5.全員集合
今日のマナーの授業は、お茶会の練習だ。
もてなす側ともてなされる側、どちらも実践する授業だ。
男子生徒ももてなされる側として、参加する。
何の因果か、私ことジュリアン王子、侯爵令嬢エレノア、聖女チェルシー、騎士団長子息レオナードの四人が、同じテーブルになってしまった。
まずエレノアが紅茶をカップに注ぎ、私の前に置く。
ドバドバ注いだので、半分くらいこぼれている。
「減点です。侯爵令嬢ともなれば、ご自分で紅茶を入れる機会はないかもしれませんが、出来るに越したことはありません。」
次は、チェルシー。
やはりチェルシーもエレノアと同様、こぼしている。
「チェルシー嬢も減点です。お二人とももう少し優雅になさってください。」
一方、もてなされる側は、
「殿下、完璧です。飲み方も上品で、言うことがありません。」
「レオナード様は惜しいですね。カップを持つ手の小指を立てない方がよいです。」
そんな注意をされながら、お茶会は進んでゆく。
私は、三人の様子を観察しながら、お茶を飲んだり、お菓子をいただく。
エレノアは、殿下だ。
あの雑なところ、注意された後ビクッとする反応。
ジュリアン殿下で間違いない。
レオナードの中身は、おそらくチェルシーだろう。
あの小指を立てる癖は、見覚えがある。
となると、聖女はレオナードか。
乱暴な紅茶の注ぎ方もうなずける。
全員入れ替わったわけか。
四人とも本来とは違う役を必死に演じているわけだ。
チェルシーの姿をしたレオナードが言う。
「殿下、後でご相談があります。お時間があれば、聞いていただけませんか?」
「いいよ。時間はあるから、聞こう。」
さて、どんな相談かな。
予想はつくけど、楽しみにしているよ。




