「合格」の代償——または担任の『重々しい』ご褒美
「合格」の代償——または担任の『重々しい』ご褒美
ダイクは、手の中の小さな箱を抱えたまま、生気の抜けた顔で突っ立っていた。
「そんなに落ち込まないでくださいよ」
ヴィグは、自分こそが「厄運」の化身だということに、まったく気づいていないらしい。いや、慣れてしまっているのか。手にした冷えた飲み物を揺らしながら言う。
「さあ、どうぞ。気分転換になりますよ」
ダイクは力なく一本受け取る。ひんやりとした感触が、内心の焦りを少しだけ和らげた。
格賀も黙って一本受け取り、カフイは歓声を上げて、遠慮なくもう一本掴み、そのままぐいっと一気に飲み干した。
「でもね」
ヴィグが、肩を落としているダイクを見て、光学センサーを彎める。
「『小物』探しのことなら……私が手助けしてあげられるよ」
「本当か?! 」
ダイクの目が、瞬時に輝いた。耳が《シャッ》と立ち、尻尾も落ち着きなく揺れ始める。まるで藁にもすがる思いだ。
「もちろんです」
ヴィグは軽く言い、自分の胸をぽんぽんと叩く(金属的な鈍い音がした)。
「何しろこの森の外周区域は、もう隅々まで知り尽くしてますからね」
「それに……」
合成音を少し潜め、いかにも秘密めいた口調で。
「時々、昔の生徒たちが探し残した『小道具』を、『拾う』こともあるんですよ。伝統行事ですからね、何と言っても在庫が少し残ってます」
ダイクは感動で飛びついた。
「救世主だ!(⊂((・▽・))⊃ ヴィグ先輩!全部お任せします!」
ヴィグは器用に身をかわし、ダイクの熱い飛びつきを避けながら、すいっと向きを変える。
「では皆さん、私についてきてください。まだ時間はありますから」
格賀の魂火が、穏やかに一跳ねする。顎骨が微かに動く。
「うん」
カフイは興奮して翼をばたつかせ、ヴィグの隣に張り付く。満ち満ちた好奇心の声が飛ぶ。
「ふふ(。ӧ◡ӧd)、面白い面白い!これが噂の外部支援ってやつ?」
——こうして、「冷蔵庫怪人」ヴィグの先導のもと、宝探し2.0はハイスピードモードに突入した。
ヴィグは、この区域のことを完全に把握しているようだった。
歩いては止まり、時に機械の指で何の変哲もない岩を叩き、割れ目からラベルの貼られた小石をこじり出し。
時に、異様な香りを放つ茂った魔植の根元を掻き分け、根茎に結わえられた小さな木札を露出させ。
時に枯れ木の洞を指し、カフイに飛んでいってもらい、中から小さな布袋をくわえてきてもらう。
「ここ……ここ……そして、あそこ」
ヴィグの効率は驚異的で、およそ十分ごとに一つの隠し場所を指し示す。
ダイクは収集係として、爪で抱えきれないほどの品を抱え込んでいた。顔の笑みはどんどん輝き、さっきまでの絶望など、もうどこかへ吹き飛んでいた。
「三つ目!最高だ!効率が良すぎる!」
彼は、新しく見つけたラベル付きの道具を、葉っぱで編んだ臨時のポーチに詰め込みながら、興奮して叫ぶ。
ヴィグは前を歩いたまま、振り返らずに手を振る。
「もちろんです。あそこ、あの曲がった木の裏側にも、もう一つあるはずですよ」
「六……七個目!」
ダイクはポーチの中の収穫を数え、目をキラキラさせていた。
「これで合格どころか、先生の褒美も間違いなしだな!もしかしたら記録更新も!えへへ〜」
——彼は、甘美な幻想に浸っていた。
格賀はずっと黙って後ろを歩いていた。魂火は安定して燃え、時折、ヴィグが指した方角を「見」たり、周囲の気配を探ったりしている。
その反応は、平静すぎるほど平静だった。
カフイは、終始お楽しみモード。時折ヴィグの「冷蔵庫」から飲み物を一本失敬し、もう五本目に達していた。顔には満足げな赤みが浮かんでいる。
「格賀、どうした?」
ダイクが、ようやく仲間の沈黙に気づき、そっと近づいて小声で尋ねる。
「こんなに見つかってるのに、嬉しくないのか?」
格賀の頭蓋骨がわずかに回り、魂火が穏やかに彼を「見」る。下顎骨が動く。
「いや……お前は続けろ」
その口調は、いつものように平淡だった。だがダイクには、あの平静な魂火の奥に、何か——了然としたものが潜んでいるように感じられた。
あるいは、ある種の「好きにしろ」という放任?
