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魔物に包囲された塔で半年間の籠城を命じられた狩人部隊、仲間たちは少しずつ壊れていき、救援隊が来た時には俺しか残っていなかった  作者: りつりん
第三章

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5話 仲間を殺した隊長

「ぐ……あ……」


 彼は声を漏らした。心臓を突かれたガロットは、一瞬だけ正気を取り戻すと涙を流す。


「す……みま……せん……隊長……」


 涙を流しながら彼は、魔物の声で拙い人語を口にした。

 だが、それだけ言うとガロットは絶命。

 そして、彼の身体は手足の先から灰となり消えていき、やがて跡形も無くなった。


「こちらこそ、すまない……。俺の力不足で、お前を魔物の身に堕としてしまった……。お前を救えなかった……。どうか、許してくれ……ガロット……」


 床に突き立てられた大剣から手を離すとイグナーツは、最後の最後で自我を取り戻そうとした仲間の事を思い呟く。彼の声は震え、涙が頬を伝う。

 切れ長の黒目がちな瞳が悲しみに揺れ、濃藍の羽織が揺れる。


 イグナーツは仲間のガロットを救う事が出来なかった事で、不甲斐ない自分の力を呪うように拳を握り固めた。爪が皮膚に食い込み、手から血を流す。


「くそ……! 俺の……力が足りなかった……!」


 彼の声は震え、拳から血が滴る。

 仲間を殺した不快な気持ちと感触を覚えたまま、その場に崩れるようにイグナーツは膝をついた。


「ガロット……セシリア……すまない……」


 彼の声は震え、涙が止まらない。

 仲間たちは祈りの言葉を辞めて、部屋に入ると、呆然とした様子で場に立ち尽くす。

 室内は惨状そのものであった。


 セシリアの遺体は半身が完全に裂けて、腹部は既に原型を留めていない。

 髪は血に染まり、目は見開かれたまま、光を失っている。


 豊満な胸は引き裂かれ、肋骨が露出していた。

 内臓が飛び散り、床を赤く染めている。

 ガロットの身体は、既に灰となり消えており、跡形も無い。


「セシリア……ガロット……」


 嗚咽を漏らして、その場にエリザベートが座り込んだ。

 白金の髪が揺れ、蒼い瞳が涙で潤む。


「……嘘……ですよねぇ……?」


 涙を流しながらカタリナが呟いた。

 淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が涙で潤む。


「セシリア……!」


 涙を流しながらヴィオラが叫んだ。

 深い漆黒に紫を滲ませた長髪が揺れ、紅い瞳が涙で潤む。


「……セシリア……ガロット……」


 涙をリュネットが流しながら呟いた。漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が涙で潤む。


「セシリア……」


 涙を流しながらヴェルナーが呟いた。長めの金髪が揺れ、切れ長の蒼い瞳が涙で潤む。


「ガロット……」


 涙を流しながらルーカスが呟いた。焦げ茶の短髪が揺れ、琥珀色の瞳が涙で潤む。


「……ガロット……セシリア……」


 涙を流しながらユリウスが呟いた。銀灰色の髪が揺れ、伏せがちな蒼灰色の瞳が涙で潤む。

 セシリアの死体から流れ出る血が室内の床に広がり、その場に鉄の匂いが充満する。

 イグナーツは立ち上がると、崩れ落ちた仲間たちや、死亡したセシリアを静かに見下ろした。


「……埋めて上げよう。セシリアが安らかに眠れるように」


 彼の声は静かで、だが力強い。切れ長の黒目がちな瞳が決意に燃える。

 それを聞いて仲間たちは、次々に賛成の声を出した。


「っ……アイツは埋めて上げる事もできねぇ……くそ……」


 その時、ルーカスが悔しそうに呟く。彼の声は悔しさに満ちている。

 焦げ茶の短髪が揺れ、琥珀色の瞳が悔しさに揺れた。

 魔物と化したガロットの事を思い、供養すらできない事に悔やんでいる。


 それから仲間たちはそれぞれが動いて、毛布や遺体袋など埋葬に必要な物を集めて、再び病室へと戻った。イグナーツは部隊の隊長として、血や肉片で汚れたセシリアの遺体を慎重に扱う。


