3.レオナード
自分の目を疑った。
これは、神からの罰か?!
俺が、......女になっている!
しかも聖女チェルシーの体で。
確かに俺は、侯爵令嬢エレノアをついかっとなって刺し殺してしまった。
殿下と聖女が、エレノアの傲慢さ、チェルシーへの嫌がらせ、殿下への愛情の無さを責め立てているうちに、俺もつられて、激昂してしまった。
すぐかっとなるのは、俺の短所だ。
しかしこのことを誰かに話しても、信じてはくれまい。
俺だって信じない。
殿下に相談しようか。
この神殿関係者には、相談できない。
頭がおかしいと思われて、神殿を追い出されてしまう。
そうなったら、チェルシーの立場はどうなる?
あ、でも今は俺がチェルシーか。
実家に相談するのは、もっと無理だ。
あの俺以上に脳筋の父上は、
「そんな馬鹿なことはない」
と笑い飛ばすだろう。
難しいことは、考えないのだ。
「中身はあなたの息子です。」
と言っても、耳を貸さないだろう。
「息子は男だ!」
といいそうだ。
どうしたものか。
俺も難しいことは苦手だ。
チャンスを見て、人のいないときに殿下に相談しよう。
神殿での神事は、お付きの神官たちが教えてくれる。
あとは、聖女らしいふるまいか......。
あまり出来る気はしないが、やらねばならぬのだ!
しかしこの聖女の服は裾が長くて、歩くのにも苦労する。
歩きにくいので、裾を持ち上げていたら、
「はしたない」
と神官に怒られた。
学園でもちょっと危なかった。
何の気なく男子トイレに入ったら、騒ぎになった。
「女子トイレが混んでいたものですから。」
嘘だ。俺でもわかる苦しい言い訳だ。
早く殿下に相談したい......。




