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魔物に包囲された塔で半年間の籠城を命じられた狩人部隊、仲間たちは少しずつ壊れていき、救援隊が来た時には俺しか残っていなかった  作者: りつりん
第二章

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9話 お母さん……たすけて……

「お母さん……たすけて……」


 その声は幼く、か細く、まるで恐怖に震える子供のものである。

 だが、その声を発している顔は――醜く歪んだ夜狼の顔。


 赤く爛れた瞳が涙を流すかのように光り、口元には歪んだ笑みが浮かぶ。

 まるで子供の声を真似ながら、獲物を嘲笑うかのような表情である。


 その声を聞いて、イグナーツと仲間たちは別次元の恐怖感を覚えた。

 攻撃の手が一斉に止まる。


「な……なに……?」


 エリザベートが声を震わせた。白金の髪が揺れ、蒼い瞳が恐怖に揺れた。


「……嘘……ですよねぇ……?」


 恐怖に震えながらカタリナが呟いた。

 淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が恐怖に揺れる。

 彼女の手は、魔術刻印杖を握りしめたまま、震えていた。


「何だ……アイツ……?」


 薄く笑いを浮かべながらも、ガロットが警戒の色を滲ませる。

 漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が鋭く光った。


「……異常だ」


 無表情でユリウスが呟く。

 銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。


「何だアイツ……? 怖い……」


 恐怖しながらヴィオラが呟いた。

 深い漆黒に紫を滲ませた長髪が三つ編みで揺れ、紅い瞳が恐怖に揺れる。


「……怖い」


 リュネットが無表情で呟いた。

 だが、その声には僅かに恐怖が滲んでいる。

 漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が冷たく光った。


「えへへ……怖い……怖いですぅ……」


 恐怖に震えながらセシリアが呟く。

 淡いミルクティーブラウンのゆるふわウェーブが揺れ、ツインお団子から毛先がふわりとほどける。


「くそ……! 本当に人語を……!」


 やはり、あの時聞こえた声は気のせいではなく、現実のものである事をイグナーツは認識した。


「お前達……! 怖気づくな……! 恐らく喰らった人間の声を真似しているだけだ……! 攻撃を続けろ……! 止まるな……!」


 即座に声を荒げて、彼は仲間に命令を出す。

 イグナーツの声は力強く、仲間たちを鼓舞する。


 切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、濃藍の羽織が風に揺れた。

 右耳の真鍮の耳飾りが揺れ、左手の黒紐の腕輪が軋む。


 彼は短銃を構え、その魔物に向けて発砲した。

 銃声が響き、弾丸が魔物の胸を狙う。

 イグナーツが攻撃を再開させた事で、仲間たちも攻撃を再開させた。


「了解……!」


 エリザベートが叫び、聖銀の槍を構える。

 白金の髪が揺れ、蒼い瞳が決意に燃えた。


「やってやるぜ……!」


 薄く笑いながら叫び、ガロットが黒蛇の鎖剣を構える。

 漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が輝く。


「……攻撃する」


 無表情でユリウスが呟き、レイピアを構えた。

 銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。


「殺してやる……!」


 ヴィオラが叫び、機構式クロスボウを構えた。

 深い漆黒に紫を滲ませた長髪が三つ編みで揺れ、紅い瞳が鋭く光る。


「……殺す」


 無表情でリュネットが呟き、短銃を構えた。

 漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が冷たく光る。

 だが、カタリナは依然として恐怖に震えていた。


