7.レオナード(チェルシー)の相談
ジュリアン殿下たちとのお茶会の後、チェルシーが殿下に相談があると言っていた。
このお茶会の様子を見るに、あのエレノアは、別人だと思う。
本物のエレノアなら、お茶をこぼしたりしない。
憎らしいくらい完璧なんだから。
チェルシーもエレノアじゃない。
彼女もお茶をこぼしていたし。
エレノアには、私がチェルシーだとばれたら、まずい。
絶対に報復される。
でもチェルシーなら大丈夫。
殿下にどんな相談をしたか気になるし、様子を探りに行ってみよう。
神殿でチェルシーとの面談を希望すると、応接室に案内された。
今の私は男性だ。
未婚の聖女と二人きりにはなれないので人払いはできない。
仕方なくこれは友人の話ですが、と断って話し始めた。
「『生まれ変わり』というものを信じますか?
友人は、その生まれ変わりだというのです。
そして以前とは別の人生を生きていると。
この場合、生まれ変わった人生で一生を送るのでしょうか?
それとも元の人生に戻れるのでしょうか?
神殿では、こういったことへの対応はできるのでしょうか?」
思いつく疑問を聞いてみた。
神殿にいたからって、こんな前例のない話、わかるわけないじゃない!
以前の私は、あんまり真面目にお勤めをしていなかったし。
目の前の聖女チェルシーは、目をぱちくりとさせた後、
「たいへん不思議なお話ですね。
なかなか信じられませんが、そのお友達は嘘をついていないのですね?
でもこのお話は、ここだけのことにした方がよさそうです。
神殿でも聞いたことがありませんし、もう少し様子を見たらどうでしょう?」
使えないやつと心の中で罵りつつ、仕方がないので帰ることにした。
ここにいる聖女は何も知らないらしい。
もしかしたら関係ない人間かも。
それよりまず、あの地獄の鍛錬を逃れる方法を考えなくちゃ。
ふぅーっ、危なかった。
殿下に相談しなければ、生まれ変わりの話を聞いたときに
「自分もです!」
と言ってしまうところだった。
今のレオナードの友人が生まれ変わりだと言ってたな。
相談してきたのは、友人の話だった。
じゃあ、あのレオナードは関係ないのか。
「俺がレオナードだ。」
なんて言っても信じてもらえなかったかもしれない。
自分が二人いるなんて、変な気分だ。
とにかく先に殿下に相談していて良かった。
様子を見ているうちに、もう少しいろいろとわかってくるだろう。
何はともあれ、チャンスをみて、このことを殿下に報告だ。
自分の代わりに考えてくれる相手を見つけたチェルシー(レオナード)は、
気持ちがかなり楽になった。




