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第3話 本来の閉幕後の裏側

 月日が経つのは早いもので、地上世界ではエリスの降臨の混乱も徐々に落ち着きを取り戻し1年が経った。


 サリウス一家と神の使用人達が和気藹々と創生を楽しみながら、地上世界の事を忘れるほど充実した日々を過ごし、神聖界に根を張り気が付けば2年の歳月が経ち、エリスとジュリアスも14歳となっていた。


 大勢の家族と賑やかな生活と母テティアから無限の愛を与えられ、エリスもジュリアスも幸せそのものだった。


 すっかり、地上世界のことは忘れていた、サリウスー家と神の使用人達が不意に思い出したかのように「地上世界ってどうなったの?」と言い出したのだった。


 メイルに落ち着いたら顔を出すと言ってから2年が経ってしまったことに、ミモラは冷や汗を垂らしながら、サリウスー家に話をした。


 家族全員から賛成をもらい、ほっとするミモラ。しかし、ほっとしたのも束の間、ジュリアスとビャクが驚きの余り開いた口が塞がらないのを見たミモラは、冷や汗が頬を伝い、顎から滴り落ちた。その後ろで、エリスだけが悪い顔をして楽しんでいた。


「ね、ねえ、地上世界に行くのはやめた方がいいわよ⋯」


「わ、私も考え直した方が良いかと」


 不穏な空気を漂わせるジュリアスとビャク……


「地上で、何かあったの?また、戦争が起こっているとか?」


「「こ、これを見て⋯」」


 ジュリアスが俯瞰術式で地上世界を映し出した。そこには、変わり果てたサリウス領が映っていた。


 サリウスー家が住んでいた屋敷があった場所に白亜のお城のような神殿が建てられ、 旧伯爵邸だった場所には、巨大な大聖堂が建てられていて、元サリウス領で見かけた領民達が神殿と大聖堂で笑い合いながら働いている姿をホッとしながら見つめていた矢先、サリウス一家が凍り付く。


 神殿の中に、聖母テティアを中央に、左右を双子の女神が固めるその威容は、まさに神話の一場面そのものだった。エリス側に、メアリー、ビャク、カレン、クロエ、ミロクが立ち、ジュリアス側には、ミモラ、シルビア、ミツルギ、シヴァ、ディア、ファルが立ち並び純白に輝く石像が安置されていた。


 その後も元サリウス領の村々や様々な場所を見るが、どこもかしこも巡礼者や礼拝に訪れる人が溢れかえり、賑やかな様相を呈していた。


 エンケラド王国全体を俯瞰して観ても、以前とは異なり、どこもかしこも賑やかな装いで、皆笑顔で商いをしていたり、皆が皆幸せそうに笑っていたりと、エリスは、密かに記憶に残る母なる世界の記憶から見た同じ光景に、胸が熱くなった。


 しかし、ミモラやテティアは顔色がよろしくなかった。そう、何故かエンケラド王国の国旗の下にリレトス新聖教国、ドラン帝国、アーク王国、シェード公国の国旗が並んでいた。


 そう、サリウス一家が神聖界に籠っている間に、地上世界は一遍していたのだった。


「ミレニアム共和国の国旗が無いようだけど、どうしたのかしらね」とテティアが首を傾げていたところ、ジュリアスが爆弾発言をした。


「お母様、ミレニアム共和国は一年前、事実上の崩壊を迎え、エンケラド王国に吸収されたみたいよ」


「ほらっ!」と言いながら、ジュリアスが思考共有を全員に行った。


 戦争以降、国を支えていた17領地がエンケラド王国に接収されてから、14領地だけでは、国を回して行くこともできないでいた。


 他の3国は元々国教が新神教だったこともあり、早くもエンケラド王国の『神の法典』に恭順し、国の各閣僚や国民に受け入れられ、ミレニアム共和国とドラン帝国が仕方なく調印した各種条約や関税もすんなりと調印し、国境の警備を廃したことで、商工業が一気に活気づくなど、4国の交流が加速していった。


 元々実力主義だったミレニアム共和国は敗戦国でもあり、5国の市場流通に取り残され、エンケラド王国以外に救済を申し出たが「神の法典」で国を治めていない国の国交救済はできないと、いずれも袖にされた。


 ミレニアム共和国の一部の貴族が、市場を奪うことを考え、5国の市場経済に乗り遅れた商家と共に、エンケラド王国への報復を考え、武装を整え、いざ攻め入ろうとした刹那、白銀の炎に軍は包まれたのだ。


 業罪カルマが深く無かったことから、一瞬炙られただけで済んだが、神の怒りに触れたと大騒ぎとなり、軍が瓦解し、企てた領主家と商家は揃って負債だけが残り、また、神罰を受けた領主家と商家として、衰退の一途を辿っていった。


 そこへ、エリスの『大規模記憶改変術式』が解かれたことで、大陸中が混乱しミレニアム共和国も同様に神の意に背いた事を思い出した。


 エンケラド王国国王の手により、この星に神が生まれ落ちたことや、これまでのことを全て暴露しされた。


 その直後、二色の輝く十二枚の翼を持つ女神が降臨し、この世界へ神の存在を示し、十四柱の神々を披露し、大陸中の人々に神の威光を示し、愛し子達へ愛を説いた。


 こうして、これ以上神々に見捨てられるのを恐れ、エンケラド王国に泣きついたミレニアム共和国の国王は、全ての王権をメイル国王に譲り渡し、実質的にミレニアム共和国を明け渡したのだった。


「エリスちゃん!?貴女何をしてるの!?」


「お母様、前にも言ったでしょ。表舞台に立つって、だから、タイミングを見て、大陸中の人にお披露目しておいたのよ」


 ミモラ達は、すっかりその約束を忘れていたが、エリスに思考共有でその時の約束を再度見せられ、流れる冷や汗を拭った。そして、爽やかな笑みを浮かべ⋯


「よし!地上世界は忘れましょう!楽しく神聖界で暮らして行きましょう!」と開き直った。

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