがりの新人か、酔狂な武士だと思いますが、どっちにしても関わり合いになりたくありません」


 仮にいたとして、戦場で目立つに決まっており、狙撃の巻き添えは食らいたくないため、近くには居たくない。

 戦いを知らない民衆でさえわかる。


 真意の読めない副隊長の問いにベルは首を傾げた。


「まぁ、そうなりますわよね……すみません、今の質問は忘れてください」

「はい」


 軽く目を閉じて気分を変え、副隊長は別の質問を投げかけた。


「次に……最近、学校で面白い生徒がいると耳にしました。何かご存じですか?」

「はい。どのような生徒でしょうか」

「何でも、スクーテ様のご息女に連勝しているという生徒です」

「あぁ、それは、アルファ・ワンダーという女子生徒ですね」

「ワンダーと言うと、稀に貴方たちの会話に上がる、ワンダー診療所ですか?」

「えぇ」


 ベルは表には出さないものの、内心驚いていた。まさか、自分たちの何気ない日常会話を気に留めていたとは、と。


 一方、副隊長はベルの心が読めるはずもなく、それよりも、往来の中に見知った顔を見つけ、そちらに注意が行っていた。


「止めてください」

「副隊長?」


 緩やかに止まった馬車から降りると、副隊長は目的の人物二人へ足早に近づいた。

 その後ろ姿を見て、ベルは何故だか否な予感を覚えるのであった。

 数分後、その予感は的中することになる。




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