フレンド6
アジトに戻って準備をしようとして、ボクは気づいた。
「舞花がいるけど、仕事の準備どうしようか?」
「いやいや、言ったよな。一般人に見られてはいけないものがあると」
「覚えてない」
みっちゃんが頭を抱えている。
「まこと、見たいことだけ見て、聞きたいことだけ聞いていると、きっといつか判断を間違うぞ」
みっちゃんは、いつになく真剣だった。
「人の言うことはしっかり聞いて、それを自分で考えて、決して流されることなく判断すること。その上で、自分の信念で動け」
先生のみっちゃんになっていた。
そんな話をしていると、アジトに着いた。
取りあえずボクは、リビングにいた舞花をボクの部屋に連れていき、ゲームを始めた。
その間に、みっちゃんは必要な物をバッグに入れる。
「まこと、準備できたぞ」
みっちゃんの声が聞こえる。
「舞花、ボク、仕事に行ってくるね」
「どんな仕事なの?」
普通、疑問に思うよね。
「探偵みたいなこと? かな」
「えっ、探偵? かっこいい」
苦し紛れに言ってしまった。
「あたしも行って……」
と言ったところで、止めた。
「簡単じゃないんだ。相手にばれないようにするとか、大変なんだよ。分かって」
ボクは苦しい言い訳をして、部屋を出た。
今になって、舞花にどう伝えたらよかったのか考えるが、もう遅い。
「探偵って言ってしまったんだから、探偵のふりをするしかないだろ」
「そうなんだけどさ」
「まあ、あながち違わないから、いいんじゃないのか」
「じゃあ、探偵ってことで……」
短絡的。
いつも言われる。
きちんと考えなきゃ。
反省。
「ところで、スパイってどう探すのさ?」
「よく分からないが、情報が漏れたところから探ればいいんじゃないか」
「で、どうやって探るのさ?」
「俺にも分からない。取りあえず、過去に漏れた情報を探ろう」
ボクとみっちゃんは、アリサさんのところに向かった。
アリサさんは、ママの補佐をしている。
ママみたいに怖くはないが、冷徹って感じで、とっつきにくい感じがする。
アリサさんは、SuiteKissⅡの事務室にいた。
「ほんとアナタ達は、結局戻ってくるんなら帰る前に聞けばいいのに。はっきり言って、時間の無駄ね」
アリサさんは結構、毒舌だ。
「すまない。これ、差し入れ」
みっちゃんが、フターバックスカフェのラテ・トールサイズと、パストラミサンドを差し入れする。
「あら、分かってるじゃない」
フターバックスカフェ、通称フタバのラテと、牛肉を塩漬けにして香辛料で味をつけ、燻製にしたパストラミをたっぷり挟んだサンドイッチは、アリサさんの大好物だ。
若干、アリサさんの機嫌が直る。
やっぱり、胃袋を掴むのは大切ということがよく分かる。
さすが、みっちゃん。
かく言うボクも、みっちゃんに胃袋を掴まれた一人かもしれない。
余談はその辺で……。
アリサさんは、
「そうね。直近では、情報が漏れたのは三件」
「三件? 意外と少ないのかな?」
ボクは疑問を口にした。
「そんな訳ないでしょ。たった一つの情報漏洩で、組織ごと消滅するかもしれないのよ。由々しき事態だわ」
「容疑者はいるのか?」
「ええ、今のところ五人まで絞ったわ」
アリサさんは、五人の写真をノートパソコンで見せてくれた。
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