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馬成金 4話

第4話です。

お読みいただきありがとうございます!

牙を剥いた悪党どもに対し、狸と覚醒したパルスが仕掛ける「見えない罠」とは――。

ざまぁと容赦なからないダークファンタジー、今回もよろしくお願いします!


チュンチュン――。


どこか間の抜けた、しかしどこまでも呑気な小鳥のさえずりが聞こえる。

肌を撫でるのは、心地よいぬくもり。

古本屋特有の湿った古書の匂い。


陽光はカーテンの隙間から零れ落ち、薄汚れたベッドの上に木漏れ日のようなまだら模様を描き出していた。

徐々に意識の焦点を結んでいく。


視界に飛び込んできたのは、パンツ一丁の無様な姿で我が物顔に寝転がる俺と……。


「うぉ! 誰だおま……パルス! う、嘘だろ!」


「ん? ぁ、狸おはよぉ。んー昨日は凄かったぁ、初めてだよぉーあんな沢山飲まされたの。でも楽しかったぁ」


ベッドから跳ね起き、全身に冷や汗が噴き出すのを覚える。

いくら昨夜が酔いの勢いだったとはいえ、男色の趣味など微塵もない。

だが、線の細い中世的な顔立ち。

何より、朝特有の生理現象が、下半身の異変を告げていた。


「さ、酒の話だよな!? パルス!」


「へ? そうだよぉ……沢山飲み過ぎたー」


まだ眠気眼なのか、木漏れ日の中で蒼い目を指先でこするパルス。

白い男物のシャツが、男のそれだからこそ余計に生々しい。

その青い髪と目の色を見て。

不覚にも「青い果実」などという気色の悪い比喩が脳裏をよぎる。

俺は自らの思考の澱みを全力で否定した。


「何、馬鹿やってんだいここはアタシの家だよ! あんたらつぶれてるから」


けたたましい笑い声とともに、エプロン姿のバルキリが台所からひょっこりと顔を出す。

寝起きの迷走していた欲情は、現実的な女性の存在によって瞬く間に正常な方向へと引き戻された。

女性特有の、柔らかくもしなやかな体のライン。

実にそそる光景だが、ほんの出来心でその豊満な尻を触ろうとした瞬間。

容赦なく飛んできたおたまが俺の額を鋭く打ち据えた。


「本当にスケベだねー! 臭いからパルス君起こして風呂はいってきな!」


しぶしぶパルスを叩き起こし、俺たちは中庭へと赴く。

そこにはビール樽を二回りほど大きくしたような木製の風呂桶が四つ、行儀よく並んでいた。

隣の樽に、まるで怯えた少女のようにバスタオルを全身に巻き付けたパルスが、申し訳なさそうに滑り込む。


「ふぅーやっべぇなぁ」


「気持ちいですね~色々バルキリさんにご迷惑を……ブクブクブク」


本当に救い難いほどの真面目気質だな、こいつは。

だが、この奇妙な状況こそ、我が野望を次のステージへと押し上げる絶好の好機にほかならない。

打算に基づいた金に対する下心は、いつだって「自然な配慮」という美しい衣装を纏わせなければならないのだ。


「それならよぉ、2人でバルキリに恩返しするか?」


「え? なにすればいいんですか?」


「まぁ、あがったら話そうぜ」


思考のギアがかみ合う音を聞きながら、俺たちは湯から上がる。

バルキリが洗濯してくれていた半袖の革鎧風カーボーイシャツへと身を通した。

縁側に腰掛けると、バルキリが気を利かせたのか、キンキンに冷えた牛乳の入ったジョッキを差し出してくれた。

パルスと並んで座り、俺たちは腰に手を当てたまま一気にそれを煽る。

ゴッキュゴッキュと喉を鳴らす音の響き、これぞ新鮮な恵みだ。


スカライトは島という閉ざされた環境でありながら、周囲には豊かな牧羊地帯が広がっている。

潮風に含まれる絶妙なミネラル分を含んだ牧草を食む乳牛の乳が、美味しくないはずがない。


