フレンド12
ボクらはお昼頃に目が覚めた。
みっちゃんはアルバイトに行っている。
テーブルの上には、鮭の塩焼きとだし巻き卵の朝食が用意されていた。
メモには「みそ汁は温めて」と書いてある。
ボクらが遅い朝ご飯を食べ終えた頃、ちょうど電話がかかってきた。
「あっ、ママ、おはよう。えっ、今から? 分かった、行くよ」
あきなママから、すぐに来るようにとの電話だった。
「舞花、ちょっと依頼主のところに行ってくる」
そう言って、ボクはSuiteKissⅡに向かった。
「まこと、昨日は空振りだったみたいね」
「みっちゃんと反省会したよ」
「ほんとにアンタたちは、いつまでたっても詰めが甘いわね」
ママのお小言が始まった。
「だから、反省したって」
ボクはママに少し反抗してみた。
「で、進捗は?」
ママはボクの反抗を無視して、話を進める。
「ボクは大場が怪しいと思うんだけど、みっちゃんは、もっと全体を深掘りしないとって言ってる」
「そう。周囲をもっと見ることね。それから、周りをあまり信用しないこと」
ママは、何となく意味深なことを言った。
そのときは、それに意味があるとは思わなかったけど……。
* * *
一方、舞花は大場に呼ばれていた。
スカウトが、自分の紹介したキャストに会うことは珍しい。
でも、そんなことを舞花は知らない。
「1日目はどうだった?」
大場が聞いた。
「何が何だか分からないうちに終わっていたって感じかな」
「そうか。舞花ちゃんは可愛いし、トークもうまいから、絶対うまくいくよ」
大場に持ち上げられ、舞花は、
「そうかなぁ」
と、まんざらでもない様子だった。
「きっとうまくいくよ。間違いないさ」
この男、人たらしのようだ。
「うん。ありがと。これでなんとか生活できそう」
「そういえば舞花、家出して友達のところに住んでるって言っていたけど……」
大場は少し踏み込んだ話をしてきた。
「うん。今、まこととみっちゃんのところに泊めてもらってるの」
「へぇ。何している人?」
「探偵しているんだって。浮気調査とか、人探しとか」
舞花は警戒心もなく話している。
「ま、待ってくれ。まこと? みつ? ……それって……」
大場が言葉に詰まる。
「それって、どうしたの?」
「……チビのまことと、マッチョ親父のみつ……」
少し間を置いて、大場がつぶやいた。
「確かに、まことは小さくて、みっちゃんはマッチョ親父だけど、知っているの?」
「……知っている。あいつらは探偵じゃない。殺し屋だ。人殺しだ」
大場は驚いたように言った。
「そんなことない。まこともみっちゃんもいい人だよ。そんなはずない」
舞花は否定する。
「いや、俺もこんな仕事をしているから、裏の話はよく聞く。あいつらは間違いなく殺し屋だ。気を付けた方がいい」
「そんなはずは……」
舞花は言葉を失った。
昨日まで一緒に過ごしていた二人の顔が、頭に浮かぶ。
まことは小柄で、少し変わっているけれど、優しいひとだった。
みっちゃんだって、いつも私たちのことを気遣ってくれる。
そんな二人が、人殺しだなんて……。
「信用できなければ、家を調べたらいい。絶対に証拠があるはずだよ」
大場は、舞花の反応をうかがうように言った。
そして舞花は、頭が真っ白になった。
たくさんの人に読んでいただいて幸いです。ブックマークしていただけたら励みになります。