ダイクは頭を掻き、深く考えず、すぐにまた収穫の喜びに浸っていく。
「ウホホホ^O^/ 続けるぞ続けるぞ!もしかしたら二十個も見つかるかもな!」
午後六時ごろ。暮色禁林の縁の空地。
一年C組の学生たちが、続々と戻ってくる。多くの者が泥や木の葉にまみれ、その顔は興奮、落胆、あるいは疲労に満ちている。
最後まで何も見つけられなかった小組や、何らかの理由(迷子、チーム内の喧嘩、小型魔物にちょっかいを出された、など)で時間内に戻れなかった小組は、ひょっこり現れた十数体の「真央の眼」に、短距離転移魔法で直接連れ出されていた。小さな騒動と驚きの声が上がる。
レアンペ・ソサは、すでに空地の中央に立って待っていた。
相変わらずの深青色の長袍。濃くなる暮色の中、まるで冷たい彫像のようだ。前に、臨時の机が一脚置かれている。
「では、見つけた『小物』の提出を始める」
彼の声が響き、すべての雑音を押し下げた。
「小組の名を読み上げる。代表者が出て、品を提示し、数を数えろ」
学生たちは息を呑む。
「ウォフ組」
ウォフが大股で前に出て、三つの品を机に叩きつけた。ラベルの貼られた小さなスコップ。ラベルが結ばれた干からびた松ぼっくり。印が刻まれた普通の丸石。
「三つだ!」
声は朗々と、かなり誇らしげだ。
レアンペは一瞥し、微かに頷く。
「悪くない」
——珍しい、前向きな評価だ。ウォフは得意げに顎を上げて戻っていく。
「爪原組」
爪原が、少し照れくさそうに前に出て、七つの様々な小物を置く。木札、小袋、金属片などだ。
「七……個です」
小声で言う。
レアンペの氷藍色の瞳に、気づかれない程度の、一筋の称賛が走る。
「優秀だ」
爪原は嬉しそうに尻尾を振って走って戻った。彼のドワーフと蛙人の仲間も、自分たちのことのように誇らしげだ。
続いて、大半の小組は一つだけを提出し、辛うじて合格といったところ。
数小組は、元気なくゼロを提出し、顔を真っ青にして、罰の恐ろしさを予感していた。
そして、最後——
「格賀組」
ダイクは深く息を吸い込み、得意げになるのを必死に抑えようとした(完全に失敗していた)。蔓で補強した、ぱんぱんに膨らんだ葉っぱのポーチを抱えて。
意気揚々と前に進み出る。そして、クラス全員の視線の下で、豆を零すように、《ジャラジャラ》と、ポーチの中身を机の上にぶちまけた。
一つ、二つ、三つ……様々な奇抜な形をしているが、すべてに明確な標記が付いた小物が、みるみるうちに小さな山を成していく。
数を数えていた学生の目が、どんどん見開かれ、声が裏返る。
「十……十五……十八……十九個?!格賀組——十九個!」
「おおおお——!!! 」
場が、瞬時に沸騰した!信じられない、衝撃、羨望、嫉妬、疑惑……様々な視線が、一斉にダイク、そしてその後ろに平静に立つ格賀と、にこにこ笑うカフイへと注がれる。
ダイクは胸を張り、尻尾を高々と立て、抑えきれない、まぶしいほど燦然とした笑みを浮かべていた。心の中は、ただ一言。——爽快だ!
