12話 我が血を以て、塔の守りを強化せよ!
「……避けられましたぁ……」
彼女が呟いた。
スライム状の魔物は瞬く間に塔へと到着し、外壁を這い上がり始める。
「くそ……! 間に合わなかった……!」
怒声をイグナーツが吐き捨てた。
彼は短銃を構え、スライム状の魔物に向け、連続して発砲する。
銃声が連続して響き、弾丸がスライム状の魔物に着弾した。
だが、その瞬間――スライム状の魔物は自身の肉体の性質を活かし、外壁の隙間から塔内部へと侵入を試みた。
スライム状の魔物は身体を液状化させ、石壁の隙間へと染み込んでいく。
「野郎、アメーバの癖に中々どうして知能が高けぇじゃねぇか。くそがっ……!」
声を荒げながら言い、ガロットが短銃を連射した。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が鋭く光る。
深墨色のロングコートが揺れ、背中から腰にかけて複数のホルスターが揺れた。
銃声が連続して響き、弾丸がスライム状の魔物に着弾する。
だが、スライム状の魔物は柔らかな肉体で弾丸を受け止め、無力化した。
弾丸はスライム状の魔物の体内に沈み込み、溶かされていく。
「くそ……効かねぇ……!」
ガロットが舌打ちをした。
スライム状の魔物は、イグナーツたちの攻撃を無視し、塔内部への侵入を続ける。
だが、事前にカタリナが塔全体に防御魔法を施していたことから、スライム状の魔物は侵入にてこずっている状態であった。
石壁の隙間から染み込もうとするが、魔法障壁が阻み、なかなか進めない。
それを見てイグナーツは確信し、即座にカタリナへ向けて叫んだ。
「カタリナ! 防御魔法を強化しろ! このままではアイツに突破されて侵入を許してしまう……!」
彼の声は鬼気迫るものであり、切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光る。
濃藍の羽織が風に揺れ、右耳の真鍮の耳飾りが揺れた。
「了解です、隊長! 準備に三十秒ほど掛かります! 援護を……!」
即座に塔全体に掛けられている防御魔法の強化をカタリナは始める。
淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が真剣に光った。
懐からナイフを取り出し、彼女は自身の左腕を切る。
皮膚が裂け、血が滲む。
カタリナは痛みに顔を歪めるが、構わず血を使い、地面に魔法陣を描き始めた。
血が地面に染み込み、禍々しい魔法陣が浮かび上がる。
魔法陣は複雑な幾何学模様を描き、古代語の呪文が刻まれていた。
まるで黒魔術のような、禍々しい雰囲気を纏う。
「……ちょっと痛いですけど……我慢しますぅ……」
微笑みながら彼女は呟いた。
カタリナは魔法陣を完成させると、魔術刻印杖を高く掲げ、詠唱を始める。
「刻まれた理を呼び醒ませ。朱き代償を以て、呪われし侵入を拒絶せん。……再構築、絶拒の古塔!」
彼女の声は甘く柔らかいが、その魔力は圧倒的である。
杖頭の欠けた水晶から、魔力の霧が放出され、魔法陣が眩く輝く。
次の瞬間、塔全体が淡く光り始めた。
魔法障壁が強化され、塔の壁、天井、床、すべてがより強固な魔法障壁に覆われる。
スライム状の魔物は、魔法障壁の強化により、侵入を阻まれた。
「……成功しましたぁ……!隊長、防御魔法の強化に成功しましたぁ……!」
微笑みながらカタリナが報告した。
そして、彼女は即座に魔術刻印杖を振るい、スライム状の魔物へと氷魔法を放つ。
「熱なき絶望よ、爆ぜろ。万象を白銀の檻に閉じ込め、時の刻みすらも凍てつかせん。――白濁の氷河!」
氷結魔術が発動し、スライム状の魔物を包み込む。
スライム状の魔物は、瞬く間に凍りつき、動きを止めた。
そして次の瞬間――凍りついたスライム状の魔物が砕け散る。
「……倒しましたぁ……!」
微笑みながらカタリナが言った。
「よくやった、カタリナ……! お前のおかげで助かった……!」
彼女の方を向き、イグナーツは感謝の言葉を述べる。
