第2話 女神の台本・本来の閉幕
世界は、女神の手のひらで、それぞれの役を演じはじめた……。
「ミレニアム共和国の国王からは、リレトス聖教法国の滅亡とミレニアム共和国とドラン帝国とサリウス領とエンケラド辺境伯領との戦争の記憶が蘇ったようで、その全てにサリウス領が関わり、神と名乗っていたことへの問い合わせのようですね」
「姉上達は、もう別世界にいったんだよな?」
「そうですな。神の国に使用人たちを連れて行かれましたな」
「引っ越しが落ち着いたら帰って来ると言ってなかったか?」
「言ってましたが、既に1年は経ってますな」
「「⋯……⋯」」
「どうするんだ!?この状況を!セバス!何とかしてくれ!?」
「こればっかりは、私では力不足ですな。メイル国王頑張ってください……」
突き放されたメイル国王は、頭を掻き毟ろうとして、その手を止めて優しく梳いた。
「よし、こうなったら全部ばらそう!?俺が一人苦労するのは、間違ってる!そうだ、元の原因は全部、姉上だ!?」
こうして、エンケラド王国の国王の手により、「真実の布告」として、一月後に真実を知りたい者は、エンケラドに集まるようにと大々的に布告した。
一月は早いものでエンケラド王国のバルコニーから、メイル王とセイラ王妃、デッド王子とセシリア王子妃、その子達のエバとルルアが城下に集まった人々へ優雅に手を振っていた。また、遠隔通信記録結晶の魔道具がところ狭しと並べられていた。
「…………………」
メイルは、勢いでやらかしてしまった事に、引き痙った顔で、冷や汗が背中を伝った。
そう、王都に入り切れない人々が集まってしまったからだ……その時の苦労が思い出される……。
───
「メイル国王、大変ですぞ!?『人類大陸間大移動』が観測されましたぞ!!?」
「はっ?セバス、何を言っているんだ?その『人類大陸間大移動』とはなんだ?」
大陸中の街や村から「真実の布告」をこの耳で聞き届かんと羨望する民たちが大移動を始めたのだ……その数、延500万人、大陸に住む1割の人口がこのエンケラドに集まりつつあった……。
メイルは、目をこれでもかと見開き、顎が外れたかのように口をあんぐりと広げ放心した。
「や、や、やらかしたぁぁぁぁあああ!!」
メイル王の絶叫が王都中に木霊する……
急遽、サリウス一家が開発した、拡声魔道具と転送記録結晶の魔道具の受信用魔道具を大量複製し、新たな2万人余り収容出来る会場を国内で25箇所を設け、映像が流れるようにした。
各国へも同様の規模が集まる事を想定し、受信用の魔道具を送り、会場の手配の協力依頼を行い、各国とも喜んで協力に応じてくれた。
また、臨時宿泊施設を設けるなど、来訪者の物資の供給と国民の生活安定のため、血眼になってメイル王は猛烈に励んだ。エリスがやらかしたリレトス神教法国を滅亡させた時の後始末を超える働きだったのは言うまでもない……。
───
メイル王はやり遂げた!やり遂げたのだ!
隣で嬉しそうに手を振るセイラ王妃を見つめ、これまでの苦労に涙が滲みでた。前髪をフワッと手で払い…髪がある喜びを噛み締めた。
楽隊の演奏が開始の合図だった。
大陸中の人々が注目するなか、壮大なオーケストラの奏でる曲目「女神の調」が披露された。そう、セバスの部屋に「叔父様にこれを…」とエリスの字が書かれた手紙と一緒に置かれていた楽譜だった。
演奏が終わり、大陸を揺るがす拍手と声援が怒号の様に響き渡った。
バルコニーの演台に一人、覚悟を決めた男が立った。静まり返る会場と大陸全体が静寂に包まれた空気のなか、メイル国王は歴史に刻む一声を発した……
大陸中に驚愕の真実が次々に語られて行く……。
大陸中で観測されたオーロラの真実、旧リレトス聖教法国を中心とした魔力災害の真実、大陸中の闇組織や関わりのあった貴族家の「神隠し」の真実、リレトス聖教法国の滅亡とドラン帝国の敗走の真実、姪がしでかした尻拭いの為にリレトス新神教国の樹立や国民の安寧のために手を貸したことまでも語り聴かせた。
サリウス領に喧嘩を吹っ掛けたミレニアム共和国とドラン帝国との戦争は始まる前から結末を予知して動いていたことなど、メイル王が知ることは全て語られ、大陸全土へ配信され伝えられた。
既に、この騒動で天上世界へ帰ったことやサリウス領は国直轄地としたことも告げられた。
誰もが、メイル国王に真実を聞かされ、それぞれのスケールの大きさから、半信半疑ながらも、実際に平和となったこの世界に感謝し、神への畏敬の念と深い信仰を示すため、この時だけは、大陸中の人々は跪き拝聴するのだった。
メイル国王が全てを語り終わった瞬間、突然の皆既日食が始まった……。
驚きに人々は天を仰ぎ見る…
辺りが薄暗くなり空一面に虹色のオーロラが優雅に靡き幻想的に空を彩った。
突然の天体ショーの美しさに目を見開いき、感動に心を震わした…
そのオーロラが中央から、二つに別れ、その中央からプリズムの輝きを放ち、空と地上を幻想的に染め上げた…
輝きから、漆黒の艶やかな髪を靡かせ、白銀の神衣を纏うその背には、漆黒と白銀の翼が上下に分かたれ、その中央には美しいグラデーションを彩る輝く十二枚の翼を持つ女神が大陸に降臨した。
12枚の翼を羽撃かせ、神々しいまでのオーラを羽撃きと共に目に見える波動を放ち、愛と慈愛に満ちた神気で星を包み込んだ。
そして、星中の生きとし生きるもの全ての心に女神の母である聖母・陽神テティア、そして、主神・世界の創造主である双子の姉女神エリスディーテ、双子の妹女神ジュリアス。
主神の使徒である、知神ミモラ、地神シルビア、戦神メアリー、剣神ミツルギ、水神カレン、八人の神々が次々に心に投影された。
次に、主神を守護する神獣で守護者のビャクの人化した姿、自然の理を守る、五行の加護を持つ五匹の神獣の姿が浮かび上がり、続いて人化した姿の金の加護・神獣で九尾のクロエ、土の加護・神獣で猫又のシヴァ、水の加護・神獣で白龍のミロク、木の加護・神獣で麒麟のディア、火の加護・神獣で不死鳥のファルが心に投影された。
そして、心と耳に響く鈴を転がしたような凛とした声が鳴り響いた。
──妾の写し身たる愛し子たちよ⋯愛と温もりを育みなさい。妾達はいつも愛し子を見守っている──
神の降臨劇のエンドロールがここに幕を閉じた。
人々は、厳かで神秘的な神の降臨に、その深い愛の御心にいつまでもその場に跪き信仰を深めた……
いつもお読み頂きありがとうございます。
エリスですわ!
やっとエンドロールを迎えることができましたわ!皆様の応援のおかげですわ!
まだ、全ての不条理を淘汰できていないのよ!本当のエピローグはもう少し先になるけど、引き続き応援をお願いしますね(*^^*)
また、明日お会いしましょうね!




