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結婚を超えたカタチ

愛は人を救い、人を癒し、時には命も救う。


だいぶ遅くなったが、まだ日は残っていた。

三人は浅川さんに挨拶をして、足早にトラックに戻った。

車が走り出してすぐに、ゆかりが不思議そうに聞いた。

「どうしたの健太? なんだかソワソワしてない?」

健太はハンドルを握ったまま、

「そうか? いつもとおんなじだろ?」

みよりが後ろから身を乗り出して、

「はい嘘! 健太君嘘つくの苦手なんだからやめなよ。ほらほら、何を隠してるんだぁ? 吐きなさい!」

健太は苦笑いしながら、

「今はまだ言えない。時が来たら話すよ」

ゆかりは心の中で思った。

(あ、これはサプライズか……。じゃあ乗らないと駄目ね)

ゆかりがみよりにそっと耳打ちした。

「みより、健太はサプライズをしようとしてる。黙って従おう」

みよりも小さく頷き、

「うん、私も気付いたよゆかり!」

なんとも言えない甘い緊張感が、車内に静かに広がった。

三人はパーキングエリアに着き、食事を取ることにした。

健太は醤油ラーメン、ゆかりは名物のサンマーメン、みよりは豚骨ラーメンを注文した。

ゆかりが箸を動かしながら、

「健太、醤油ちょっと頂戴」

健太は「うんいいよ」と言って、ゆかりの方にラーメンどんぶりを渡した。

みよりがすぐに、

「ゆかり食べたら私にも頂戴!」

と言うと、健太はゆかりのサンマーメンを一口食べた。

みよりが笑顔で、

「健太君、豚骨ラーメンいる?」

と聞くと、健太は露骨に嫌な顔をして、

「嫌、豚骨はいいや」

ゆかりが興味深そうに聞いた。

「前も言ってたけど、詳細は知らなかったわね。豚骨ラーメンなんでそんなに嫌いなの?」

健太は苦笑いしながら顔を落として、

「大学時代、友達に連れられて行った豚骨ラーメン食ったら腹壊して、1週間トイレと友達になったんだ……」

みよりが苦笑いして、

「そりゃー無理もないね……」

ゆかりも同情するように、

「その店が悪かったんじゃない? まぁ仕方ないわね」と何とも言えない表情をする。

食事後、健太は二人の手を足早に引き、夜景の見える丘に向かった。

ゆかりが少し息を切らしながら、

「ちょっと健太、早く観たいのはわかるけど急ぎすぎ」

みよりも、

「健太君、もう少しゆっくり……」

と言ったが、健太は笑いながら二人の手を引いたまま進んだ。

いつの間にか丘に着くと、そこには他にも沢山のカップルが来ていた。

健太が息を切らしながら、

「よかった、間に合った」

と言ったその瞬間、二人の前に息を呑む光景が広がった。

夕日に照らし出された街並みが、キラキラと輝いている。

ゆかりとみよりは同時に息を飲み、

「凄い……!」

「綺麗……!」

とうっとりしながら見つめた。

健太はそんな二人の横顔を、優しく見つめていた。

やがて日が完全に沈み、夜景が現れる。

まるで一瞬の幻影のような瞬間だった。

ゆかりが健太の方を見て、

「健太、これがサプライズ?」

と言うと、健太は真剣な顔になって、

「違う。まだある」

周りは明らかに場違いな行動にざわめいた。

「なになに? なんの騒ぎ?」

「あの格好もしかしてプロポーズ?」

「でもどっちが本命?」

などの声が聞こえてくる。

健太は片膝を着き、二人の前に箱を出して開けた。

そこには二つの指輪が入っていた。

ゆかりとみよりがその瞬間、察した。

ゆかりが震える声で、

「え? 嘘でしょ? け……ん……た? これって……?」

みよりも目を丸くして、

「う……そ? 健太君……?」

健太は意を決して、二人を見つめながら言った。

「結婚してくれ、二人共。

確かにゆかりとしか籍は入れられない、だからなんだって言うんだ。

俺は絶対にみよりに飽きはしないし、2人共絶対に幸せにする。愛することに、理由なんてない。俺は君たちに出会って人生が変わった。守りたい家族が増えたんだ。

こんな優柔不断で誰にでも優しくしてしまう男だけれど、一緒になってくれるか?」

その言葉に、二人は大粒の涙を流した。

ゆかりとみよりは同時に、

「勿論よろしくお願いします」

「幸せにしてください!」

と言いながら手を広げ、三人で強く抱き合った。

夜景の光が、三人を優しく包み込んでいた。

三人は一度離れると、ゆかりが少し照れくさそうに言った。

「健太、指輪嵌めてくれる?」

みよりも頰を赤らめながら、

「健太君、私にも嵌めて!」

健太は優しく微笑みながら、まずゆかりの左手の薬指に、丁寧に指輪を嵌めた。

次にみよりの左手の薬指にも、同じく優しく指輪をはめた。

二人は夜景の光に指輪を照らしながら、

「綺麗……」

と同時に呟いた。

指輪が星空と夜景の光を受けて、柔らかく輝いていた。

ゆかりとみよりが微笑み合いながら言った。

「健太の指にも嵌めてあげる」

みよりが嬉しそうに、

「2人で同時にしよう!」

そう言って、二人は健太の指輪を取り出し、左右から一緒に嵌めた。