 髪を優しく撫で、目を閉じさせた。豊満な胸を布で覆い、引き裂かれた腹部を隠す。

 太腿を布で包み、全身を毛布で覆う。


「セシリア……安らかに眠れ……」


 彼の声は優しく、涙が頬を伝う。

 イグナーツは仲間たちと埋葬場所を相談して、塔の裏手にある花畑地帯へと向かうことにした。

 遺体を乗せた荷車を引きながら、彼と仲間たちは無言の行進を続ける。


 荷車の車輪が軋む音だけが、静寂を破った。

 全員の表情は虚ろであり、涙が止まらない。

 目的の地に着くと、イグナーツと仲間たちは協力して、黙々と穴を掘り始めた。


 イグナーツは大剣を使い、地面を掘る。

 切れ長の黒目がちな瞳が虚ろに揺れ、濃藍の羽織が汗に濡れる。

 仲間たちの瞳も虚ろに揺れ、各々が自身の武器を使い掘り続けた。


 イグナーツと仲間たちは一定の深さの穴を掘ると、そこにセシリアの遺体を慎重に動かして、穴に埋め る。彼女の遺体は毛布に包まれており、優しく穴の底に横たえられた。

 そして彼と仲間たちが、順番ずつ砂を上から掛けていく。


「セシリア……お前は優秀な狩人だった。お前のおかげで、俺たちは何度も救われた。ありがとう……安らかに眠れ……」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、イグナーツは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。


「セシリア……あなたはいつも笑顔だった。その笑顔に、私たちは何度も救われた。ありがとう……安らかに眠って……」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、エリザベートは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。


「……セシリア……あなたはいつも優しかった。その優しさに、わたしたちは何度も救われましたぁ……。ありがとうございますぅ……安らかに眠ってくださいねぇ……」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、カタリナは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。


「セシリア……あなたは私たちの仲間だった。その仲間意識に、私たちは何度も救われた。ありがとう……安らかに眠って……」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、ヴィオラは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。


「……セシリア……ありがとう。安らかに眠れ」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、リュネットは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。


「セシリア……お前は俺たちの希望だった。その希望に、俺たちは何度も救われた。ありがとう……安らかに眠れ……」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、ヴェルナーは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。


「セシリア……お前は俺たちの光だった。その光に、俺たちは何度も救われた。ありがとう……安らかに眠れ……」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、ルーカスは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。


「……セシリア……ありがとう。安らかに眠れ」


 砂を掬い、セシリアの遺体の上に掛けながら、ユリウスは呟いた。その声は震え、涙が頬を伝う。

 暫くして、セシリアの遺体が完全に地中に埋まると、そこに即席で用意した小さな石碑を立てた。


 石碑には、彼女の名前が刻まれている。

 そして埋葬地の周囲には、綺麗な野花が沢山咲いていた。


「セシリア……この花畑が、お前への手向けだ。お前はいつも花が好きだったな……。ここで、安らかに眠ってくれ……」


 石碑を見ながらイグナーツは、セシリアに語り掛けるように呟く。彼の声は優しく、涙が頬を伝う。

 切れ長の黒目がちな瞳が悲しみに揺れ、濃藍の羽織が風に揺れる。


「……黙祷」


 皆を見渡してから、イグナーツは静かに告げた。彼を含めて全員が一斉に頭を垂れる。

 静寂が花畑を包み込んだ。風が吹き、花が揺れる音だけが聞こえる。


 黙祷を終えても、周囲の空気は張り詰めたものであり、誰も口を開かない。

 埋葬という全ての工程を終えると、全員が塔へと帰還した。


 塔へと帰還して、全員が寝室に戻ると、誰一人として何も手がつかない状況が続く。

 仲間を一気に二人も無くしたという事実は余りにも大きく、全員が精神的なダメージを受けている。


 静寂が支配する空間で聞こえるのは、互いの息遣いのみ。

 室内の空気感としては重たく、雰囲気は最悪なものである。


 誰一人として言葉を放つ事はなく、全員が項垂れている状態。

 イグナーツは壁にもたれかかり、床を見つめている。


 切れ長の黒目がちな瞳が虚ろに揺れ、濃藍の羽織が揺れた。

 仲間たちは床に座り込み、全員が膝を抱えて瞳を虚ろに揺らしている。

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