25.見えない鎖
一夜明け、カイルたちは進路を北東に取りながら進んでいた。森の小道を歩きながらも、ミゲルは仲間たちの背中を見つめて考え込んでいた。
(俺が癒すたびに、どこかでまた誰かを壊してしまうんじゃないか……。)
ふと、ケンが歩きながら振り返った。
「ミゲル、調子悪いのか?」
「いや、大丈夫だ。ただ、少し考えごとをしていただけだよ。」
ミゲルは苦笑いを浮かべながら答えたが、ケンの表情は晴れなかった。
突然、草むらからスレイヴ数体と装甲兵の小隊が現れた。
「来るぞ!」
ケンが「ライトニング・フューリー」を刀に纏わせながら叫ぶ。
カイルは盾を構え、ファントム「ヴァイオレット・スカイ」を発動させる。敵の猛攻を防ぎながら、仲間たちに指示を飛ばす。
「アリ、右を頼む!ミゲル、後方の援護を!」
「了解!」
アリが「ストーム・ブレイカー」を砂の槍に変え、装甲兵を押し返す。
ミゲルは「シルバーズ・ロッド」を握りしめ、周囲の状況を見渡しながら行動を始めた。
戦闘が終わった後、アリが肩に軽い傷を負い、ケンも脚を負傷していた。
ミゲルは仲間たちの怪我を見つめながら、深い溜息をついた。
「ミゲル、頼む。」
カイルが肩を押さえながら声をかけると、ミゲルは少し躊躇しながらも杖を構えた。
「シルバーズ・ロッド、癒しの光を。」
杖から銀色の光が放たれ、カイルの肩の傷が徐々に癒えていく。その光景を見ながら、ミゲルの心に再び恐怖が押し寄せた。
(本当にこれでいいのか……俺の力はまた誰かを壊してしまうんじゃないか……。)
その時、ケンが静かに口を開いた。
「ミゲル、お前が怖がるのも無理はない。でも、俺たちはお前の力を信じてる。だからお前自身も、もう少し自分を信じてみろよ。」
戦闘後、カイルたちは焚き火を囲んで休息を取っていた。ミゲルは静かに杖を地面に突き立て、全員に向き直った。
「みんな……俺は、これからもこの力を使う。だけど、もし俺が暴走しそうになったら、止めてほしい。」
カイルが力強く頷く。
「もちろんだ。でも、俺たちはそんなことにはならないって信じてる。」
アリも軽く笑いながら言葉を添えた。
「お前が信じるのをやめたら、俺たちも信じられなくなる。だから、まずは自分を信じてくれ。」
ミゲルはその言葉を胸に刻み、小さく笑みを浮かべた。
「ありがとう。これからも頼らせてもらうよ。」
翌朝、カイルたちは再び歩き始めた。ミゲルの背中には、昨日よりも少しだけ力強さが宿っていた。
(俺はこの力で、仲間たちを守る。それが俺の役目だ。)
その瞳には、少しずつ自信が戻りつつある光が宿っていた。
次回予告
ミゲルが抱えていた葛藤を乗り越えたことで、チームの結束がさらに深まる。一方、エクリプスは新たな作戦を開始し、さらなる試練が彼らを待ち受ける――。
第25話「見えない鎖」をお読みいただき、ありがとうございます!
今回はミゲルが抱える回復の恐怖に向き合い、少しずつ乗り越える姿が描かれました。仲間たちの言葉と信頼が、彼の成長を後押ししています。次回はエクリプスの新たな動きが物語をさらに加速させます。ぜひお楽しみに!
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