健太は優しく微笑み、

「ありがとう、二人共……」

と言った瞬間、周りから大歓声が起きた。

「ヒューヒュー! めちゃくちゃロマンチックだったぞ!」

「そんな可愛い子2人も嫁にするなんて羨ましいぞチキショー!」

「愛することに理由なんてないんだから幸せになってねぇ!」

「若いっていいわねぇ〜」

などの声が、拍手喝采と共に響き渡った。

ゆかりとみよりが健太の顔を見て、同時に頰にキスをした。

更に大きな拍手が巻き起こった。

夜景の下、三人は強く抱き合い、幸せな瞬間を胸に刻んだ。抱き合いながらゆかりは心の奥底で思った。

(ここにいる人達は皆、健太と私、みよりと健太の繋がりしか感じてないかもしれない。

でも違う。

私はみよりも健太も愛している。

みよりも私と健太を愛している。

健太も私とみよりを愛している。

最高の関係。

世のレズカップが求めてもありえないと切り捨てた。

愛する人達との共存共栄。

これこそが私たちが導き出した答え!)

そう心に誓うのであった。

帰りの車の中で二人は指輪を眺めながらうっとりする。不意にゆかりが少し心配そうに聞いた。

「この関係って、法律的に大丈夫なのかしら? 複雑になって大変だって事はわかっているのだけれど」

健太は頷きながら答えた。

「一応、大丈夫だと思う。俺とゆかりは正式に籍を入れる。

みよりとは事実婚の形になるけど、3人全員の合意があれば、法律上は問題ないはずだ。

子供が生まれたら、認知や養育の部分はちゃんと手続きすれば……」

みよりが明るく、

「私もそれでいいよ! みんなで家族になれるなら、形なんてどうでもいいもん!」

ゆかりが真剣な声で言う。

「私達の子供達が後々揉めない様に、今のうちに財産の分配とか全部決めておくのがいいわね」

健太も頷き「だな、できるだけ苦労かけたくないからね」

家に着いた三人は、今日の疲れを癒すように風呂に入った。

湯気が立ち上る中、ゆかりが少し真剣な顔で言った。

「突然だけど、約束事を決めましょう」

みよりが不思議そうに、

「どうしたの? 改まって」

ゆかりは二人を見つめながら、

「健太、夜の相手をする時は3人一緒! 抜け駆けはなし。みよりもそれでいい?」

みよりは頰を赤らめながら、照れくさそうに頷いた。

「いいよ! てか元々そのつもりだったし、確かに健太君を独占したいって気持ちも少しはあるけど、それ以上に3人でするのが一番気持ちいいんだもん……」

健太は少し照れながらも、優しく微笑んだ。

「わかった。俺もその約束でいいよ」

三人は湯船の中で、互いの温もりを確かめ合うように寄り添った。

風呂を上がった三人は、軽くつまみを作りながらお酒を飲むことにした。

健太が蔵から面白い酒を出してきた。

「りんごぽむぽむと伊根満開、今日はこれを飲もう。

ゆかりは山崎の20年まだ余ってたから飲んじゃって。多分りんごぽむぽむの方はゆかりでも飲めると思う」

ゆかりがラベルを見て微笑んだ。

「りんごぽむぽむってすごく可愛い名前ね」

みよりはラベルをじっくり見て、目を輝かせながら大興奮した。

「えぇー! りんごぽむぽむって可愛すぎる! ラベルの絵もりんごがぽんぽんしてる感じで、ジュースみたいに甘そう!

絶対美味しいよね〜! りんごのお酒なんて初めて飲むかも!」

さらに別の瓶を見て、

「こっちの伊根満開もなんか雰囲気あるね〜。

名前からして優しい感じがするけど、どんな味なんだろう? 楽しみ!」

健太は笑いながら、

「こっちはちょっと癖あるから好き嫌い分かれると思う」

そう言って、別々のお猪口に注いだ。

みよりはりんごぽむぽむを一口飲んで、目を輝かせた。

「わぁぁ! これめっちゃ美味しい! りんごの甘い香りがふわっと広がって、ジュースみたいに飲みやすいのに、ちゃんと日本酒の深みもある……!

後味もすっきりしてて、ずっと飲んでられる〜!」

次に伊根満開を飲んで、少し驚いた顔をした後、

「こっちもいいね〜! 最初はちょっと癖があるかなって思ったけど、飲むと優しい甘みが出てきて、フルーティーで飲みやすい!

なんか優しいお酒って感じがする〜!」

健太「伊根満開は赤米っていう古代米から作られてるんだ。女性の杜氏さんが作ってるんだよ」

みより「だからか〜繊細な味で優しい甘味が広がるのがなんとも言えない!」

ゆかりもりんごぽむぽむを呑む。

「これ本当に日本酒? ジュースじゃないの? 凄く飲みやすい!」

健太「でしょ? 気に入ってくれてよかったよ」

居間には三人の暖かい会話に包まれた。

その後三人で歯を磨く。

ゆかり「明日収穫で早いでしょ? だからだーめ!」

みより「また今度いっぱいシよう?」

そう言って二人は2階に行った。

ここだけは絶対に書きたかったです

仕事が疲れるとその分創作意欲が湧く変なやつです。

伊根満開は毎年内のワインセラーの中に2本入っています。癖あるけど私は美味しいと思いますよ。

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