格賀の魂火は、やはり平静そのもの。あの山のような「戦利品」など、自分とは無関係といった風情だ。
カフイは口元を押さえてこっそり笑い、ピンク色の翼をそっと震わせる。目には、いたずらが成功したような光が煌めいている。
「えへへへへ(・∀・)」
レアンペ・ソサの視線が、あの「小物」の山に落ちる。その目深くで、何かが凝固したようだった。
彼はすぐには口を開かず、ただ静かに見ていた。慣れ親しんだ冷たい表情が、やがて……極めて微細な、捉えがたい、奇妙な角度を描く笑みへと、ゆっくりと変わる。
「お前は……よくやったな」
レアンペがようやく口を開く。声は依然として平稳だが、その寒さはより濃くなり、人を不安にさせる「満足げ」な色が混じっていた。
——ダイクは、場の微妙な変化にまったく気づいていない。記録更新の喜びと、褒美への期待に浸りきっていた。その言葉に、すぐに大声で応じる。
「褒めてくれてありがとうございます、先生!(◔‿◔) 僕は十七個見つけましたよ!格賀とカフイが一人一個ずつです!」
——彼は、自分の手柄を特に強調した(ほとんどはヴィグの指図だったのだが)。
格賀の魂火が、気づかれない程度に、かすかに瞬いた。
【……とうとう、この時が来たか】——彼は、予感していたらしい。
カフイの笑みは、さらに明媚に。いや、むしろ、いいところを見物するような期待に満ちている。
「╮(^▽^)╭」
レアンペの視線は、ゆっくりと「戦利品」の山から、「褒めて褒めて」と書いてあるようなダイクの顔へと移る。奇妙な笑みは、少し深くなったようだった。一語一語、はっきりと言う。
「お前には……重·重·に……褒美を……くれてやるからな……」
だが、まず彼は、白紙を提出して震えているあの数小組の方へ向き直り、声を一変させて鋭く言う。
「一つも見つけられなかった?無能だ。全員、今すぐ、一番大きい訓練場を十周走れ」
あの小組の学生たちは、顔を真っ青にした。十周だぞ!
だが、逆らえる者などいない。泣き面で、互いに支え合い(あるいは引きずり合い)、訓練場へ走っていく。
続いて、爪原組を見る。
「爪原組。よくやった。褒美として、今後三週間、週に二回、大きな課程への遅刻特権を与える。一回につき十五分以内だ。三週間限定、期限切れ無効」
爪原と仲間たちは、まず一瞬呆け、それから大喜びした!
——この褒美は、実に実用的だ!特に、朝寝坊や訓練のしすぎで遅刻しがちな学生には!
彼らは慌てて礼を言う。
そして、レアンペの視線は——ついに、ダイク、格賀、カフイに戻ってきた。
「格賀、カフイ」
彼は平淡に言う。
「お前たち二人は、先に戻っていい」
「え?」
ダイクは一瞬呆け、反応が追いつかない。
「先生、褒美って……チーム単位じゃないんですか?僕たち、一つのチームですよね?」
レアンペは、ゆっくりと首を回し、困惑したダイクの目に、自分の目を合わせる。
顔の奇妙な笑みは、よりはっきりと浮かび上がっていた。額の端に、細かな青筋が浮かんでいるのが見えるようだった。だが、その語気は、異常なほど「温和」だ。
「なぜなら……お·前·は·素·晴·ら·し·い·成·績·だ·っ·た·か·ら·な……」
一語一語、まるで歯の間から絞り出すように。それでいて、不気味なほど「賛辞」の調子を保っている。
「だから……私が単独で、じっくりと……褒美をやる。……付いて来い」
最後の三文字は、極めて軽く発せられた。だが、反論を許さない命令の色が濃く滲んでいた。
——ダイクの顔の笑みが、ついに固まった。
一筋の寒気が、背骨を伝って全身へ駆け上がる。彼は、担任の「柔和な笑顔」でありながら鳥肌が立つ表情と、額の端にちらつく青筋を見て、ようやく強い不安を覚えた。
