フレンド19
「みっちゃん。舞花は大場に騙されたんだよ」
「そうだな。状況的にそうだろう」
「舞花にボクらのことを話していい?」
「ああ」
ボクらは舞花に、ボクたちのことを話し始めた。
「ボクらは好きで殺し屋になったわけじゃないんだ。二人とも組織に弱みを握られたというか、借りがあって、それを返すために殺し屋になった」
「俺たちは殺し屋だ。それは間違いない。でも、一般人に手をかけたことはない。相手は全て卑劣な犯罪者のみだ。ただ、それが人殺しを正当化できるわけではない」
「だけど、ボクらは犯罪被害に遭った人に代わって、復讐を果たす。それだけは分かって」
ボクらは舞花に、今までの出来事を伝えた。
「分かった。信じる。私を助けて」
舞花はそう言った。
* * *
次の日、ボクとみっちゃんはママに報告に行った。
「……というわけで、大場がスパイだということが分かった。大場を始末しようと思う」
みっちゃんが詳しい事情を伝えた。
「いいえ。大場は生かしたまま連れてきなさい」
「えっ? 奴がスパイなのは確実なんだから、殺っちゃえばいいじゃん」
ママの思わぬ命令に、ボクらは戸惑った。
このまま大場を生かした状態でママに引き渡したら、舞花のことがバレてしまう。
抵抗されたことにして殺してしまおうと、ボクもみっちゃんも考えていた。
「当然、非戦闘員の大場を殺すなんて、無様なことは許さないわよ」
ママは、まるで何かを知っているかのように釘を刺した。
* * *
ボクらはアジトに戻るまでの間、今後どうするか話し合った。
「やっぱり、大場はどうにかしないと……不慮の事故とか」
「見え透いたことはできないだろう」
「じゃあ、逃がす?」
「他の奴らが探すだろう」
「海外とかは?」
「俺たち素人がやっても足がつくだろう。逆に舞花ちゃんを組織の手の届かない安全な国内に逃がすのが一番だろう」
「どこに?」
「一か所だけ当てがある。でも、話をつけてからだ。それまで時間を稼ごう」
ママには、三日後に大場を捕らえると伝えた。
次の日、みっちゃんはボクと舞花をカフェに呼び出した。
スマホなどは一切持ってこないように指示されていた。
「どうしてスマホとか、電気を使うものを持ってくるなって言ったの?」
「盗聴を防ぐためだ」
「盗聴?」
舞花も驚いている。
「持っては来ていないな?」
「うん」
ボクと舞花は同時にうなずいた。
「俺たちの組織やシルバーセージの勢力外となっている地域が、日本に数か所ある。その一つが、神奈川の藤沢から熱海にかけての一帯だ。ここは古いヤクザが仕切っていて、大っぴらに手を出すことはできない」
「そんなところがあったの?」
ボクは初めて聞く話だった。
「ああ。その中で、茅ヶ崎に俺の知り合いが住んでいる。舞花ちゃんは、しばらくそこで隠れてくれ」
「茅ヶ崎?」
「そうだ。足がつかないように、今まで使っていたスマホは捨てて、身一つで行くんだ。まことは茅ヶ崎まで送れ」
「分かった。そうする」
「足がつかないように、切符を含めて全て現金で支払うんだぞ」
そう言って、みっちゃんはボクたちに100万円を渡した。
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