フレンド22
大場の行動パターンは単純明快だ。
昼頃に起きて、スカウトに出かける。
21時頃に仕事を終え、そのまま家に帰るか、飲み屋で24時頃まで飲んでから帰るかのどちらかだ。
人付き合いは少ない。仕事以外で誰かと会っている様子も、ほとんどない。
どう考えても、家に帰る途中で捕まえるのが一番か?
いや、人目につかないところなら、どこでもいいか。
殺すなら自宅が一番だけど、生きたまま連れていくなら場所は選ばない。
問題は、周囲に人がいるかどうかだ。人通りの多い場所で騒ぎになれば、警察に通報される可能性もある。かといって、人気のない場所を探しているうちに、チャンスを逃してしまうのも困る。
ボクらはチャンスがあれば、場所を問わず大場を拉致することになった。
そして決行日。
ボクたちは大場の尾行を始めた。
今日は渋谷を拠点にスカウトをしていた。
人通りの多い渋谷では、対象を見失わないようにするだけでも気を使う。大場に気づかれない距離を保ちながら、周囲の様子にも注意を払った。
いつ、どこでチャンスが訪れるか分からない。
焦って動けば失敗する。かといって、慎重になりすぎても機会を逃す。
「チャンスがないね」
「ああ。そうだな」
午前中から尾行を続けていたが、大場はなかなか一人にならなかった。
人通りの多い場所では、声をかけることすら難しい。誰かに見られたり、騒ぎになったりすれば、後々面倒なことになる。
ボクらは無理に仕掛けず、様子をうかがい続けた。
14時。
遅めの昼ご飯を食べた大場は、道玄坂を登っていった。
途中、店の影でタバコを吸おうとしている。
周囲には人影が少ない。
今しかない。
ボクとみっちゃんは、さりげなく大場に近づいた。
ボクはナイフを取り出すと、大場の背中に押し当てた。
「大場、抵抗しないで」
突然のことに驚いて暴れるかと思ったが、大場は意外にも落ち着いていた。
「どうしようってんだ」
大場が投げやりな言い方をする。
「うちのチームに来てもらうよ」
ボクは声を抑えて告げた。
大場を脅せば、抵抗すると思ったけど……。
相手は、ボクたちのことを探っていたスパイだ。捕まれば、ただでは済まないと分かっているはずなのに。
「あーっ、分かった分かった」
大場は面倒くさそうに答えた。
拍子抜けするほど、あっさりと従った。
抵抗もせず、確保した。
あまりに簡単だった。
ボクは、かえって嫌な予感がした。
たくさんの人に読んでいただいて幸いです。ブックマークしていただけたら励みになります。




