3話 負傷する狩人たち
「指揮官種だ! あれを殺せ!」
イグナーツが叫んだ。
切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、濃藍の羽織が風に揺れる。
右耳の真鍮の耳飾りが揺れ、左手の黒紐の腕輪が軋む。
彼は手綱を片手で握り、もう片方の手で腰に下げた短銃を抜いた。
「了解!」
即座にエリザベートが反応する。
彼女は聖銀の槍を構え、槍の穂先に魔力を込めた。
白金の髪が風に舞い、蒼い瞳が冷徹に夜狼王を捉える。
豊満な胸が呼吸と共に大きく上下し、深紅のコートの下から白いレースの下着が一瞬覗く。
「カタリナ、魔術で援護しろ!」
「わかりましたぁ!」
イグナーツの言葉に、カタリナが甘い声で返事をした。
身長百五十八センチの小柄な体躯が荷台の後方で揺れ、淡い薔薇金の髪が風に舞う。
大きなライラック色の瞳が無邪気に輝き、柔らかな微笑が口元に浮かぶ。
彼女は魔術刻印杖を高く掲げ、杖頭の欠けた水晶から魔力の霧が漏れ出す。
豊満な胸が揺れ、ミスリル糸と黒絹を組み合わせた魔術装束が風に煽られる。
プリーツ状のスカートが捲れ上がり、太腿の白い肌が一瞬露わになる。
「ヴィオラ、リュネット、援護射撃だ!」
「了解!」
イグナーツの声に、ヴィオラが鋭く返事をした。
身長百七十二センチ、深い漆黒に紫を滲ませた長髪が三つ編みで揺れ、紅い瞳が妖しく光る。
白く冷たい陶器のような肌が月明かりに照らされ、深紅と墨黒の軽装甲が身体のラインを強調した。
豊満な双丘が揺れ、強化革製の拘束ベルトが食い込む。
彼女は背中から機構式クロスボウを取り出し、黒檀製のフレームに銀装飾が施された大型クロスボウを構えた。
「……了解」
リュネットが短く答える。
身長百六十七センチ、漆黒に近い深藍色の髪がストレートに肩まで流れ、前髪が片目を隠す。
細めの淡い銀青の瞳が冷たく光り、無表情の奥に燃える激情を秘めている。
ダークグレーと漆黒の高機動戦闘衣が身体に密着し、細腰からの曲線が美しく、腰回りのラインが色香を漂わせた。
彼女は短銃を抜き、高圧魔力圧縮機構が青白く発光する。
「セシリア、魔術支援を頼む!」
「はぁい、わかりましたわ」
イグナーツの言葉に、セシリアが優しく答えた。
身長百五十八センチ、淡いミルクティーブラウンのゆるふわウェーブが揺れ、ツインお団子から毛先がふわりとほどける。
まんまるな目に、ほんのりピンクがかった頬。
タレ目気味の金色の瞳がゆったりとした光を湛え、口元には柔らかな微笑が浮かぶ。
生成色のロングコートワンピースが風に煽られ、豊満な胸が大きく揺れる。
彼女は杖剣を構え、白銀の柄と水晶の刃が淡く発光した。
「全員、撃て!」
イグナーツの号令と共に、荷台から一斉に攻撃が放たれた。
エリザベートの槍から閃光が迸り、聖銀の光が夜狼王を貫こうとする。
カタリナの杖から氷結魔術が発動し、氷の槍が空中を駆けた。
ヴィオラのクロスボウから毒矢が放たれ、リュネットの短銃から魔力の波紋が撃ち出される。
セシリアの杖剣から光の刃が飛び、ルーカスが戦鎚を振り上げた。
ヴェルナーが黄金の大剣を構え、ユリウスがレイピアを握る。
だが、夜狼王は咆哮を上げ、両腕を振るう。
鉤爪が空気を裂き、飛来する攻撃を次々と弾き飛ばす。
エリザベートの閃光は逸れ、カタリナの氷槍は砕け、ヴィオラの毒矢は弾かれる。
「クソ……硬い!」
ルーカスが苛立ちを露わにした。
焦げ茶の短髪が汗と血で張り付き、琥珀色の瞳が闘志に燃える。
鉄打ちの重コートが揺れ、金属のプレートアーマーが軋む。
