健気な伝令
最強と噂されていたパーティから追放された4人。
追放された仕返しにパーティのテントを爆破しお尋ね者に。
そんな中捨てられたダンジョンを見つけ、そこで気ままに暮らします。
職業、魔法、魔物、勇者、ダンジョン有り!
体操選手結、治癒師まど、発明家遙、運動選手奏音の4人がドタバタ暮らします!
今日もパタパタとマンドラゴラが庭で走り回っている。
マンドラゴラは今普通の人間の子供に化けている。
そうじゃないと一緒に遊ぶ魔物の子供が怖がるからだ。
マンドラゴラの姿は本来、ミイラ化した人間の服を脱がせて頭から草を生やしたような
恐ろしい姿なので、とてもじゃないがそんな姿を子供には見せられない。
教育上よろしくないからだ。
そして地面を震わすドラゴンの咆哮が辺りに響き渡り、30cm程のとても小さな龍が
庭に舞い降りてきた。それを見た妖精がクスクス笑い、ドラゴンの肩に乗っている。
「平和だねー」「そうだなー」「のどかだね〜」「だなぁ〜」
と実に呆けた会話が縁側に座っている遙と奏音の間で交わされている。
まども静々と薬の調合をし、アモンはベルゼブブと楽しそうに会話している。
ああ、平和だなぁ。
全くいつもと変わらない朝。燦々と朝日が家々を照らし、爽やかな風景を形作っている。
ただ、異変というのは最も私たちの嫌うことで、興味のある変化、スリルのある変化は
大歓迎だが「敵襲」という名の変化はいただけない。
私たちのダンジョンには入れるのは、魔物と善良な神だけ。
かつて私たちはそうルールを決めた。
しかし、そのルールの裏をかく侵入方法がある。
瞬間移動や転移で入ることはもちろん、正攻法で警備を倒すなどもってのほかだ。
数十体の亡霊やら怨霊やら怪物やらがダンジョンの入り口を跋扈し、未だその警備を抜けた者はいない。
無論、ダンジョンの中に侵入できたとしても落とし穴に引っかかったり、
壁から生えてきた植物の枝に串刺しにされたりロクなことがない。
それを考えればベルゼブブはよく侵入できたものだと思う。
あ、少し話がズレたね。
何の話だっけ…?ああそうそう、敵襲だった。
庭からバーンと黒煙が上がり、中から兵士に護衛された男が出てきた。
ここまでは男の計算通り、劇的な演出だっただろう。
しかし、平和な空間を乱されて怒り心頭のドラゴンが巨大化。
呆気なく兵士たちは踏み潰され、あとは地で震える男の姿が残った。
私たちが庭に降りると、トコトコとドラゴンが駆け寄ってきた。
フシュー、フシューと鼻から蒸気を吹き出し、身振り手振りで
「主様、こいつ殺していい?」と聞いてきた。
うん、ごめんねドラゴンよ。
この人を殺しちゃうと尋問ができないんだ。
それを伝えるとドラゴンはシュルシュルと縮み元の姿になった。
上空の黒煙を消し飛ばし、兵士が踏んだ部分の芝生を修復したあと男に向き直った。
「で、私たちの休息を邪魔するのにはそれ相応の理由があるんだろうね?」とまどが聞いているが、
その顔が完全に主人公を捕らえた悪役の顔である。
「ウグッ、貴殿を我が国の晩餐会に招待致し…ます」ガクリと男は意識を失った。
そ子には、命が終わる瞬間にも(気絶しただけだが)伝令役を果たそうとする
健気な男の姿があった。
デイ:今回1番不運なのは潰された護衛兵だぜ
秘書:5人が止める間も無くドラゴンに踏みつぶされましたね