「さっきの話だけどよ、馬を銀行前で売りさばくんだよ」


「ぎ、銀行ですか……」


パルスの身体が小さく縮こまる。

またしても視線を足元へと落とすその仕草。

過去のトラウマや、この街の底辺に蔓延る暗黙の階級社会に対する恐怖が染み付いているようだった。

奴がこれまで断片的に語っていた話を頭の中で冷徹に再構築すれば、答えは自ずと見えてくる。

馬を銀行前で売ろうとした際。

既存の利権を握る同業の行商人たちから、凄惨な嫌がらせや脅迫を受けていたのだろう。


「じゃあさ、俺に200GPで馬を売ってくれよ」


いつもは親戚に10GPで買い叩かれていたパルスは、信じられないものを見るような目で俺を見上げた。

どうやら、強欲な行商人や親戚たちとは違う俺の提案が理解できず。

逆に銀行へ赴く俺の身を案じているらしい。


「いいんですか、10GPでもいいですけど……。でも、他の行商人が……」


ジャラ、と音を立てて、麻袋から今日の持ち合わせである全財産――200ゴールドをテーブルの上にこれでもかとぶちまけた。10ゴールドでワインボトルなら、まぁまぁな金額だ。


「おまえは大事な相棒だが、これは厳正なビジネスだ。だからこの価格で買い取る。その代わり、責任を持ってきっちり数を揃えてくれ。――男同士の約束だ」


パルスの瞳が大きく揺らぐ。

怯えと不信に満ちていたその蒼い目に、わずかではあるが「責任」という名の熱い決意が灯り始めた。

あまりにもチョロく、あまりにも純粋な、極上の駒の完成だった。


「まかせてください! 行ってきます!」


そう叫ぶと、パルスは子供のような足取りで、弾かれたように家から飛び出していった。

若さとは、実に愚かで、同時に利用価値の高いエネルギーの塊だ。

世の中の無能な上司どもは、過去の精神論を押し付けたり、分かり合おうなどと無駄な対話を試みたりして自滅する。滑稽極まりない。

最初にわずかな利益と適度なハードルを与え、あとは勝手に失敗させて絶望させ、そこをすくい上げる。

そうして形成された主従関係こそが、最も強固な鎖となるのだ。


仮にこれで彼が成功するなら、次のステージ――より大きな利潤を生む仕組みを用意してやればいい。

1頭あたり400GPもの高値で飛ぶように売れる馬を、たったの200GPで買い付ける。

「男の約束」「責任」などと、よくもまあ都合のいい言葉を並べ立てたものだと、我ながら冷徹な感心すら覚える。

濡れ手に泡。まさにこの世の真理を体現したような暴利だった。

バルキリはすでに仕入れのために出かけており、周囲には誰もいない。

労働の対価という甘い夢をパルスに押し付けた俺は、心地よい疲労感に身を任せ、もうひと眠りすることにした。


2時間がたったか。


「狸さん! 狸さん! 起きてください!」


耳障りだが、この世界においては最高の「金の音」に等しい嬌声が響く。

重い瞼をこすりながら外に出れば、そこには整然と並べられた5頭の馬の姿があった。


「な、なんだ……おい、もう集めてきたのか?」


「はいっ! 男の約束ですから!」


胸を張るパルスの頭を、俺は満足感に任せてくしゃくしゃと荒々しく撫で回す。

そして、所有権の譲渡手続きを済ませる。

この世界のシステムにおいて、動物やモンスターを同時に従えられる数――いわゆる「スロット」の概念が存在する。

馬は最底辺の「1」であり、通常の人間であれば最大でも6匹までしか保持できない。

馬は扱えるが、モンスターは調教スキルがなければまともに扱えないはずなのだ。

(ちなみに、さらに上位の存在であるドラゴンなどは「5」を消費し、テイムスキルを持たない者が所持すれば瞬く間に野生化して牙を剥くという)


