9話 お母さん……たすけて……
「お母さん……たすけて……」
その声は幼く、か細く、まるで恐怖に震える子供のものである。
だが、その声を発している顔は――醜く歪んだ夜狼の顔。
赤く爛れた瞳が涙を流すかのように光り、口元には歪んだ笑みが浮かぶ。
まるで子供の声を真似ながら、獲物を嘲笑うかのような表情である。
その声を聞いて、イグナーツと仲間たちは別次元の恐怖感を覚えた。
攻撃の手が一斉に止まる。
「な……なに……?」
エリザベートが声を震わせた。白金の髪が揺れ、蒼い瞳が恐怖に揺れた。
「……嘘……ですよねぇ……?」
恐怖に震えながらカタリナが呟いた。
淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が恐怖に揺れる。
彼女の手は、魔術刻印杖を握りしめたまま、震えていた。
「何だ……アイツ……?」
薄く笑いを浮かべながらも、ガロットが警戒の色を滲ませる。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が鋭く光った。
「……異常だ」
無表情でユリウスが呟く。
銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。
「何だアイツ……? 怖い……」
恐怖しながらヴィオラが呟いた。
深い漆黒に紫を滲ませた長髪が三つ編みで揺れ、紅い瞳が恐怖に揺れる。
「……怖い」
リュネットが無表情で呟いた。
だが、その声には僅かに恐怖が滲んでいる。
漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が冷たく光った。
「えへへ……怖い……怖いですぅ……」
恐怖に震えながらセシリアが呟く。
淡いミルクティーブラウンのゆるふわウェーブが揺れ、ツインお団子から毛先がふわりとほどける。
「くそ……! 本当に人語を……!」
やはり、あの時聞こえた声は気のせいではなく、現実のものである事をイグナーツは認識した。
「お前達……! 怖気づくな……! 恐らく喰らった人間の声を真似しているだけだ……! 攻撃を続けろ……! 止まるな……!」
即座に声を荒げて、彼は仲間に命令を出す。
イグナーツの声は力強く、仲間たちを鼓舞する。
切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、濃藍の羽織が風に揺れた。
右耳の真鍮の耳飾りが揺れ、左手の黒紐の腕輪が軋む。
彼は短銃を構え、その魔物に向けて発砲した。
銃声が響き、弾丸が魔物の胸を狙う。
イグナーツが攻撃を再開させた事で、仲間たちも攻撃を再開させた。
「了解……!」
エリザベートが叫び、聖銀の槍を構える。
白金の髪が揺れ、蒼い瞳が決意に燃えた。
「やってやるぜ……!」
薄く笑いながら叫び、ガロットが黒蛇の鎖剣を構える。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が輝く。
「……攻撃する」
無表情でユリウスが呟き、レイピアを構えた。
銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。
「殺してやる……!」
ヴィオラが叫び、機構式クロスボウを構えた。
深い漆黒に紫を滲ませた長髪が三つ編みで揺れ、紅い瞳が鋭く光る。
「……殺す」
無表情でリュネットが呟き、短銃を構えた。
漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が冷たく光る。
だが、カタリナは依然として恐怖に震えていた。
「……怖い……怖いですぅ……でも……やらないと……」
魔術刻印杖を高く掲げ、彼女は詠唱を始める。
淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が恐怖に揺れた。
「天に座す光よ、我が意志を宿して不倒の楔となれ。その一突き、因果さえも貫かん。――聖約の裁光槍!」
カタリナの声は震えているが、その魔力は圧倒的である。
杖頭の欠けた水晶から魔力の霧が放出され、周囲に魔法陣が展開された。
次の瞬間、魔法陣から光の槍が放たれる。
光の槍は、その魔物の心臓を貫いた。
魔物は『お母さん……』と呟きながら、心臓を撃たれる。
だが、その魔物は何故か攻撃を一度も仕掛けることはなく、ただイグナーツたちに一種の恐怖感を与えて残し、まるで糸が切れた操り人形のように――そのまま塔から落下した。
魔物の身体は地面に激突し、四肢が飛散する。
血が飛び散り、肉片が散乱した。
「な……何だったんだ……アイツは……」
静かにイグナーツが吐き捨てる。
だが、その瞬間――彼の横に、塔を登り終えた魔物の影が映った。
イグナーツと仲間たちの意識が、人語を話す魔物へと一ヶ所に集中していたせいで、一部の魔物が塔を登り切っていたのである。
「くそ……!」
魔物の攻撃を受けそうになると、この至近距離では攻撃は回避できないとして、彼は負傷覚悟で防御の姿勢を取った。
イグナーツは大剣を構え、魔物の鉤爪を受け止めようとする。
夜狼は鉤爪を振るい、イグナーツの首を狙う。
だが、その瞬間――横から仲間の一人、ガロットが颯爽と現れた。
「ちっ、ふざけんな……! この糞野郎が……!」
声を荒げながら彼が叫び、黒蛇の鎖剣を振るう。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が鋭く光る。
深墨色のロングコートが揺れ、背中から腰にかけて複数のホルスターが揺れた。
黒蛇の鎖剣が夜狼の首を切り裂く。
夜狼は悲鳴を上げることもなく、首が飛び、血が飛び散る。
夜狼の身体は塔から落ちていく。
「ガロット……助かった……感謝する……」
イグナーツは息を荒げながら、ガロットに感謝を述べた。
彼の切れ長の黒目がちな瞳が感謝の色を浮かべる。
濃藍の羽織が風に揺れ、右耳の真鍮の耳飾りが揺れた。
「おいおい、隊長が死んだら困るんだよ。気をつけろよ」
ガロットは薄く笑いながら、軽い言葉をかける。
漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が輝く。
彼は黒蛇の鎖剣を収め、短銃を取り出し、弾を込め始めた。
「さて、まだまだ来るぜ。気合入れていこうぜ」
薄く笑いながら、ガロットが言い放つ。
イグナーツは頷き、短銃を構え直す。
そして彼は息を整えると、冷静に仲間たちへと指示を出した。
「全員、態勢を整えろ……! 徹底抗戦の姿勢を見せる……! 一斉に射撃や魔法攻撃を放ち、塔を登る魔物たちを殺せ……!」
イグナーツの声は力強く、仲間たちを鼓舞する。
切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、濃藍の羽織が風に揺れる。
右耳の真鍮の耳飾りが揺れ、左手の黒紐の腕輪が軋む。
「「「了解……!」」」
全員が一斉に返事をし、武器を構えた。
イグナーツは短銃を構え、塔を登る夜狼たちに向けて発砲する。
銃声が響き、弾丸が夜狼たちの頭部を貫く。
夜狼たちは悲鳴を上げ、塔から落下する。
「穢れなき白銀よ、世界を覆う夜を暴き、黎明の福音を穿て。……散りなさい、浄罪の聖棘!」
聖銀の槍を構え、エリザベートは詠唱を始めた。
魔法陣が展開され、閃光が放たれる。
閃光は夜狼たちを貫き、浄化しながら塔から落とす。
白金の髪が風に揺れ、蒼い瞳が決意に燃える。
豊かな胸が激しく上下し、白いレースの下着が透けて見えた。
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