「……怖い……怖いですぅ……でも……やらないと……」


 魔術刻印杖を高く掲げ、彼女は詠唱を始める。

 淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が恐怖に揺れた。


「天に座す光よ、我が意志を宿して不倒の(くさび)となれ。その一突き、因果さえも貫かん。――聖約の裁光槍(ロンギヌス・レプリカ)!」


 カタリナの声は震えているが、その魔力は圧倒的である。

 杖頭の欠けた水晶から魔力の霧が放出され、周囲に魔法陣が展開された。

 次の瞬間、魔法陣から光の槍が放たれる。


 光の槍は、その魔物の心臓を貫いた。

 魔物は『お母さん……』と呟きながら、心臓を撃たれる。


 だが、その魔物は何故か攻撃を一度も仕掛けることはなく、ただイグナーツたちに一種の恐怖感を与えて残し、まるで糸が切れた操り人形のように――そのまま塔から落下した。


 魔物の身体は地面に激突し、四肢が飛散する。

 血が飛び散り、肉片が散乱した。


「な……何だったんだ……アイツは……」


 静かにイグナーツが吐き捨てる。

 だが、その瞬間――彼の横に、塔を登り終えた魔物の影が映った。


 イグナーツと仲間たちの意識が、人語を話す魔物へと一ヶ所に集中していたせいで、一部の魔物が塔を登り切っていたのである。


「くそ……!」


 魔物の攻撃を受けそうになると、この至近距離では攻撃は回避できないとして、彼は負傷覚悟で防御の姿勢を取った。


 イグナーツは大剣を構え、魔物の鉤爪を受け止めようとする。

 夜狼は鉤爪を振るい、イグナーツの首を狙う。

 だが、その瞬間――横から仲間の一人、ガロットが颯爽と現れた。


「ちっ、ふざけんな……! この糞野郎が……!」


 声を荒げながら彼が叫び、黒蛇の鎖剣を振るう。

 漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が鋭く光る。


 深墨色のロングコートが揺れ、背中から腰にかけて複数のホルスターが揺れた。

 黒蛇の鎖剣が夜狼の首を切り裂く。


 夜狼は悲鳴を上げることもなく、首が飛び、血が飛び散る。

 夜狼の身体は塔から落ちていく。


「ガロット……助かった……感謝する……」


 イグナーツは息を荒げながら、ガロットに感謝を述べた。

 彼の切れ長の黒目がちな瞳が感謝の色を浮かべる。

 濃藍の羽織が風に揺れ、右耳の真鍮の耳飾りが揺れた。


「おいおい、隊長が死んだら困るんだよ。気をつけろよ」


 ガロットは薄く笑いながら、軽い言葉をかける。

 漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が輝く。

 彼は黒蛇の鎖剣を収め、短銃を取り出し、弾を込め始めた。


「さて、まだまだ来るぜ。気合入れていこうぜ」


 薄く笑いながら、ガロットが言い放つ。

 イグナーツは頷き、短銃を構え直す。

 そして彼は息を整えると、冷静に仲間たちへと指示を出した。


「全員、態勢を整えろ……! 徹底抗戦の姿勢を見せる……! 一斉に射撃や魔法攻撃を放ち、塔を登る魔物たちを殺せ……!」


 イグナーツの声は力強く、仲間たちを鼓舞する。

 切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光り、濃藍の羽織が風に揺れる。

 右耳の真鍮の耳飾りが揺れ、左手の黒紐の腕輪が軋む。


「「「了解……!」」」


 全員が一斉に返事をし、武器を構えた。

 イグナーツは短銃を構え、塔を登る夜狼たちに向けて発砲する。


 銃声が響き、弾丸が夜狼たちの頭部を貫く。

 夜狼たちは悲鳴を上げ、塔から落下する。


(けが)れなき白銀よ、世界を覆う夜を暴き、黎明の福音(ふくいん)穿(うが)て。……散りなさい、浄罪の聖棘(ルミナス・ディバイド)!」


 聖銀の槍を構え、エリザベートは詠唱を始めた。

 魔法陣が展開され、閃光が放たれる。


 閃光は夜狼たちを貫き、浄化しながら塔から落とす。

 白金の髪が風に揺れ、蒼い瞳が決意に燃える。

 豊かな胸が激しく上下し、白いレースの下着が透けて見えた。

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