13話 惨たらしく殺されてゆく狩人たち
「リュネット……なんで……なんで死んじゃったの……」
涙を流しながらエリザベートが呟いた。白金の髪が揺れ、蒼い瞳が涙で潤む。
「……リュネット……わたしたち……まだ一緒にいたかったですぅ……」
涙を流しながらカタリナが呟いた。淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が涙で潤む。
「リュネット……あたし……あたしがもっと側にいれば……」
涙を流しながらヴィオラが呟いた。深い漆黒に紫を滲ませた長髪が揺れ、紅い瞳が涙で潤む。
その後、イグナーツは花畑に穴を掘り、リュネットの遺体を慎重に埋める。
そして、即席で用意した小さな石碑を立てた。石碑には、彼女の名前が刻まれている。
イグナーツと仲間たちは石碑の前で黙祷を捧げた。
「リュネット……安らかに眠れ……」
彼の声は悲しみに満ちている。そしてリュネットが首つり自殺をしたことで、結果的に大勢の仲間を失い、イグナーツや仲間たちは意気消沈状態であり、生きる希望すらも消えかけていた。
だが、それでも夜の襲撃は収まる事を知らず、一日たりとも休むことなく、全員が塔の防衛戦を強いられている。
過酷な戦闘が毎夜続き、寝ても疲労が取れない状況が続くと、ついにイグナーツが恐れていた事態が連続して起こり始めた。
それは不思議と連鎖するようで、まるでイグナーツたちの頭上に鎌を構えた死神が、獲物を見定めるように旋回しているようなものである。
そう、イグナーツが恐れていた事態とは、とどのつまり仲間たちの連続死だ。
一人目――ヴィオラは、連戦続きで寝ても魔力や体力が回復しなかった事が原因なのか、魔物との戦闘中に立ち眩みにでもあったかのようにふらつき出す。
「くそ……目が……回る……」
彼女が呟いた。深い漆黒に紫を滲ませた長髪が揺れ、紅い瞳が虚ろに揺れる。
そのまま足を滑らせて、塔から落下した。
「きゃああああああああああっ……!」
ヴィオラの悲鳴が響き渡る。彼女の身体は塔の外壁を滑り落ち、地面に激突した。
激しい衝撃が全身を襲い、骨が砕ける音が響く。
だが、塔から落ちた時点ではまだ辛うじて息があった。ヴィオラは地面に倒れ、激痛に顔を歪める。
深い漆黒に紫を滲ませた長髪が血に染まり、紅い瞳が苦痛に揺れる。
豊満な胸が激しく上下し、血が口から溢れた。
「助けて……隊長……助けて……」
彼女の声は弱々しい。だが、魔物たちがヴィオラを取り囲んだ。
「グルルルル……ガァアアアアアッ!」
夜狼たちが彼女に襲い掛かる。一体の夜狼がヴィオラの右腕を鉤爪で掴み、力任せに引きちぎった。
皮膚が裂け、筋肉が引き千切られ、骨が砕ける。右腕が肩から完全に引き千切られた。
「ぐあああああああああああっ……!」
彼女は悲鳴を上げる。別の夜狼がヴィオラの左腕を鉤爪で掴み、力任せに引きちぎった。
左腕が肩から完全に引き千切られる。
「やめて……! やめて……!」
彼女は泣き叫んだ。更に別の夜狼がヴィオラの右足を鉤爪で掴み、力任せに引きちぎる。
右足が股から完全に引き千切られた。
「いやああああああああああっ……!」
彼女は悲鳴を上げる。最後の夜狼がヴィオラの左足を鉤爪で掴み、力任せに引きちぎった。
左足が股から完全に引き千切られる。彼女は四肢を失い、胴体だけの状態となった。
そして、夜狼たちはヴィオラの腹部を鉤爪で裂き、内臓を引きずり出す。
ヴィオラは凄惨な死を迎えた。
「ヴィオラ……!」
最上階から、その光景を見て、イグナーツは涙を流す。
またある日は、ルーカスが極度の疲労のせいで、武器の手入れを怠った。
「疲れた……もう……無理だ……」
彼が呟いた。焦げ茶の短髪が乱れ、琥珀色の瞳が虚ろに揺れる。
その結果として、なまくらの刃は魔物を斬り裂く事叶わず、更には弾詰まりを起こした銃は敵を撃つ事はできず、魔力も回復していなかった事から魔法は使えず、ルーカスは塔を登り切った魔物の集団に襲われた。
彼は戦鎚を振るったが、刃は魔物の皮膚を切り裂く事ができない。
短銃を発砲したが、弾詰まりを起こして弾が出ない。
「くそ……! くそ……!」
ルーカスが叫んだ。複数の夜狼が彼に襲い掛かる。
一体の夜狼が、ルーカスの左肩に噛みつき、肉を引き千切った。
「ぐあっ……!」
彼が悲鳴を上げる。別の夜狼が、ルーカスの右腕に噛みつき、骨ごと噛み砕いた。
「ぐあああああああああああっ……!」
彼が悲鳴を上げる。更に別の夜狼が、ルーカスの腹部に噛みつき、内臓を引きずり出した。
「いやああああああああああっ……!」
ルーカスは泣き叫んだ。夜狼たちは彼を生きたまま食い続ける。
激痛に顔を歪めルーカスは、涙を流しながら悲鳴を上げ続けた。
そして、ついに彼は息絶える。
「ルーカス……!」
その光景を見て、イグナーツは涙を流した。六人の仲間が死んだ。残りは四人。
イグナーツ、エリザベート、カタリナ、ヴェルナー。戦いは、まだ続く。
だが、希望は消えかけていた。
「くそ……! くそ……! 俺は……俺は何も守れない……!」
拳を握りしめ、イグナーツは涙を流す。絶望が、塔を包んでいた。
果たして、誰が生き延びるのか。答えは、まだ分からない。
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