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魔物に包囲された塔で半年間の籠城を命じられた狩人部隊、仲間たちは少しずつ壊れていき、救援隊が来た時には俺しか残っていなかった  作者: りつりん
第四章

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6話 数多の魔物を道連れに自爆を選ぶ狩人たち

「くそっ! 数が多すぎる……!」


 頭を抱えながらイグナーツが叫んだ。切れ長の黒目がちな瞳が焦りに揺れ、濃藍の羽織が風に揺れる。

 やがて徹底抗戦が開始して数時間が経過すると、徐々にイグナーツとエリザベートは強い疲労感が襲い掛かり、戦闘の質が露骨に落ち始めた。


 しかし、魔物たちが一気に押し寄せて来る。

 塔の最上階に魔物たちが上がり込み始めると、二人は近接戦闘を余儀なくされた。

 イグナーツは大剣を振るい、魔物たちを切り裂く。


 だが、極度の疲労の影響により、攻撃の手が鈍る。

 エリザベートは聖銀の槍を振るい、魔物たちを貫いた。

 けれど、極度の疲労の影響により、回避の動きが鈍る。


 二人は複数の魔物から攻撃を受け続けて、ついには血まみれの状態となった。

 イグナーツの左腕が、魔物の鉤爪に裂かれ、血が飛び散る。胸部も鉤爪に裂かれ、皮膚が裂けた。

 濃藍の羽織は血に染まり、赤黒く汚れている。


 エリザベートの右肩が、魔物の鉤爪に裂かれ、血が飛び散った。

 太腿も鉤爪に裂かれ、皮膚が裂ける。白いシャツは血に染まり、赤黒く汚れていた。

 白金の髪が血に染まり、蒼い瞳が苦痛に歪む。


「う”ら”あ”あ”あ”あ”っ”!」


 最後の力を振り絞り、イグナーツは雄叫びを上げた。彼の動きは、もはや知性のある人の動きではなく、まるで荒々しい獣のような動きで、周囲の魔物たちを残虐に殺していく。


 大剣が魔物の首を切り落とし、血が噴き出す。次の魔物の胴体を切り裂き、内臓が飛び散る。

 例え、魔物たちから攻撃を受けようとも、その攻撃を止める事はしない。


「ここで死ぬわけにはいかないッ……!」


 歯を食いしばりながら、イグナーツは只管に魔物を殺し続ける。

 それに同調するかのように、エリザベートも必死の抵抗を続けた。

 聖銀の槍が、魔物の心臓を貫き、血が噴き出す。


 次の魔物の頭部を貫き、脳漿が飛び散った。

 しかし時刻は、まだ真夜中であり、朝まではかなりの時間がある。


 イグナーツは自身の死を心の何処かで覚悟したが、黒燭の牙に属する狩人として、誇り高く最後まで戦い果てることを誓うべく、その場に静止した。


「我が名はイグナーツ・ヴォルフガング! 黒燭の牙に属する狩人なり! 例えこの身が魔物に惨たらしく殺されようとも……! 例えこの身が魔物に汚されようとも……! 最後まで狩人として勇敢に戦い続ける事を! 満月に誓う!」