【なんだか……変な気がするんだけど?】
ダイクの尻尾と耳が、同時にぺたりと垂れる。喉がからからに乾き、冷や汗が出る。
「ソ、ソサ先生……」
何かを言おうとする。
「付いて来い」
レアンペは、もう機会を与えない。振り返り、平稳で冷徹な足取りで、学院の建物群の奥へ歩き始める。
その深青色の背中は、暮色の中で、未知の深淵へ通じる案内人のようだった。
ダイクは、格賀とカフイを見る。
格賀の魂火は穏やかに燃え、彼に微かに頷いた(——まるで「達者でな」と言っているように)。
カフイは、彼に「がんばれ」の口の動きを送った。その笑顔は、どう見ても幸災楽禍だ。
ダイクは泣くに泣けず、意を決して、鉛を注がれたような足を、一歩ずつ、あの恐ろしい青色の背中の後ろへ運んでいく。
——数時間前。
「おや?これはレアンペさんじゃないですか」
軽快な声が響く。
レアンペは、森の縁の空地に立っていた。どこから現れたのか分からない奴を見て、眉を、気づかれない程度にひそめる。
「……ヴィグ」
「何か飲みます?冷やしたてですよ!」
ヴィグは熱心に勧める。
レアンペは、その瓶を一瞥し、二秒黙って、やはり口にした。
「魔リンゴと牙瓜のミックスジュースを。……ありがとう」
——「ありがとう」と言った。語気は冷淡だが。
ヴィグが一口飲むのを待って、光学センサーを三日月形に彎める。
「いや〜、また伝統テストですか?今年は何を隠したんです?」
「……ああ」
レアンペは素っ気ない。どうやら多くを語るつもりはない。
「今年の宝の配置図、見せてくれませんか〜」
ヴィグが近づき、合成音に媚びる色を混ぜる。
「却下だ。消えろ」
レアンペは無表情。
「ケチくさいな〜」
ヴィグはちっとも怯えず、むしろ乗り気になる。
「何しろ私の飲み物を飲んだんですから、情報の一つや二つ、共有してくれてもバチは当たらないでしょう?」
そう言いながら、機械の手が、レアンペの持つ記録板(配置の下書き図が載っているかもしれない)へ、素早く伸びる。
レアンペの反応は極めて速く、手首を返して避けようとした。だが、ヴィグの動きは異様に狡猾で、指先が本当に記録板の縁を掠め——何かに触れてしまった。
「ヴィグ!お前……!」
レアンペの声に、一筋の怒りが混じる。
「怒らないでくださいよ〜」
ヴィグは、もう数歩下がっている。光学センサーを、無垢にぱちぱちさせて。
「返しますよ、何も持って行ってないですから〜。ただ『うっかり』触っちゃっただけです。私はこれで失礼しますね、先生、お仕事ご苦労さまです!」
そう言うと、振り返り、軽快な足取りで、暮色禁林へ入っていく。
レアンペは、ヴィグが消えた方角を見つめ、顔色を冷たくする。素早く記録板を調べるが、欠けているものはないようだ。だが、確信はある——さっきの一瞬の接触で、ヴィグは間違いなく、あの情報を「読んだ」か「記録した」。
「真央の眼・ソサヴァド」
低く召喚する。
一羽の青い使い魔が、音もなく彼の肩に浮かび上がる。
これは他のものとは違い、体形がより細長く、レアンペ・ソサの特徴を色濃く備えている。
「あいつを見張れ!もしテストを妨害したり……あるいは、ある馬鹿どもに『外部支援』を提供したりしたら、すぐに報告しろ!」
レアンペが命じる。語気は、凄まじい。
真央の眼は、中心の眼球をぱちぱちと動かして了承を示し、音もなく、ヴィグの去った方角へ飛んでいった。
レアンペは暮色禁林を見つめ、氷藍色の瞳に寒光を閃かせる。
——彼の伝統行事は、抜け穴を探させるためにあるのではない!
