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魔物に包囲された塔で半年間の籠城を命じられた狩人部隊、仲間たちは少しずつ壊れていき、救援隊が来た時には俺しか残っていなかった  作者: りつりん
第二章

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8話 人語を介する魔物

「……まだまだですぅ……!」


 微笑みながらカタリナが叫んだ。淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が輝く。

 その時、ヴェルナーが突如として短銃を放棄した。

 彼は黄金の大剣を鞘から引き抜く。


「もう飽きた……近接戦に切り替える……」


 ヴェルナーの声は冷静だが、その目には狂気が滲んでいる。

 戦いの影響でハイテンションになっているのだ。


 長めの金髪が後ろで一束に結ばれ、切れ長の蒼い瞳が冷たく光る。

 白と金を基調とした布鎧が揺れ、銀縁のロングマントが揺れる。


 彼は塔から出来る限り身を乗り出し、塔の外壁を登る魔物たちへ刃先を向けた。

 そして、一体の夜狼に狙いを定める。

 夜狼は鉤爪を石壁に突き刺し、必死に塔を登ってゆく。


 その目は赤く爛れ、憎悪に燃えていた。

 ヴェルナーは醜い笑みを浮かべ、不敵な笑い声を上げながら、大剣を夜狼の顔へと突き刺そうとする。


「ハハハハ……! 来い……! お前の顔を貫いてやる……!」


 彼の声は冷静さを失い、狂気に満ちていた。

 切れ長の蒼い瞳が狂気に揺れ、口元には不敵な笑みが浮かぶ。

 大剣が夜狼の顔へと迫る。


 刃先が月光を反射し、眩く輝く。

 神聖属性を持つ大剣が、夜狼の顔へと突き刺さろうとしている。

 夜狼は悲鳴を上げ、必死に避けようとするが――


 ヴェルナーの大剣が夜狼の顔を貫いた。

 刃が夜狼の頭蓋を突き破り、脳髄を破壊する。

 夜狼は悲鳴を上げることもなく、塔から落ちていく。


 そして彼は依然として塔から身を乗り出し、黄金の大剣を振るい続けていた。

 だが、その瞬間――下から魔物たちが腐食液を飛ばし始める。

 緑色に発光する液体が弧を描き、塔の最上階へと飛来した。


「くそ……! 腐食液だ……!」


 イグナーツが叫んだ。だが、警告は間に合わない。

 腐食液の一部が、ヴェルナーの右手に触れてしまった。


「ぐあああああああああああっ……!」


 彼の悲鳴が塔全体に響き渡る。

 ヴェルナーの右手からは煙が微かに上がり、肉が溶ける深刻な臭いが漂う。

 それはまるで肉が強力な酸で溶かされているかのような感じであり、皮膚が焼け爛れ、筋肉が露わになる。


 右手は赤く腫れ上がり、血が滲む。

 壮絶な痛みを受けているのか、彼は泣き叫び続けた。


「痛い……! 痛い……! くそ……! くそおおおお……!」


 彼の声は苦痛に満ちており、涙が頬を伝う。

 長めの金髪が後ろで一束に結ばれ、切れ長の蒼い瞳が苦痛に歪む。


 白と金を基調とした布鎧が揺れ、銀縁のロングマントが揺れる。

 黄金の大剣を握りしめたまま、ヴェルナーは地に膝をついた。

 イグナーツは彼の悲鳴を聞いて、即座に指示を出す。


「セシリア、ヴェルナーの援護に回れ……! 手当を急げ……!」


 彼の声は緊迫しており、切れ長の黒目がちな瞳が鋭く光る。

 濃藍の羽織が風に揺れ、右耳の真鍮の耳飾りが揺れた。


「は、はぁい……! わかりましたぁ……!」


 セシリアは杖剣を握りしめ、魔物たちを迎撃しながら、ヴェルナーに近づく。

 淡いミルクティーブラウンのゆるふわウェーブが揺れ、ツインお団子から毛先がふわりとほどける。


 まんまるな目に、ほんのりピンクがかった頬。

 タレ目気味の金色の瞳が、真剣に彼を見つめる。

 彼女は杖剣を振るい、塔を登る夜狼に光の刃を放ちながら、ヴェルナーの服を掴んだ。


「ヴェルナー、動かないでくださいねぇ……! 今、手当しますからぁ……!」


 セシリアの声は優しく柔らかいが、その目は真剣である。

 彼女は彼の服を掴み、力任せに引きずって後ろへと後退させた。

 ヴェルナーは右手の痛みに耐えながらも、魔物に対して罵詈雑言の嵐を呟き続ける。


「くそ……! 忌々しい獣どもめ……! 全て浄化してやる……! 一匹残らず……! 殺してやる……!」


 彼の声は苦痛と憎悪に満ちており、長めの金髪が汗に濡れた。

 切れ長の蒼い瞳が憎悪に燃え、歯を食いしばる。

