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第11話 踊る道化

 早馬に乗ったミレニアム共和国国王の使者が国王の封蝋を施した書状を持って、翌日未明にサリウス伯爵邸に訪れ開戦を通達してきた。


 サリウス伯爵邸では、首都の状況と、映像魔道具を持たした駒達を密偵として、送り込んでおり、すべての状況がメアリーから伝えられていた。


 また、予想通り、エリスとジュリアスの元に大多数の暗殺者や密偵が連日送り込まれ、全て捕縛している。


「エリスお嬢様、既に差し向けられた暗殺者や密偵を、全て捕縛し感染型の傀儡術式を施し、巣へ放っており、傀儡術式にかかった者が、百名を超いています。未だに感染術式が発動していますので、更に手駒が増えるかと。」


「そう。組織ごとこちらの手駒にできるから楽でいいわ。この共和国の暗殺組織はこの件が片付いたら、総て解散して真っ当に生きて貰いましょう。密偵はこちらで頂いておきましょう。全てが終わったら必要となるしね」


「はい、エリスお嬢様」


───

──

 アルデバラン公爵(軍務卿)が画策している。絶対王制の樹立と自身が王となるための暗躍──


 それだけなら、エリスもジュリアスも『好きにすればぁ〜』…と傍観していたが、エンケラド辺境伯領とサリウス伯爵領をドラン帝国に引き渡す条件で秘密協定を結んだことは、エリスとジュリアスと家族全員の琴線に引っ掛かった。


 到底赦されざる暴挙だ。


 そこで、エリスは共和国と帝国への嫌がらせの筋書きを考えた。その結末も…


 とても嬉しそうにジュリアスも交え一番楽しくなりそうに脚本を創作する。


 女神に不可能は無い

 想えば実現する箱庭


 二人で考えた脚本を家族へ伝えた。家族からエンケラド辺境伯家へ、領内の縁者へ秘密裏に脚本が伝えられたのだ

 エリスが、その舞台をわざと学術院を選んだのは、丁度良かったから、煩わしいもの、無駄ものをスルーするためだった。


 そうして、エリスとジュリアスが考えた脚本どおり進み現在に至っているのだ


 二人への襲撃者をこちらの隠密と戦力として有効活用している状況


 ドラン帝国の動きは、ビャクの眷属が監視を行い、常にドラン帝国軍の動きを神聖界から見ており、詳細な指示がエリスとジュリアスとお母様から出されているのだった。


 共和国軍の動きも同様に監視され、アルデバラン公爵家やエリスが想定している。キナ臭い貴族家の監視を、乗っ取った隠密組織や暗殺組織を使い、人知れず秘密裏に諜報活動を行わせている。


 それ以外でも、エリスにちょっかいをかけてくる、貴族家の密偵部隊や暗殺者を勝手に増える便利な駒として、捕縛、洗脳、放流、諜報といったサイクルで有効活用している。


 首都の『緑の森亭』は、さしずめ司令塔のように、共和国内の情報がすべて集まり、その情報をサリウス伯爵とエンケラド辺境伯にリアルタイムに流され、刻一刻と包囲網が築き上げられていく。


 国王の開戦の書状を受け、2週間が経過したころ、満を期して、共和国軍六万がセリウス伯爵領を目指して進軍した。


 戦況はセリウス伯爵領が圧倒的に劣勢との噂を聞き、共和国軍はサリウス領の街や村々をいかに蹂瀾するかを夢想し、下卑た思惑をそれぞれが抱き、楽勝のムードで進軍している。


 国境に停留していたドラン帝国軍三万も同時期に、エンケラド辺境伯領に進軍した。


 しかし、エンケラド辺境伯軍は、国境に姿を現さず、騎士一人も配備されていなかった。


 領都や各街や村々のみ騎士団が最低限配備されていた。


 これまでの戦略対応と異なることから、ドラン帝国軍の指揮をとる将軍は警戒を強めていた。


 侵略者は、負ける事を想定していない。戦争における無法状態に乗じて、共和国軍と同様に征服する土地の女性の尊厳や人権をいかに蹂躙するかを夢想し、下卑た思惑をそれぞれが抱き進軍していた。


 アルデバラン公爵の騎士団及び兵団一万が首都内に防衛のため配置された。


 王城にて、アルデバラン軍務卿は、王権を簒奪するため、アルデバラン公爵家の影の隠密に指示を出し、王城内に兵を密かに配置、時機を見て隆起する準備が着実に進む。


 しかし、その影の隠密も今やエリスとジュリアスの傀儡と化しており泳がしているに過ぎない。


 サリウス伯爵領は防衛せずにいつも通りの生活が営まれていた。全領民には伝達済みで、以前のリレトス聖教法国が攻め込んできた時の教訓と領主一家へのそれは強い信仰の賜物だった。


 その頃、エリスとジュリアスは、緑の森亭で、各眷属や洗脳した密偵達に指示を出し終え、結果を待つだけとなっており、優雅にお茶とお茶菓子を突きながら、空中に俯瞰映像を並べ状況を眺めていた。


 俯瞰映像を見ていたメアリーが戦況の変化に気付いた。


「エリスお嬢様、そろそろ、戦況が動き出しそうです。」


「そうね、エンケラド辺境伯領とサリウス伯爵領は、まぁ、何があっても大丈夫でしょう。」


「ええ、そうね。お姉様」


楽しげに眺めるエリス


「共和国軍とドラン帝国軍に踊っていてもらいましょう。その間に詰んでいることに気が付くでしょう。それよりも、後はいかに早く、こちらとエンケラド辺境伯の主力部隊が抑えるかよね。」


「まぁ、それは、大丈夫でしょう。ミモラ伯爵様もテティア様も張り切っていらっしゃったので、エンケラド辺境伯の主力部隊もビャクさんの眷属がそれぞれ付いているので、問題はありません。王城は、ビャクさんが指揮して、影の部隊がうまく誘導しているようなので、問題はありませんね。」とメアリーが続く


そして、いよいよ演者が踊り出す…


 エリスとジュリアスが黒いオーラを醸し出しながら、二人揃って全軍の指揮官へ念話で宣言する。


「「さぁ!邪魔者はすべて成敗!しますわよ!作成開始ですわ!」」


──エリス

『ミレニアム共和国制圧部隊!各部班長へ伝達!部隊を目的地へ転移を実行! 速やかに制圧開始!』

ミレニアム共和国制圧部隊

 指揮  エリス

 班長  ミモラ、テティア、ミツルギ、

     シルビア、カレン、クロエ


──ジュリアス

『ドラン帝国国境制圧班!各班長へ伝達! 砦制圧班、集団転移を直ちに実行! 速やかに砦制圧術式発動! 各部隊員は生存者を速やかに確保!』

 指揮  ジュリアス

 班長  メアリー、ビャク、シヴァ、

     ミロク、ディア、ファル


───

──


──作戦開始から三時間後⋯


「こちら、サリウス領ミモラ隊300名、アルデバラン公爵邸及び公爵領制圧完了!首謀者の一人確保!制圧班を残し隣領の子爵領へ向かうわ!」


「こちら、サリウス領シルビア隊50名、モビット伯爵領及び伯爵邸制圧完了!首謀者確保!制圧班を残し、隣領の男爵領へ向かいます。」


「こちら、サリウス領ミツルギ隊50名、スグルト伯爵領及び伯爵邸制圧完了!制圧班を残し、隣領の男爵領2家の制圧に向かう。」


 次々と入ってくる戦果に二人に女神はほくそ笑む…

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