なぜ俺が6匹もの馬を同時に管理できるのかといえば、それは他ならぬ「テイムスキルを持ったパルスから、適正な譲渡を受けた」というシステムに助けられたに他ならない。

完璧に躾けられた犬以上に主の命令を遵守し。

人間の言語のニュアンスすら理解するようになった高級家畜の群れ。

これが、パルスの絶妙な配合によって調教された成果である。


銀行前の広場は、早朝から活気に満ち溢れていた。

まだ他の行商人たちが本格的な陣取りを始める前の時間帯。

野菜、果物、燻製肉、さらには怪しげなポーションや酒を売る露店が並び。

その中心に位置する銀行の前は常に膨大な人の波が行き交っている。

俺が馬の群れを率いてその場に立った瞬間、周辺にライバルとなる行商人の姿がないことも手伝って、瞬く間に群衆が押し寄せた。


「パルス、もっとどんどん捕まえてこい!」


なんて不当に効率的な商売だ。飛ぶように売れる、とはまさにこのことだった。

馬屋で正規に購入すれば500GPは下らない代物だ。

それを400GPという相場より下で売り出せば、買い手がつかないわけがない。

馬屋に手数料の金を支払い、直接そこに預け入れストックする。

それでも、市場価格より圧倒的にリーズナブルなのだから客の食いつきも異常だった。


太陽が真上に昇り、昼時を迎える頃には、周囲に他の馬の行商人たちがちらほらと姿を現し始めた。

新人のルール違反と値下げ攻勢に、同業者の視線が殺人のような冷たさを帯びて突き刺さる。

が、俺は一切無視した。

飛ぶように売れる。午前中だけで優に20頭は捌いていた。

最初の15頭は400GP、その後の5頭は300GP。

手元の売上から、パルスに支払う分の報酬を差し引いても、純利として恐ろしいほどのゴールドが手元に残る。

5時間馬の尻を追い回してわずか10GPしか稼げなかったあの日の絶望が嘘のようだ。

やはり、頭を使わぬ肉体労働など底辺の娯楽にすぎない。


「見てくれこの艶! この毛並みだ! 命を預ける相棒だからこそ、最高の個体を! 今日は特別に300GPだ!」


喉が枯れようとも、声を張り上げる。声を出せば客が集まり、客が集まれば利益が生まれる。

たった一声で、スカライト市内の最高級ホテルの宿泊費すら容易に回収できるほどの金が転がり込んでくるのだ。

やがて、周囲の行商人たちの間で、露骨な陰口や毒づくような声が聞こえ始めるようになった。


相場観の破壊、縄張りの侵害――。


そんな言葉が耳に届くたび、俺がゆっくりと巨体をそちらに向けて歩き出すだけ。

連中は蜘蛛の子を散らすようにサッと距離を取った。

俺のこの威圧的な体躯と、血みどろの修羅場を潜ってきた歴戦の面構えがあれば、言葉を交わすまでもなく暴力的な説得力を持つ。


本来の予定であれば、地元の顔役や組合の連中が結託して難癖をつけてくるところだった。

その首魁の弱みを握るか、力任せに恫喝して下風に立たせる算段だったが。

これほどの規模で圧倒的な物量を見せつけられては、陰口を叩くのが精一杯のようだ。

それを朝から毎日のように繰り返し、ついに迎えた三日目の朝。


銀行の金庫には、すでに20000GPという途方もない額の貯金が積み上がっていた。

連日、パルスを連れて『イエローキャブ』で高級な酒と肉を痛飲し、贅沢の限りを尽くしたにもかかわらず、だ。

この三日間で、優に150頭以上の馬を売りさばいたことになる。

パルス自身も、自分の取り分だけで20000GPを優に超える蓄財を成し遂げていた。

ガキのような容姿と気弱な性格ゆえに舐められていたパルス。

この短期間で街の経済の隠れた主役へと昇りつめていたのだ。


だが、三日目の朝――静寂を切り裂くように、その「事件」は起きた。

いつものようにパルスがテイムの拠点としている北方の草原へ赴くと、そこに広がっていたのは、目を疑うような惨状だった。

管理下にあるはずの野生馬の群れが、一頭残らず惨殺されていたのだ。

