1.エレノア
嵌められた!
婚約者の馬鹿王子とビッチ聖女に。
お決まりの断罪劇だ。
おまけに脳筋騎士に刺されてしまった。
薄れゆく意識の中で、今度生まれ変わったら、絶対に許さないと思った。
生まれ変わりなんて、そうそうあるものでもないのに。
しかし気づいたら、私は王子になっていた。
それもあの馬鹿王子に。
理不尽にも殺された私を、神が憐れんでくれたのだろうか。
何はともあれ、まず状況を確認しよう。
鏡を見ると、十歳くらいの頃の王子だった。
「殿下、今日はこれから歴史の授業がございます。
そろそろ準備なさってください。」
侍従に声をかけられ、勉強の準備をする。
教本を見て驚いた。
この年で、こんな初歩的な内容なのか?
どうりで、十六歳になっても勉強ができないわけだ。
王子の日課は、起床、身支度、朝食、午前は王立学園の授業、昼食、午後は学園の授業の予習、復習、夕食までは自由時間。夕食、入浴、就寝。
休日には、時おり乗馬や剣術の鍛錬などをする。
といった具合だ。
しかし午後の勉強は、よくさぼり、休日の鍛錬も途中から逃げてしまっているようだ。
私が真面目に授業を受けただけで、教師は泣きそうなほど喜んだ。
別人とは、思わないらしい。
国王陛下も王妃殿下も食事の時に少し話をするが、適当に話を合わせていたからか、息子が別人だとは気づかない。
殿下の日常は、私の同じころのスケジュールとは、大違いだ。
私には自由時間などなかった。
一日中、学園の勉強やそれ以外にも淑女としてのマナーやダンス、楽器の演奏など、時間があれば何かしら勉強させられていた。
殿下のゆるゆるスケジュールがうらやましい。
たっぷり時間はあるので、これからじっくりと今後の計画を練ろう。
もしかすると、王子や、聖女も生まれ変わっている可能性もある。
今度のことは、神が私に復讐の機会を与えてくれたのかもしれない。




