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第10話 伝説の幕開け

 サリウス邸の晩餐は、嵐の前の静けさを体現していた。


 エリスディーテは空腹を満たすべく、三歳児の小さな口からは想像もつかない猛スピードで料理を胃袋に叩き込むと、最後に残った温かいスープを一気に飲み干した。


 しばしの談笑で鋭気を養った彼女たちの瞳には、もはや迷いはない。


 各自が武装を整え、空気は物理的な重みを伴って張り詰めていく。


「ふぅ、満足なのじゃ! では、行ってくるのじゃ。メアリー、ミツルギ、カレン、こちらへ。準備はよいな?」


「「「はい、いつでも!」」」


 三人の覚悟を確かめると、エリスは不敵に、そして残酷なまでに美しく微笑んだ。


「では、三村の中間地点へ送るのじゃ。……励むのじゃぞ!『転移術式展開』!」


 一瞬の眩い閃光──


 視界が開けた時、三人はサリウス領の中央、遮るもののない荒野のど真ん中に降り立っていた。


 着地と同時に、メアリーが熟練の動作で『認識阻害結界』と『断絶結界』を二重に展開する。これで零時まで、外界の干渉を受けずに「訓練」が可能となる。


「さて、二人とも。時間は限られています。魔法と術式の決定的な違い、そして魔力ではなく、魂から『神力』を練り上げる感覚……。死ぬ気で、いえ、死んでも骨の髄まで叩き込みます。覚悟はいいですね。」


 メアリーは戦神の加護を全身に纏い、その姿は一振りの神剣のように鋭く、冷徹な覇気を放っていた。


 そこから始まったのは、まさに地獄の戦闘訓練。


 一分一秒を惜しみ、三人の影が夜の荒野で激しく、そして凄まじい衝撃波を伴って交錯し続けた。


 一方、送り出した側のエリスもまた、翼を羽ばたかせんばかりの勢いで立ち上がる。


「妾も魔の森へ遊びに行ってくるのじゃ!『転移術式』展開!」


 エリスは誰よりも早く、今まさに「餌食」になろうとしている魔獣たちの待つ、漆黒に沈む森の入口へと音もなく消えていった。


「もう!遊びじゃ無いって言ってるでしょ!あの子は!」


 母テティアの怒りに触れたエリス。『説教』と『お叱り』が待っている…。


 背筋が急に寒くなるエリス。「な、なんじゃ!?妾が警戒するような敵がおるのか!」と警戒を強めた。


 その頃、サリウス伯爵邸の応接室では、ミモラが騎士長と冒険者ギルド長を前に、淡々と事態の全容を伝えていた。


「今夜、大規模な襲撃がある。街と村は結界で守るが、侵入者と魔獣の残党は一匹たりとも逃すな。これは掃討戦よ」


 最初は半信半疑だった二人も、ミモラから放たれる圧倒的な覇気と、背後に控えるシルビアの冷徹な魔力に押され、即座にテティアとシルビアの指揮下に入ることを決断した。


 邸内の者たちや、邸内に滞在しているエンケラド辺境伯一族は食堂に集められ、ミモラ直々の『籠城命令』が下される。


 また、領都内に滞在中の多くの披露宴参加家族へは騎士を派遣し同じく『籠城命令』が下された。


「一人で守るだと!? 元辺境伯である私を差し置いて……私も戦うぞ!」


「いいえ、二人ですわ!」


 息巻く父マリオと母ピーチュを、家族が必死に宥める。


 ミモラはそんな騒ぎを横目に、優雅に、しかし冷徹な眼差しで、領地全域を覆う『絶対結界』の維持へと意識を研ぎ澄ませていった。


 中央広場には、完全武装の騎士団200名と、金で雇われたのではない誇り高き冒険者100名が集結していた。


 壇上に立ったテティアは、これから起こる『人為的な魔獣氾濫』の真実と、サリウス伯爵家の総力をもってこれを迎撃することを宣言する。


「漏れ出た魔獣、そして潜伏している暗殺者はすべて掃討せよ。わが領地の土を踏んだことを後悔させなさい。一人も、生かして帰してはならないわ」


 テティアの慈悲深い聖母の如き声が、今は冷酷な処刑人の宣告として響く。


 混成部隊には即座に高度な隠蔽魔法が施され、夜の闇に溶け込むように各配置へと霧のように散っていった。


 指揮はシルビアに任せ、テティア自身も隠蔽魔法を纏い、首謀者たる聖教会のネズミが潜む粉挽き小屋へと、音もなく駆け出した。


──零時直前。


 メアリーによる「死のブートキャンプ」を終えたミツルギとカレンの姿には、確かな変革――いや、進化が起きていた。


 カレンは、かつての怯える少女ではなかった。持ち前の聡明さと水神の加護が融合し、術式の深淵を瞬時に理解。今や複雑な高位術式ですら無詠唱で発動させ、周囲の水分を死の刃へと変える権能を手に入れていた。


 一方のミツルギは、神力による肉体の再構成を経て、全盛期すら赤子に見えるほどの力を得ていた。かつて「剣豪」と謳われたその技の冴えに、空間そのものを断ち切る剣神の加護が加わり、彼が剣を抜かずとも周囲の空気が裂けるほどの鋭利さを帯びている。


「「……準備完了です」」


 二人はメアリーと力強く頷き合い、それぞれの村へと闇を駆ける。その足取りは軽く、同時に獲物を狙う野獣の如き冷徹さに満ちていた。


 サリウス領、運命の零時まで、残りわずか数分。


 何も知らぬ襲撃者たちは、今夜自分たちが「獲物」であり、踏み込んだ場所が「神の屠殺場」であることにも気づかず、愚かにも勝利を確信して破滅の時を待っていた。

いつも読んでくれて嬉しいのじゃ!

それと応援してくれて感謝じゃ!

嬉しくて!妾は、張り切って

頑張るからのう


 それから、この作品を書きながら、妾と同じ名前の主人公『エリス』をシリーズ化した別の物語を書いたようじゃ!タイトルが「「冤罪で殺された私」は復讐を誓い何度でも返り咲いて咲き誇りますわ」みたいじゃのぉ。

 まぁ、妾と同じ名前みたいじゃが、全くの別人じゃ。作者がただ面倒くさくて、同じ名前にしたんじゃろ。


(*´ω`*)/応援これからも頼むのじゃ⭐

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