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■2026年6月20日
エルフといった古き民は西にあるという、永遠の地に去って行ったよ。私はそれを見送ったんだ。
だが西の海の果てにあるのは、世界の終わりの大瀑布。彼らは次々とその奈落へ飛び込んでいったんだ。
■2026年6月20日
ダンジョン探索のために、斥候役のシーフを雇った。といっても罠を見つけられるなら、盗賊のスキルなんて必要ない。いわゆる炭鉱のカナリア。使い捨ての奴隷を先行させたら、あいつが罠を見つけてくれる。
■2026年6月21日
暗殺者ギルドへ依頼に行ったら
「もうないよ」
と言われる。今日の受付が終わったのかと、仕方なく帰った。
翌日、暗殺者ギルドが壊滅したと知らされる。だとしたら、あいつの仕業か。
我が身のためにも、あのことは誰にも喋ってない。
■2026年6月21日
冒険者ギルドは国家の介入すら受け付けない。それはもしかして昨晩遅く、真っ白な覆面をかぶった一団がギルドへ入っていった。あいつらのせいなのだろうか。
■2026年6月22日
この迷宮の入り口にはディスプレイがあり、今日の死亡者数がカウントされる。
それがさっきから止まらない。
■2026年6月22日
死霊のみを退散させる、ターンアンデッドの魔法。知ってるか。
生者でもターンアンデッドを過剰に受けると、肉体が崩壊してゆくんだぜ?
と拷問官は語る。
■2026年6月23日
森の魔女へ、村娘さんから惚れ薬を作ってくれないかと頼みがあった。
「そいつは構わないけど、これでもう百本目だよ?」
■2026年6月23日
私は貴族の令嬢。だけど親の決めた結婚相手なんて、真っ平御免。都に出て独立し、自分の才覚を試すのよ!
というのが最近は多くてな。人さらいとしては稼ぎ時ってことだ。
■2026年6月24日
「異世界に転生し、地球の優れた文明を伝えて下さい。異世界はもうずっと発達が止まっているのです」
「どのくらい?」
「三十億年ほど」
■2026年6月24日
「近頃は人狼という、人に化ける怪物が出るらしい。そこで村を守るため、モンスターを寄せ付けない結界器をもらってきたぞ」
すると村長。
「なんだ、その怪しいのは。こんな物、要らん要らん。もう貴様は村から出て行け」
■2026年6月25日
「俺は無限に経験値を溜めて、いくらでもレベルを上げられるんだ」
と言ってたアイツにも限界があったらしい。
経験値を溜めすぎてパンク、五体が破裂した。
■2026年6月25日
どうやら俺は強くなりすぎたらしい。ダンジョンに入っても、モンスターは怯えて逃げるばかり。
外にまで逃げたモンスターたちが人々を襲撃。俺が外に出ると町は滅んでいた。
■2026年6月26日
パーティーを追放されてから、俺はスキルに覚醒した。ざまあみろ。これから俺は活躍してやる。パーティーの奴らの残念がる顔が楽しみだぜ。
ということで、ずっとストーキングを続けている。
■2026年6月26日
私は真の愛を手に入れた。前からの婚約は破棄してしまう。それから訪れる幸せな結婚生活。
だが元婚約者の実家から、彼女があれからどう不幸になったかの報告書が定期的に届く。
■2026年6月27日
「くそっ、強すぎる。一時撤退だ!」
「知らなかったのか? 魔王からは逃げられない」
たとえ死んで魂のみの存在となっても、永遠に。
■2026年6月27日
倒れる仲間たち。窮地に至り、勇者の奥底に眠っていた魔力が覚醒する。
のを見て、大臣は満足げだった。
「勇者を覚醒させるには、殺す一歩手前まで追い込むのが一番ですね」
「計算では後四回も覚醒させれば使い物になります」
■2026年6月28日
死闘に次ぐ死闘の果てに手に入れた。何でも願いを叶える願望器。ここまでの犠牲は多かった。だが願望器に触れた途端、コイツを初めて使った者の願いを知る。
「願望器を巡り、人々が醜く争いますように」
■2026年6月28日
冒険者ギルドは国家権力にも縛られない。だが見てしまった。
国王陛下がギルドマスターへ拝礼している姿を。
■2026年6月29日
「貴様のような役立たずは追放だ!」
「……と野に放ったキメラが交雑したと」
「はい」
■2026年6月29日
私は王の毒味役として、いつ死ぬか怯える日々。ある時、食べた菜には毒があった。しかし私は飲み込み告げる。
「毒はありません」
あの毒は遅効性。これで我が命と引き換えに、やっと王に一矢報いることができる。