現在。学院の、ある僻地の建物の最上階。
何もない、むき出しの壁と床だけの広い部屋。
ダイクは、おずおずとレアンペの後ろについて入ってきた。部屋は広いが、がらんとしている。ただ、高い位置の、ぴったり閉じた窓から、わずかな月明かりが差し込むだけだ。空気は冷たく、埃と古びた匂いが満ちている。
「お、先生?」
ダイクの声は、がらんとした部屋の中で、少し震えている。
「ここが……褒美の場所、ですか?ちょっと……質素ですけど?」——軽い口調で恐怖を隠そうとした。
レアンペは振り返り、彼に向き直る。
月光が窓から斜めに差し込み、彼の冷峻な顔の半分と、今や寒霜を凝らしたような氷藍色の瞳を照らし出す。
顔には、さっきまでの奇妙な「笑み」はもうない。ただ、骨の髄まで凍らせる純粋な気迫だけがある。
「褒美?」
レアンペの声は、氷原を吹き抜ける風のようだった。
「ダイク。お前はまさか……小手先の抜け道、あるいはカンニングまがいの方法で記録を塗り替えることが、『褒美』に値すると思っているのか?」
「な、何?」
ダイクは、雷に打たれたように、顔色が一瞬で真っ青になる。
「カンニング?先生、僕はしてません!あれは全部、僕……僕たちが……見つけたんです!」
——その言い訳は、レアンペの冷たい視線の前では、あまりに無力だ。
「見つけた?」
レアンペが一歩前に踏み出す。無形の圧力が、実体のようにダイクを覆う。
「ヴィグ・ヴィニンの『お導き』で見つけたのか?十九個?その中には、俺の配置図の中でも特に隠匿度が高く、運ではなく技術がなければ見つからない地点が、きっちり網羅されていたぞ?」
ダイクは口を大きく開けたまま、一言も出せない。
——彼は、ようやく思い至った。ヴィグの探し方が、異常なほど効率的だったこと。そして指し示した場所が、ことごとく正確だったこと……
まさか、あの男は、最初から先生の宝の地図を見ていたのか?!それなのに、自分はまったく疑いもせず、いい気になっていた!
「僕……」
ダイクの足が、がくがくと震え始める。
「俺が設けたテストは、お前たちの観察力、判断力、チームワーク、そして限られた圧力下での対応力を測るためのものだ!」
レアンペの声が、突然、大きく響き、がらんとした部屋に反響する。
「お前たちがどう抜け道を探し、どう『外部支援』に頼って成績を水増しするかを見るためではない!まさか、あの『真央の眼』が飾りだと思っていたのか?!」
——ダイクは、ついに理解した。最初から、彼らは監視されていたのだ!格賀の沈黙も、カフイの見物するような笑顔も……彼らは、もしかすると、最初から気づいていたのかもしれない!
自分だけが、バカみたいに、ヴィグ先輩と楽しく探し回って、得意になっていた!
「先生、すみません!僕、本当にヴィグ先輩が……」
ダイクの声に、さらに慌てが混じる。彼は、本気で怖かった。
——レアンペ先生が怒るのは、ドラゴ会長に空へ放り投げられるよりも、恐ろしい!