腹部を引き裂かれ、内臓を晒した無惨な死体の山。

中には、悪質な炎系魔法の痕跡によって黒焦げに炭化したものすら混じっている。

これは自然の捕食者の仕業などではない。


明確な「人間の悪意」によるものだった。


「馬に罪はないのに……なんて酷い事を……ごめん。本当にごめんね……」


膝を泥の地面につき、死体の前でわんわんと泣きじゃくるパルス。

その姿を見て、俺とこいつの根底にある「感性の差異」を冷ややかに自覚する。

こいつは、自分のビジネスの基盤を潰された怒りよりも、目の前の獣の死に涙を流している。


「っち、ふざけやがって……」


俺は躊躇うことなく、死んだ馬の剥き出しになった皮を剥ぎ取る作業に取り掛かる。


「な、なにしてるんですか! 狸さん……!」


絶望に染まった蒼い目を涙で濡らしながら、パルスが信じられないものを見るように俺を見上げる。

俺は無言のまま、冷徹な手つきでナイフを走らせ、上質なタテガミと外皮を切り分けていく。


「こいつらの死を、ただの無駄死ににさせないためだ。手伝え」


「くそっ……肉の方は血抜きがされてねぇから、お世辞にも食用にはならねぇがな」


涙を流しながらも、震える手で馬の死体から素材を剥ぎ取るパルス。

どちらにせよ、このまま泣き寝入りするつもりなど毛頭なかった。

ここで舐められたまま引き下がれば、我が帝国への致命的なダメージとなる。

さらなる悪意の連鎖を招くことになる。

舐められたままにしたら終わりだ。

野生の世界であれ、人間の裏社会であれ、同じことだ。


一度でも牙を剥いた獲物、あるいは自分たちを侮った存在に対して圧倒的な暴力の報復を示さなければ。

いつか自分たちが食い物にされる。

一般人の持つ「和解」や「話し合い」という綺麗事。

暴力が支配する世界の裏側においては、ただの自殺行為にすぎない。


俺たちは剥ぎ取った馬の皮を肉屋に二束三文で売り払うと、人気のない静かな海岸へと向かった。

ざざーんと規則正しく打ち寄せる波の音と、どこまでも広がる汚染なき白い砂浜。

俺とパルスは腰を下ろし、遠浅の蒼い海をただ無言で見つめていた。


「パルス。お前、モンスターをテイムすることはできるのか?」


重い沈黙を破り、俺は低い声で問いかけた。


「僕は……モンスターは基本的には無理ですけど、テイムスキルの熟練度的に、受け取れる限界のランクなら……ドレイクなら、いけます……」


ドレイク――それは、小型の飛竜にして最悪の殺戮兵器。

体長は3メートルに及び、硬質な鱗と鋭利な鉤爪、そして周囲を焼き尽くす灼熱のブレスを吐き出す。外見はまぎれもないドラゴンのソレだった。

首都のテイマー組合などでは、オークションで高値で取引されているという。


「でも、ドレイクなんて命令はせいぜい『その場に待機しろ』ってくらいしかできませんし、買うだけでも最低で6000GPはしますよ。……僕なんて、やっぱり何もできない役立たずだ。狸みたいに強そうでもないし、本当に自分が情けないです……」


自嘲するパルスの肩を叩き、俺は冷徹に言い放った。


「お前は、奴らに仕返しがしたいか? たとえ、相手が死ぬことになってもだ」


パルスは息を呑み、信じられないものを見る目で俺を仰ぎ見た。

蒼い綺麗な瞳は涙で濡れ、俺を見上げる際も溢れている。


「え……?」


「お前のその涙は、どれほどの重みがある? お前の怒りは、どこまで本気だ?」


拳を固く握り締め、白砂を掴むパルスの細い身体が激しく震えている。

だが、心の奥底にある恐怖と優しさが邪魔をして、最後の一線を越える踏ん切りがつかないようだった。


「友達や身内との喧嘩なら話は別だ。相手が明日死んでも構わないような間柄でないなら、謝るべきだし後悔するような真似はするな。無駄に時間を拗らせるだけの喧嘩ほど不毛なものはない。だがな、自分の本当の怒りの矛先をまず見失うな」


