フレンド11
ボクらが戻ると、舞花がすでに戻っていた。
「どうだった?」
ボクが聞くと、
「アッという間だったよ」
舞花が答える。
「疲れた?」
「大丈夫」
そんな会話をしていると、みっちゃんがお茶漬けを作ってくれた。
「なんにせよ、初仕事お疲れさま」
みっちゃんが舞花の前に茶碗を置く。
「ありがとう。ちょうどお腹が空いていたんだ」
こういうとき、やっぱり料理ができるのが羨ましい。
ずるい、みっちゃん。
みっちゃんの明太子と高菜のお茶漬けは、出汁の風味が効いていて、すごくおいしかった。
「おいしい!」
舞花も嬉しそうに食べている。
「よかったな」
みっちゃんは、いつものように笑っている。
こういうところは、本当にみっちゃんらしい。
舞花がお風呂に入っている間、ボクとみっちゃんは作戦会議をした。
「やっぱり大場が怪しいよ」
ボクが主張する。
「いや、今回の作戦、穴だらけだった。一概に大場が怪しいとは言えない」
みっちゃんの意見。
「どうして?」
ちょっとボクの意見を聞いてくれないみっちゃんに、むくれてみる。
「そもそも、スパイだったら、情報として流したホテルにシルバーセージの奴らが本当にいるかどうかなんて分かるよな。元々いないと知っていたから、何も起こらなかったかもしれないだろ」
確かによく考えると、そうだ。
「くそ! じゃあ、なんであそこに大場がいたのさ?」
ボクはキレ気味に言った。
「本当にスパイなのか、それとも、ただ興味本位で見に来たかだろうな」
「むむ……くっそー」
ボクらは、なんでこんなにいつも詰めが甘いんだろう。
せっかくアリサさんが考えてくれた作戦なのに、決定的な証拠は何も掴めていない。
大場があそこにいた。
ただ、それだけ。
それなのに、ボクにはどうしても、あいつが何か知っているように思えてならなかった。
「だが、一番怪しいのは大場なのは変わりない。大場中心に探ろう」
みっちゃんの案に妥協することにした。
「どうかしたの? 大きな声で?」
そんな話をしていると、舞花がお風呂から出てきた。
「いやね、今日、尾行をしていると、みっちゃんが野良猫のうんこを踏んでさ」
「なんで猫のうんこはあんなに臭いんだろうな? 本当に……」
適当な話でごまかすが、舞花は笑っていた。
「えー、みっちゃん、踏んだの?」
「まあ、そういうこともある」
「ふふっ」
舞花の笑い声を聞いて、ボクも少しホッとした。
今はまだ、何も知らなくていい。
ボクらがちゃんと守ればいいんだから。
* * *
同時刻、SuiteKissⅡの隠し部屋。
「言われた通りやりましたよ。報酬はたくさんくれるんでしょうね」
男がニヤリとしながら言う。
「あまり、欲張らないことね。命が惜しければ」
もう一人が、少し強い口調で答えた。
「ああ、怖い怖い」
少しおどけたそぶりを見せる。
「上手く、あの小娘をスパイに仕立てるのよ」
男を目で威嚇するように言った。
「分かってますって」
一人はママ。
そして、もう一人は大場だった。
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