「ガロット、お前の番だ!」
イグナーツが叫んだ。
「ああ、任せろ」
ガロットが薄く笑い、短銃を抜いた。
短く無骨な回転式リボルバー、彫金もなく機能性だけを追求した冷たい鉄の塊。
彼は片眼鏡型の暗視ゴーグルを展開し、夜狼王の動きを捉える。
金茶色の瞳が細められ、傷だらけの頬に薄い笑みが浮かぶ。
夜狼王が再び腐食液を吐こうとした瞬間、ガロットが引き金を引いた。
銃声が森に響き、弾丸が夜狼王の額を貫く。
銀粉と血糊が混ぜられた弾丸が、夜狼王の脳髄を破壊する。
巨体が一瞬静止し、赤く爛れた瞳が光を失う。
そして、轟音と共に夜狼王が地面に倒れ伏した。
「やった……!」
カタリナが喜びの声を上げる。だが、次の瞬間、異変が起きた。
夜獣たちが一斉に咆哮を上げたのである。
その咆哮は、ただの悲鳴ではなかった。
怒り、憎悪、そして狂気が混ざり合った、耳を劈く叫びである。
森全体が震え、木々の枝が激しく揺れた。
空気が振動し、馬車全体が揺れる。
「うぐ……あ、ああああ……!」
ユリウスが突然、頭を抱えた。
身長百七十五センチ、銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。
白磁のような肌に整った中性的な顔立ちが苦痛に歪み、伏せがちな蒼灰色の瞳が激しく揺れた。
彼は両手で頭を抱え、荷台の床に膝をついた。
黒を基調としたロングジャケットが乱れ、胸元の革紐の編み込みが解けかける。
「ユリウス! どうした!?」
エリザベートが駆け寄ろうとしたが、ユリウスは彼女を突き飛ばした。
「来るな……! 頭が……頭が……!」
ユリウスの声は苦痛に満ちている。
彼の能力”魔眼”が、夜獣たちの狂気を捉えてしまったのだ。
長時間使用による激しい頭痛に加え、狂気の波動が彼の精神を蝕んでいく。
「ユリウス、落ち着け! 目を閉じろ!」
イグナーツが叫んだが、ユリウスは聞こえていないようだった。
彼はレイピアを握りしめ、虚空を斬りつける。
薔薇の花弁を模した鍔が揺れ、極細の銀鋼製の刃が月光を反射した。
「くそ……精神攻撃か……!」
ガロットが舌打ちした。
その時、ヴィオラが悲鳴を上げる。
「きゃあっ!」
彼女は機構式クロスボウを構えたまま、左腕を押さえて倒れ込んだ。
深紅と墨黒の軽装甲の袖が裂け、白い肌が露わになる。
そこには緑色の腐食液が掠めた痕があり、皮膚が焼け爛れていた。
血が滲み、痛みに顔が歪む。
紅い瞳が涙で潤み、深い漆黒に紫を滲ませた長髪が乱れる。
豊満な胸が激しく上下し、強化革製の拘束ベルトが食い込む。
「ヴィオラ!」
リュネットが駆け寄り、彼女の腕を支えた。
「大丈夫……まだ、戦える……」
ヴィオラは歯を食いしばり、クロスボウを再び構える。
だが、その手は震えていた。
その瞬間、夜獣たちが地面から岩や石を拾い上げる。
そして、一斉に投擲を行った。
無数の岩石が空中を飛び、馬車へと降り注ぐ。
荷台の天井を覆う帆布に次々と直撃し、布が裂ける音が響く。
帆布が破れ、荷台の内部が露わになる。
「防げ!」
エリザベートが叫んだが、間に合わない。
夜獣たちは、その状況を見逃さなかった。
次々と口から腐食液を吐き、荷台の内部へと酸の雨が降り注ぐ。
緑色の液体が弧を描き、荷台の全員に向かい落下してくる。
最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます。
宜しければ評価とブックマーク登録をお願い致します。
活動の励みとなり更新が維持出来ます。