 セシリアはヴェルナーを、安全な場所へと引きずり、手当を始めた。


 彼女は杖剣を地に置き、魔術刻印杖を取り出す。

 セシリアは彼の右手を確認し、腐食液により焼け爛れた皮膚を見つめた。


「えへへ……ちょっと痛いですけど、我慢してくださいねぇ……」


 彼女は杖を振るい、癒しの魔法を発動した。

 淡い光がヴェルナーの右手を包み、焼け爛れた皮膚を徐々に癒していく。


 だが、魔物の進撃も凄まじい。

 セシリアは適度に魔物を攻撃しながら医療行為を行った。


 杖剣を拾い上げ、塔を登る夜狼に光の刃を放つ。

 夜狼は悲鳴を上げ、塔から落ちていく。


「えへへ……まだまだですぅ……! ヴェルナー、もう少しですからねぇ……!」


 彼女の声は微笑みを浮かべているが、その目は真剣である。

 淡いミルクティーブラウンのゆるふわウェーブが揺れ、豊満な胸が激しく上下した。

 ヴェルナーは、右手の痛みに耐えながらも、呻き続ける。


「くそ……! 痛い……! だが……まだ戦える……! 俺はまだ……!」


 彼の声は苦痛に満ちているが、その目には決意が宿されていた。


「全員、耐えろ……! 絶対に生き延びるぞ……!」


 イグナーツと仲間たちは、熱い言葉を交わしながらも、魔物たちとの戦いを続けている。


「おうよ……! やってやるぜ……!」


 ルーカスが叫んだ。焦げ茶の短髪が汗に濡れ、琥珀色の瞳が闘志に燃える。


「まだまだ行けるぜ……!」


 薄く笑いながらガロットが叫んだ。漆黒の髪がオールバックに撫け付けられ、金茶色の瞳が輝く。


「……全部殺す」


 無表情でユリウスが呟いた。銀灰色の髪がポニーテールで揺れ、前髪が右目を隠している。


「来いよ……! あたしが全部殺してやる……!」


 ヴィオラが叫んだ。深い漆黒に紫を滲ませた長髪が三つ編みで揺れ、紅い瞳が鋭く光る。


「……全部殺す。一体残らず」


 無表情でリュネットが呟いた。漆黒に近い深藍色の髪が揺れ、細めの淡い銀青の瞳が冷たく光る。


「……まだまだですぅ……!」


 微笑みながらカタリナが叫んだ。淡い薔薇金の髪が揺れ、大きなライラック色の瞳が輝く。


「必ず生き延びるわ……!」


 エリザベートが叫んだ。白金の髪が風に揺れ、蒼い瞳が決意に燃える。

 豊かな胸が激しく上下し、白いレースの下着が透けて見えた。


 イグナーツは塔から身を乗り出し、短銃を構え、塔を登る魔物たちに向けて銃撃を続ける。

 銃声が響き、弾丸が夜狼たちの頭部を貫く。


 夜狼たちは悲鳴を上げ、次々と塔から落下する。

 だが、その瞬間――唐突に一体の魔物が何やら人語のようなものを呟きながら、塔の外壁を登ってきた。


「……ニ……ンゲ……ン……コロ……ス……」


 その声は低く、歪んでおり、だが確かに人語である。

 イグナーツは一瞬、混乱状態に陥り、攻撃の手が止まった。


「な……なに……? 今、人語を……?」


 イグナーツの切れ長の黒目がちな瞳が驚愕に揺れる。

 濃藍の羽織が風に揺れ、右耳の真鍮の耳飾りが揺れた。

 だが、彼は直ぐに知性の低い魔物が人の言葉を話せる訳がないとして、気のせいとして無視する。


「気のせいだ……魔物が人語を話せる訳がない……」


 短銃を構え直し、イグナーツは再び銃撃を続けた。

 銃声が響き、弾丸がその魔物へと飛ぶ。


 だが、その魔物は外壁を登りながら、巧みに銃弾を交わした。

 身体を捻り、鉤爪を使って壁を蹴り、弾丸を避ける。

 その動きは、他の夜狼たちとは明らかに異なり、知性を感じさせた。


「くそ……! 避けやがった……!」


 イグナーツが舌打ちをする。

 その魔物は塔を登りきり、最上階へと飛び上がり、彼と仲間たちの前に姿を見せた。


 それは二足歩行型の夜狼――だが、その体躯は他の夜狼よりも一回り大きく、身の丈約二・五メートルはある。

 黒灰色の体毛が逆立ち、赤く爛れた瞳が知性の光を宿していた。


 両腕には鋭い鉤爪が生え、口からは涎と共に腐臭が漏れる。

 額には角のような突起が生え、背中には棘が並ぶ。


 だが、最も異質なのは、その目である。

 その目は他の夜狼たちとは違い、赤く爛れているが、その奥には明確な知性の光が宿っていた。


 まるで人間のような――いや、人間以上の知性を持つかのような、鋭い眼光である。

 そして、その魔物は再び口を開き、歪んだ人語を呟いた。

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