24.揺れる治癒の光
道中、カイルたちはエクリプスの執拗な追撃に苦しんでいた。スレイヴや装甲兵に加え、グラディスも頻繁に現れ、連携した戦術で彼らを追い詰めてくる。
「どんだけ送り込んでくるんだよ!」
アリが砂の槍を「ストーム・ブレイカー」で生成しながら叫ぶ。
「奴ら、俺たちがここにいることを完全に把握してるな。」
ケンが「ライトニング・フューリー」を纏わせた刀を振りながら応戦する。
グラディスの中でも今回は中型の飛行型が現れ、上空から光弾を降らせる。カイルが「ヴァイオレット・スカイ」で盾に力を集中させ、全員を守りながら耐える。
「俺たちがここで止まるわけにはいかない!」
カイルが叫び、仲間たちは全力で応戦する。
戦闘が終わり、全員が息を切らしながら地面に座り込んだ。だが、怪我を負っていない者はいなかった。
「ミゲル、頼む。」
カイルが肩を押さえながらミゲルに声をかける。
ミゲルは「シルバーズ・ロッド」を握りしめ、力を込めてカイルの傷を癒し始めた。だが、その顔には明らかな緊張が浮かんでいる。
「本当にこれでいいのか……。」
「ミゲル?」
ケンが不思議そうに問いかけると、ミゲルは力を抜き、静かに答えた。
「回復するたびに思うんだ。これ以上、俺の力を使って大丈夫なのかって。」
「どういうことだ?」
アリが声をかける。
ミゲルは杖を地面に突き立て、深い溜息をつきながら話し始めた。
「昔、俺が戦場で回復役として働いてた時、一人の戦友を何度も治癒したことがあったんだ。体は何度でも治る。でも、最後にはその人の心が壊れてしまった。」
「心が……壊れた?」
カイルが驚きの表情を浮かべる。
ミゲルは静かに頷いた。
「ああ。彼は自分が何者かも分からなくなった。俺の力で修復された体が、本当に自分のものかどうか分からなくなったんだ。」
「そんなことが……。」
ケンは黙り込み、アリも言葉を失っていた。
「それ以来、回復をするたびに怖くなる。今度は仲間たちを壊してしまうんじゃないかって。」
休息中、カイルたちは隠れ家との通信を行った。画面に映るアンナが明るい声で話しかける。
「皆、大丈夫?傷が増えてきてるって聞いたけど……。」
「まあ、なんとかなってるよ。」
カイルが答えると、ミゲルが静かに口を開いた。
「アンナ、もし俺が回復で誰かを壊してしまったら……どうする?」
アンナは少し考えた後、優しい笑顔を浮かべた。
「ミゲルが誰かを壊すなんてこと、私には想像できない。でも、あなたが悩むなら、その気持ちはきっと相手にも伝わる。だから、大丈夫だよ。」
その言葉に、ミゲルは少しだけ笑みを浮かべた。
通信を終えた後、ミゲルは仲間たちを見渡した。
「俺が怖がってたら、みんなのことを守れないよな。これ以上、戦友を失うのは嫌なんだ。」
カイルが静かに頷く。
「ミゲル、君の力は間違いなく俺たちを救ってる。だから、無理はしないけど、頼らせてくれ。」
「そうだな。ありがとう、カイル。」
ミゲルは杖を握り直し、再び仲間たちと共に歩き始めた。
次回予告
回復への恐怖を乗り越えつつあるミゲル。そして、エクリプスの追撃はさらに激しさを増す――。新たな試練が彼らを待ち受ける。
第24話「揺れる治癒の光」をお読みいただき、ありがとうございます!
今回は、ミゲルの過去と回復に対する葛藤が描かれる重要な回となりました。彼の心の変化と仲間たちとの絆が、今後の物語をさらに深めていくことでしょう。次回は、さらなる試練が彼らを待ち受けます。お楽しみに!
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