パルスは海の彼方を見据えたまま、必死に思考の海を泳いでいる。

潮風が、その独特な青いショートヘアを激しく揺らしていた。


「ただ、今回は違う。お前がやらないなら、俺が代わりにすべてを片付ける。……お前はどうする?」


その言葉を聞いた瞬間、パルスはふらつく足取りでゆっくりと立ち上がり、まっすぐに俺の方を向いた。

赤く腫れ上がり、しかし確かな光を宿した蒼い瞳が、俺の目をしっかりと捉えて離さない。


「狸さんにばかり、そんなことさせるわけにはいかないよ! 僕だって……悔しいんだ!」


「俺は、止まらないぞ」


「僕もやるよ! あそこの馬はもう全部殺されて、新しい命すら生まれない……あそこは、僕が唯一誇りを持てた思い出の場所なんだから!」


その決意の重みを確認した。男には男の覚悟が分かるもんだ。

俺は懐からずっしりと重い金貨の入った麻袋を取り出し、パルスの両手へと押し付けた。

中身は、先ほど引き出したばかりの8000GP。

さらに俺たちは魔法屋へと足を運び、全財産の大部分を溶かす覚悟で一つのアイテムを購入した。

それが、8段階ある魔法のうち「第6位階」に相当する魔法――《インヴィジ(不可視)》


使用者および対象の姿だけでなく、気配や匂いすらも視覚・嗅覚から完全に遮断する超上位の透明化魔法である。

通常、このレベルの魔法は限られた高位魔法詠唱者しか扱えないが、金に物言わせれば解決する。

「スクロール(呪文書)」――魔法スキルを持たない者であっても、そこに刻まれた文字を代読するだけで強制的にその魔法を発動できる特異な消費アイテム。

勿論、その代償として市販のスクロールは法外な高値であり。

詠唱時間も通常の倍近くを要するため一般人には到底手の届かない代物だ。

威力も最低限に減衰するが、こと「インヴィジ」の持続効果に関しては、対象が自ら移動しない限り半永久的に持続するため、実用性においては一級品だった。


準備は整った。

復讐と利権防衛のための、冷徹な作戦が幕を開ける。


翌朝。

パルスはいつも通り、北方の草原へと赴き、周辺に残されていた野生馬を10頭ほど集めると、その中央に首都で買って来た一頭の「真っ赤なドレイク」を鎮座させた。

すでにテイムを完了し、絶対的な命令を与えられたその巨獣は、微動だにせず草原の只中に潜んでいる。


「すげぇな、おい……。見事なまでの本物のドラゴンじゃねえか。これじゃあ相手も手が出まいよ」


「ドラゴンといっても、本物はドレイクの3倍以上の大きさがありますけどね」


「あ、そうなのか……」


内心で「これ以上にとんでもない化け物がこの世界にいるのか」と冷や汗を流しつつ、俺は今後一切この少年の逆鱗に触れないように生きようと、心の中で固く誓った。

俺はパルスが連れてきた赤いドレイクに対し、買い求めていたスクロールの力を惜しみなく行使し、《インヴィジ》の魔法を付与した。

8000gpとドレイクが一瞬で消えた。


「その場で完全に静止せよ」という絶対命が下されている以上。

ドレイクは透明なまま、音もなくその場に溶け込んでいる。


視覚的にも、魔力的な気配の観測においても、そこにあるのはただの広大な草原と、数頭の馬を従えた気弱な一人の少年だけに見えるはずだ。

ドレイクが消費するスロットは「3」

パルスのキャパシティであれば、さらに数頭の馬をテイムする余裕すら残されている。


「んじゃ、俺は少し離れた物陰で高みの見物をさせてもらう。お前はいつも通り、そこで馬をテイムするふりをしていろ」


「わかりました!」


毎日の日課であるかのように、馬を殺しに来る。

あるいは俺たちの絶望した顔を嘲笑うために、連中は必ず今日もこの現場へやって来る。

間違いない。


――やられたら、十倍にしてやり返す。

それが、この理不尽な異世界を生き抜くための、唯一にして絶対のルールなのだから。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

圧倒的な暴力(ドレイク)を前に、ゴロツキ共がどうなるのか。

次回の展開もお楽しみに! よろしければブックマークや評価、感想よろしくお願いいたします!

頑張って更新していくので、モチベーションくださいませー

誰か見てるかな


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