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第17話 母と娘達

 朝日が窓辺のレースカーテンを透かし、柔らかな光が食卓を照らしていました。


 特別にしつらえた家族専用キッチンからは、バターが溶ける香ばしい香りと、コトコトと煮えるスープの音が聞こえてきます。


 そう、今日は使用人達全員に休暇を与え、家族団らんで過ごすと決めた日…


「ジュリアス、おはよう。よく眠れたかしら?」


 テティアがエプロンの紐を結び直し、振り返って微笑みました。


 扉の影から顔を出し覗き込んだ私は、まだ少し大きすぎるお姉ちゃんの寝巻きの裾をぎゅっと握り、小さく頷きました。


「……おはようございます、お、お母様」


「ふふ、まだ、呼び方が慣れないのね。でも、いいわよ。あなたのペースでね」


 お母様は私の目を見つめて微笑みました。私はドキリッと、胸が高鳴り何だかポカポカしました。


 お母様は手際よく焼きたてのパンを皿に並べると、私の席に温かいミルクを置きました。


 私は椅子に座ると、目の前の食事をじっと見つめました。


 以前の私にとって、食事は必要としなかったのですが、お母様と暮らすようになってからは、それは『楽しみ』に変わりつつありました。


 向かい側に座ったお母様とお喋りしながら、朝食を頂きます。何だか照れくさいけど、自然と頬が緩みます。


「今日のジャムは、昨日一緒に摘んだ木苺で作ったのよ。食べてみて」


 私は恐る恐るスプーンを取り、赤いジャムをパンに乗せて口に運びます。甘酸っぱい香りが口いっぱいに広がり、お母様と一緒に収穫した時の歓びが蘇りました。


「……おいしい、です」


「よかった! 秋になったら、今度は林檎を収穫しに行きましょうね」


 お母様が優しく語りかけると、私は不器用ながらも、小さな笑みを浮かべ返した。私の表情を見たお母様は、咲き誇った笑顔で私に笑いかけてくれました。私の胸に、確かな温かな灯がともったのが分かりました。


 食後、お母様が庭に洗濯物を干しに出ようとするのを見て、私は、雛鳥の様にお母様の背を追いトテトテとついていった。お母様が地面に置いた洗濯カゴを見て、私は洗濯カゴの端を両手でしっかりと持って、お母様に、お手伝いするよ!と目で訴えてみた。


「手伝って、くれるの?」


「……はい。私、これくらいしか、できないから」


 俯く事しかできない私の頭を、お母様はそっと撫でてくれました。また、心がポカポカする…


「ありがとう。でもね、ジュリアス。あなたがここにいてくれるだけで、私はもう十分幸せなのよ。これからは一緒に、楽しいことをたくさん見つけていきましょうね」


 青空の下、白いシーツが風に揺れる…


 吸い込まれそうな大空を見上げた私は、眩しさに目を細め、それから隣にいるお母様の横顔をじっと見つめた。


 溢れ出る想いが、ポロッと自然と零れた


「……お母、様…大好き…です」


 消え入りそうな、けれど確かな響き。


 お母様は驚いて手を止め、目尻を下げて私を抱きしめました。


「ええ、ジュリアス。私も大好きよ、私の可愛い娘」


 二人の影が重なり、庭には穏やかな時間が流れていったのだった…


〜〜〜〜〜〜


 神聖会にビャク達と遊んで来ると言って境界跳躍術式で飛んで出て行ったエリスが満面の笑みで帰って来た。


「お母様〜!! ただいまなのじゃ〜♪」


「お帰り、エリスちゃん♪」


「お、お帰りなさい。エリスお姉様」


「おぉ♪ジュリアスもただいまなのじゃ!」


「エリスちゃん、神聖界で変わったことは無かった?皆、元気にしてるの?」


「おぉ、皆元気にしてるのじゃ!元気過ぎて、天界のルシフェルと天使共を相手に『城取り合戦』をして遊んでたら天界が半壊したのじゃ!

 それにブチギレたルシフェルと天使達が涙目で『やってくたなぁ!この邪神めっ!!』とかぬかすのでのぅ。

 『胸熱バトルごっこ』で、全員ぶちのめしてやったら、ビャク達がやり過ぎとか言うからのぅ。

 仕方がないから、天界と天使全員、元に戻してやったのじゃ!妾は偉い!偉いかのぉ!お母様!!」


「「半壊……ぶちのめす…」」


 テティアは考えた。深く、深く考えた。再教育するのは、ジュリアスではなく、奔放すぎるエリスではないのかと…。


「エ、エリスちゃん。ビャクちゃんが止めなかったら、どんな風になっていたのかしら〜」


 テティアは、無邪気に話すエリスに顔を引つらせながら聞いた。


「それはのぉ!当然、もう一度、ルシフェルを闇落ちさせて、前の『終末期決戦ラグナロクごっこ』の続きをして遊ぶのじゃ!胸熱バトルじゃな!」


「だめだわ…世界が滅びる未来しか見えないわ………」


「お姉ちゃんが、お姉ちゃんじゃない…」


「???」


 こうして、エリスだけ、一段と厳しい恐怖の再教育と躾が始まったのだった。


 ちなみに、ジュリアスは姉を反面教師として、順調に家族に溶け込んでいったのだった。

いつも読んでくれて嬉しいのじゃ!

それと応援してくれて感謝じゃ!

嬉しくて!妾は、張り切って

頑張るからのう!


これで、いよいよこの章も、幕間を2つ挟んで終わりじゃのぉ

新章を楽しみにするのじゃぞ!


(*´ω`*)/応援これからも頼むのじゃ⭐

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