「知らなかった?判断力がない。怪しい『助け』を簡単に信じ、過程や規則そのものを無視して結果だけを盲信する——それ自体が、愚かさであり、失格の証だ!」
レアンペは容赦しない。
「どうやら、俺の態度が甘すぎたようだ。お前が必要なのは褒美ではなく——深い教訓だ!」
「ま、待ってください!先生!あの……褒美は……えっと……違、違うんです!」
ダイクは、支離滅裂なことを言い始める。
「今、こうして」
レアンペは遮る。氷藍色の瞳の奥で、嵐が渦巻いているようだ。彼は、ゆっくりと右手を掲げた。指先に、細かな、《パチパチ》と音を立てる氷の結晶が凝り始める。
「——褒美をくれてやっている」
「せ、先生!落ち着いてください!次からは……」
ダイクは、魂が抜けそうになり、振り返って逃げ出そうとする。
——しかし、部屋の扉は、いつの間にか、音もなく閉まり、鍵がかかっていた。
冷たい魔力が、瞬時に空間全体を満たす。空気の温度が、急激に下がる。
「うあああああああああああ——!!!!!」
ダイクの、恐怖と寒さと痛みが混ざり合った凄まじい悲鳴が、厚い壁と高窓を通り抜け、かすかに外へ漏れていく。静かな夜に、やけに不気味に響いて。
——豹生の悲劇は、この瞬間、新たな頂点(あるいはどん底?)に達したようだった。
そして「合格」について、ダイクは罰を受けた自身の身体で悟った——真央学院、特にレアンペ・ソサのルールの下では、近道や小賢しさで手に入れた「合格」は、「不合格」よりも悲惨な結末へ通じることがある、と。
——夜も更けて。いつもの自習室。
「あははははꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)!!」
カフイは、腹を抱えて大笑いし、ピンク色の翼で机をぱたぱた叩いている。
「ダイクったら、最初から最後まで、何かがずっと俺たちを見てたことに気づかなかったんだよ。戦利品を数えて得意満面だった顔、今思い出しても笑える!」
ウォフは、きょとんとした顔。
「マジかよ?見られてたのか?全然気づかなかったぞ……俺は宝探しと、不意打ちに備えるのに夢中だったからな」
頭を掻く。
爪原は、恐怖がまだ残っているように頷く。
「うん……何かいるような気は、ぼんやりしてたんだけど……確信はなかったよ。森って、そもそも変なもの多いし」
格賀の魂火は穏やかに燃えている。この「反省会」に、最も確かな証言を提供する。
「おそらく『真央の眼』だ。学院の教師がよく使う使い魔で、監視や記録用だ。ヴィグが現れ、『手助け』を始めてからすぐ、近くに規則的で、不自然な微弱な魔力の流れが増えたのを感じた。ずっと俺たちに付いてきていた。レアンペ先生のテストであることを考えれば、それが何かは推測しやすい」
カフイが笑いを収め、首を傾げて格賀を見る。
「すごいね(σ≧∀≦)σ!そうやって推理するんだ」
——(彼女は、うっかり真央の眼を目で追ってしまっただけだ。)
「私が見たのは、君がずっと平静で、『飲み物マシン』の言うことをあまり聞いてなかったってことだけ。それで、君が一番賢くて、状況を一番よく分かってるんだろうなって思ったから、私も真似して、こっそり自分で本当の小道具を二つ見つけたんだよ〜」
彼女は、ずっと手に握っていた小物を、得意げに振ってみせる——(彼女が提出したのは一つだ)。それが、彼女自身の本当の「戦利品」だった。
ずっと静かに聞いていたマッシュルが、その時、のろのろと口を開く。その声には、珍しく、かすかな心配らしきものが混じっている。
「じゃ……ダイク……」
格賀の頭蓋骨が、窓の外へ向く。まるで夜の向こう、あの僻地の建物の方角を見透かすかのように。魂火が、幽々と燃える。
「彼は……」
骨質の声は、平静無波だ。
「たぶん、レアンペ先生が約束した『単独』で『重々しい』ご褒美を、受け取っているところだろう」
——自習室に、一瞬の静寂が落ちる。
ウォフが、ぶるっと身を震わせる。
爪原が、同情するように首を竦める。
カフイは、また《ぷっ》と吹き出した。だが、その笑顔には、ダイクの「勇(残)気(念)可(極)嘉」への、わずかな感心が混ざっている。
マッシュルは、ゆっくりと頷く。
「……ぐ」
——分かったのか、それともダイクの冥福を祈っているのか。
窓の外、月明かりは冷たく冴えている。ダイクの悲鳴は、もう聞こえない。だが「骨折り損小隊」の面々は皆知っている——彼らの豹人の仲間は、今夜、極めて「忘れられない」一夜を過ごすことになるだろう、と。




