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まことはニッコリ笑って人を斬る。  作者: ほりーⅯ


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73/89

フレンド10

その日の夕方、舞花は初出勤をしていた。

Girls Bar VELIA(ヴェリア)。

歌舞伎町の端にある店だ。

新宿3丁目のアジトから、目と鼻の先にある。

大場から店長に紹介され、店のシステムなどをいろいろ教えられていた。

客のドリンクは、特別なものを除いてセット料金になっているので、あまり期待できない。

稼ぐには、とにかく客に指名されること。

そして、いかにドリンクを飲ませてもらうか。

「でも、お酒はまだ飲めないから、ちょっとな~」

舞花は独り言を言ってみた。

最近の新宿は観光客の外国人も多いので、ガールズバーの客として、ふらっとやってくることも多いようだ。

そういう客のほうが単価が高い。

狙い目だ。

「舞花ちゃん、今日は最初だから、無理しないでね」

店長に声をかけられる。

「はい。頑張ります」

舞花は笑顔で答えた。

お金が必要だから働く。

それだけのつもりだった。

でも、初めての仕事というのは、やっぱり少し緊張する。

舞花の1日目が始まった。

* * *

さて、ボクたちは作戦の成果を確認に向かった。

23時、リランドホテル。

ここで、待ち伏せなんかの異変があれば、てっちさんが犯人ってわけ。

ちなみに、部屋にはシルバーセージの幹部がいるという噂を流している。

ホテルの周辺を、少し離れた場所から観察する。

車の出入り。

ホテルに入っていく人。

周囲を警戒しているような人影。

何か変わった動きがないか、注意深く見る。

けど、何もなかった。

「うーん、てっちさんはシロ? かな」

「そうだな。次に行こう」

24時、ラウナントホテル。

次は、掃除屋の乾に流した情報はどうだろう。

こちらも、何もない。

「外れかな?」

「みたいだな」

ボクもみっちゃんも、肩透かしを食らったような気分だった。

「これで2人ともシロなら、残るのは……」

「まだ決めつけるな」

みっちゃんが釘を刺す。

「分かってるって」

ボクは答えた。

次に行くことにした。

25時、グドンランホテル。

「これで大場が犯人だね」

ボクが言うと、

「まだ分からないだろう。短絡すぎるぞ」

みっちゃんの小言。

「ちぇっ」

舌打ちをする。

ホテルの周りを見回す。

東側の入り口から死角になるところに、人影が……。

大場だ!

「アイツがいるってことは、犯人? だよね」

「まだ分からんぞ」

みっちゃんは、いつも慎重だ。

「でも、ここにいるんだよ?」

「それだけじゃ証拠にはならない」

確かに、みっちゃんの言うとおりだ。

でも、ボクには大場が犯人にしか見えなかった。

「捕まえて尋問する?」

「いや、取りあえずホテルに忍び込む振りでもしよう」

「分かった」

ボクらは大場に気づかれないように、ホテルへ近づいた。

706号室。

あらかじめ流しておいた情報の部屋に行く。

廊下にも、人の気配はない。

部屋の前まで来ても、何も起こらなかった。

結局、何もなかった。

「いったん戻ろう」

みっちゃんがボクに言う。

「捕まえて尋問したほうがいいんじゃない?」

「今捕まえても証拠が弱い。しかも、あいつは俺たちとは別のチームだ。摩擦は避けたほうがいい」

「じゃあ、泳がせるんだね。了解」

ボクは大場がいた方向をもう一度見る。

でも、そこにはもう誰もいなかった。

「逃げた?」

「いや、帰ったんだろう」

「じゃあ、明日も調べる?」

「ああ。もう少し様子を見よう」

ボクらは今日は帰ることにした。


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