 黒燭の牙が発行する、十字架(首飾り)を握り締めて、彼は満月に誓いを捧げる。

 その声は満月に向けて響き渡った。切れ長の黒目がちな瞳が決意に燃え、濃藍の羽織が風に揺れる。


 そしてイグナーツの覚悟を見たエリザベートは、彼の粋様に感銘を受けて、彼女自身も狩人としての誓いを捧げて、最後まで魔物と戦う事を決意した。


「我が名はエリザベート・ヴァイス! 黒燭の牙に属する狩人なり! 誇り高き隊長と共に……最後まで戦い抜く事を! 満月に誓う!」


 両手で握り締めるように、聖銀の槍を高く掲げ、エリザベートは満月に誓いを捧げる。

 彼女の声が満月に向けて響き渡った。白金の髪が風に揺れ、蒼い瞳が決意に燃える。


 そして次々と魔物が塔の外壁を軽快に登り、イグナーツたちの前に立つと、攻撃を仕掛けて二人を殺そうとしてきた。


 魔物たちの攻撃に対して、イグナーツとエリザベートは、剣や銃や魔法を全て使い応戦した。

 彼は大剣を振るい、短銃を発砲し、魔法を放つ。

 彼女は聖銀の槍を振るい、魔法を幾度も放った。


 やがて大剣の刃が折れ、短銃が弾切れを起こし、イグナーツは九割の魔力を失う。

 聖銀の槍の柄が折れ、エリザベートは八割の魔力を喪失した。


「「う”ら”あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”あ”っ”!」」


 使い物にならない全ての武器を魔物に投げ飛ばして、二人は勇ましい雄叫びを上げ周囲に木霊する。

 最後まで勇敢に戦い抜くという誓いを守る為に、彼ら彼女らは己の五体のみを駆使して対抗した。

 イグナーツは拳で魔物の顔面を殴り、蹴りで魔物の胴体を蹴り飛ばす。


 エリザベートは拳で魔物の顔面を殴り、蹴りで魔物の胴体を蹴り飛ばした。

 肉弾戦ゆえに時間が掛かりはしたが、一先ず最上階に上がった全ての魔物を倒して、目下の脅威を退ける事には成功。


 だが二人は既に血まみれの状態で、至る箇所が抉られていたり切り裂かれたりしており、激しい呼吸を繰り返す。


「ヴェルナー! カタリナ! 状況を教えてくれ……!」


 戦いが一旦落ち着くと、イグナーツは塔内部の防衛の任務に就いている二人の様子を確認しようと、階段を僅かに降りて声を掛けた。


 切れ長の黒目がちな瞳が心配の色を浮かべ、濃藍の羽織が血に染まる。

 塔の内部で防衛の任務に就いていたヴェルナーとカタリナは、なんとか魔物の熾烈な猛攻を紙一重の状態で今まで防いでいた。


 ヴェルナーは、黄金の大剣を振るい、魔物たちを切り裂いている。

 だがその時、魔物の鉤爪が彼の胸部を裂いた。


「ぐあっ……!?」


 苦悶とした悲鳴をヴェルナーが漏らす。長めの金髪が血に染まり、切れ長の蒼い瞳が苦痛に歪む。

 白と金を基調とした布鎧は血に染まり、赤黒く汚れている。


 カタリナは魔術刻印杖を振るい、魔法を放っていた。

 だがその時、魔物がカタリナの右腕に噛みつく。


「きゃああああああっ!」


 彼女は悲鳴を上げた。淡い薔薇金の髪が血に染まり、大きなライラック色の瞳が苦痛に歪む。

 ミスリル糸と黒絹を組み合わせた魔術装束は血に染まり、赤黒く汚れている。


 負傷したカタリナとヴェルナーたちでは、これ以上の数は防ぎ切れず、魔物の数に圧倒された。

 その猛攻により、防衛ラインが崩壊する。魔物たちが二人に襲い掛かった。


「くそ……! もう……無理だ……!」

「いっ……いやぁぁぁあ……!」


 魔物に取り囲まれた二人が甲高い悲鳴を轟かす。


「ヴェルナーとカタリナの声だ……!」


 二人の悲鳴が下の階から聞こえた事で、最上階に居たエリザベートが絶叫した。

 白金の髪が揺れ、蒼い瞳が恐怖に揺れる。


「くそ……! 今助けに行くからな……っ!」


 満身創痍の体を必死に動かしながらイグナーツが叫んだ。

 だが彼が助けに入る間もなく、ヴェルナーとカタリナは魔物たちに捕まり、生きたまま食われ始める。

 ヴェルナーは複数の魔物に囲まれ、鉤爪で身体を裂かれた。魔物たちは彼の肉を食い始める。


「うああああっ! やめてくれ!食べないでくれ……やめろ……! 嫌だ、まだ死にたくない、痛い、痛い、痛いッ! ああぁぁぁああっ!」


 悲痛な叫び声を、ヴェルナーは上げた。


「母さん……! 助けて……! 父さん……! 師匠……! 誰か……!」


 あまりにも絶する痛みに錯乱状態になり、彼は家族や恋人や恩師に助けを求める。

 カタリナは複数の魔物に囲まれ、衣服を破かれて裸体の状態にされた。


 ミスリル糸と黒絹を組み合わせた魔術装束は引き裂かれ、薄桜色の総レース仕様の下着も無惨に引き裂かれる。淡い薔薇金の髪が乱れ、大きなライラック色の瞳が恐怖に揺れた。


 豊満な胸が露わになり、乳首は桃色である。下腹部には茂みがあり、秘部が露わだ。

 魔物たちは、カタリナの肉を食い始める。


「ああああっ……! 食べないでぇ……! やめてぇ……! いや、いやだぁ! 私の足、私の足がああぁぁぁ! お願い、誰か、誰か助けて……ッ!」


 悲痛な叫び声をカタリナは上げた。


「お父様……! お母様……! 助けてぇ……! 誰か……!」


 あまりにも絶する痛みに錯乱状態になり、彼女は家族や恋人や恩師に助けを求める。

 だが二人は瀕死の状態になっても、狩人としての誇りを魔物に食われている途中で取り戻した。


「イグナーツ! エリザベート! 必ず……生き延びろ……! 俺たちの分まで……!」


 最後の力を振り絞り、ヴェルナーが叫ぶ。


「……隊長! エリザベート! お願い……生きて……!」


 最後の力を振り絞り、カタリナが叫んだ。そして二人は、イグナーツとエリザベートに希望を託すと、自分たちに残された最後の魔力を使い、魔物たちを道連れにするべく自爆という選択を取る。


「さらばだ……!」

「……さようなら……!」


 狩人に残された最後の抵抗手段である自爆魔法を発動させ、ヴェルナーとカタリナは魔物に臓器を食われながら叫んだ。その刹那、巨大な爆発が起きる。圧縮された魔力が爆発し、一定数の魔物は吹き飛び、階段や天井が崩れて瓦礫で魔物の足止めが行われた。

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