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2.ジュリアン

なんでこんなことになっている?

せっかく目障りな婚約者を退けて、聖女チェルシーとの人生が待っていたのに。

レオナードがエレノアを刺し殺してしまったせいか?


理由はわからないが、私は大嫌いなエレノアの姿になっていた。

それも十歳くらいの。

嫌いな女の顔を鏡を見るたびに見るのは、気が滅入る。


エレノアの体に入っているのが私だとは、誰も気づいてないようだ。

使用人とは、ほとんど会話はない。

父である侯爵も母である侯爵夫人も食事の時以外は顔も合わせない。

食事もただ黙って食べるだけだ。


ここで私が、


「実は、私は王子で、気づいたらエレノアの体に入っていたのだ。」


などと言える雰囲気ではない。

そう言おうものなら、頭がおかしいと思われて監禁されそうだ。

冷たい間柄の家族のようだ。

だからエレノアは、あんな愛嬌のない、冷たい女になったんだな。


しかし、この家の教育は厳しい。

午前中は、学園に行くからよいものの、午後は授業の予習、復習をさせられる。

間違うと、家庭教師の婆の物差しで叩かれる。

信じられない!

令嬢の体だぞ!傷がついたらどうするんだ!


侯爵夫人に告げ口したら、


「あなたが出来ないのが悪いのです。」


と言って、扇でたたかれた。

相手を間違えた。


侯爵に言うと、


「お前の出来が悪いからだ。

腹が膨れていると、思考が鈍る。

食事を抜くように。」


一食抜かれた。ひもじかった。

こんな家、嫌だ。


午前中の学園だけが救いだった。

しかしここでも苦労した。


まずダンスの授業だ。

男と踊るのは、楽しくないな。

男性パートしか知らないから、適当に踊ったら、パートナーの足を踏みまくった。


「エレノア嬢、もう少しご自宅で練習されてはいかがですか?」


ダンス教師の一声で、その日のうちにダンスの特別レッスンまで追加されてしまった。

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