彼の切れ長の黒目がちな瞳が感謝の色を浮かべた。
濃藍の羽織が風に揺れ、右耳の真鍮の耳飾りが揺れる。
「……ありがとうございますぅ……!」
微笑みながらカタリナが答えた。
だが、その瞬間――複数の夜狼が、いつの間にか塔を登り切っており、最上階へと飛び上がる。
「グルルルル……ガァアアアアアッ!」
夜狼たちは鉤爪を振るい、仲間たちに襲い掛かった。
「ぐあっ……!」
ルーカスは戦鎚を構えていたが、複数の夜狼に囲まれ、一体の夜狼の鉤爪を受けてしまう。
夜狼の鉤爪を受け、彼は吹き飛ばされた。
焦げ茶の短髪が汗と血に汚れ、琥珀色の瞳が苦痛に歪む。
身体は壁に叩きつけられ、激しい衝撃がルーカスの全身を襲う。
「やばいな……っ! くそ、腕を折られたッ……!」
苦悶とした顔を浮かべながら、彼は折れた右腕を見て悲鳴を上げた。
右腕は不自然な角度に曲がっており、骨が折れているのが明白である。
血が滲み、痛みに顔が歪む。
「治癒魔法が使える者は、ルーカスの手当にあたれ……! 急げ……!」
即座にイグナーツは叫んだ。
彼の声は緊迫しており、切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光る。
そして他の男性陣は、塔の外壁を登り来る魔物たちを迎撃していたが、次々に弾切れを起こし始めた。
ガロットは短銃の引き金を引いたが、空撃ちの音が響く。
「くそっ……! もう弾がねえぞ……!」
愚痴を吐くように彼が嘆いた。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が苛立ちに揺れる。
深墨色のロングコートが揺れ、背中から腰にかけて複数のホルスターが揺れた。
ガロットは腰に装備されている黒蛇の鎖剣に視線を向ける。
それは最後の手段だ。
ヴェルナーも短銃の引き金を引いたが、空撃ちの音が響く。
「くそ……! 弾が尽きた……!」
冷静に彼が呟いた。
長めの金髪が後ろで一束に結ばれ、切れ長の蒼い瞳が冷たく光る。
白と金を基調とした布鎧が揺れ、銀縁のロングマントが揺れた。
ヴェルナーは、腰に装備されている、黄金の大剣に視線を向ける。
ユリウスも二連式銃の引き金を引いたが、空撃ちの音が響く。
「……弾切れ」
無表情で彼が呟いた。
銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。
ユリウスは、腰に装備されている、レイピアに視線を向けた。
だが、その瞬間――イグナーツが即座に動く。
彼は事前に武器庫から運んで、近くに置いておいた弾薬箱を手に取り、それを仲間たちへと投げ渡した。
「おい、受け取れ……!」
イグナーツが叫んだ。
切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、濃藍の羽織が風に揺れる。
弾薬箱が空中を飛び、ガロットの元へと届く。
「おお、助かるぜ……!」
薄く笑いながら、彼が弾薬箱を受け取った。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が輝く。
彼は弾薬箱を開け、短銃に弾薬を補充し始めた。
弾丸を一発、また一発と装填していく。
「ヴェルナー、受け取れ……!」
イグナーツは別の弾薬箱を、ヴェルナーへと投げ渡した。
「感謝する……」
冷静に弾薬箱を受け取り、彼が短銃に弾薬を補充し始める。
長めの金髪が後ろで一束に結ばれ、切れ長の蒼い瞳が冷たく光った。
「ユリウス、受け取れ……!」
イグナーツは別の弾薬箱をユリウスへと投げ渡す。
「……感謝する」
無表情で弾薬箱を受け取り、彼が二連式銃に弾薬を補充し始めた。
銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。
仲間たちは弾薬を補充すると、再び意気揚々とした言動を取りながら、魔物の迎撃を続けた。
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