フレンド5
「事情は分かったが、舞花ちゃん、君はどうしたい?」
みっちゃんが舞花に聞いた。
「あたしには、もう行くところがないから……」
舞花がつぶやくように答える。
「まことは?」
今度はボクに聞いてきた。
「舞花を泊めてほしいし、そんなところに帰らせられない。だってそうでしょ?」
ボクは間髪入れずに答える。
「友達が苦しんでるのに、見捨てられるわけないじゃん」
「何があっても、最後まで責任を取るんだな?」
珍しく、みっちゃんが念を押す。
「もちろん」
ボクは自信を持って答えた。
そう決まったら、みっちゃんは何も言わず、舞花を歓迎してくれた。
その夜は、みっちゃんが腕によりをかけて晩ご飯を作ってくれる。
今晩のメインディッシュはロールキャベツ。
ロールキャベツをコンソメで煮込み、上にはとろけるチーズとドミグラスソースがかけてある。
外のキャベツはもちろん、人参も細かくして、中のひき肉に混ぜてくれているんだろう。
「何これ、すっごく美味しい。このシャキシャキしているのは?」
「レンコンを刻んであるんだ。誰かさんは、自分では野菜を食べないからな」
「ボクだって食べるよ」
「刺身の下のツマをちょっとだけな」
いつもの漫才が始まる。
その様子を舞花が笑って見ている。
「なんかいいな。羨ましい。何でも打ち明けられる人がいて、そしてその人も真剣に考えてくれて」
「舞花には、ボクがいるじゃないか」
胸を張ってボクが言うと、
「じゃあ、俺は?」
と、みっちゃんが言う。
「うーん。お払い箱?」
「酷い。そこはせめて、トリオになろうと言ってくれ」
舞花は腹を抱えて笑いながら……そして泣いていた。
その夜、舞花はボクのベッドで一緒に寝た。
ほぼ朝まで語り明かした
「まこと、起きろ」
昼過ぎに、みっちゃんが起こしに来た。
舞花に遠慮しているらしく、いつもなら部屋に入ってきて強制的に起こすけど、今日は部屋の外からだ。
「な……に?」
半分寝ぼけた返事をする。
「まこと、仕事だ」
久しぶりの仕事。
何となく力が入る。
「すぐ行く」
舞花にいいところを見せたいボクは、すぐに起きて準備をした。
* * *
「まこと、少し休めたようね。そろそろ仕事よ」
あきなママは、少し落ち着いた声で言った。
「もう大丈夫だよ」
「そう。よかったわ。じゃあ、仕事の話をしましょう」
ママは仕事の話に入った。
「今度の仕事は、決まったターゲットがいないの」
「複数?」
「それも分からない。最近、情報が漏れているの」
ママは少し間を置いた。
「つまり……スパイがいるみたいなの。それで、私が一番信用できる人間。貴方たちにスパイを狩ってもらいたいの」
「スパイ? 本当にいるの?」
「そうね。日本はスパイ天国だから、どこにいてもおかしくないわ」
「具体的には、どうすればいい?」
みっちゃんが詳細を詰めてくれる。
「私、アリサ、貴方たちに近づいてくる不審な人物を探って。そして、明らかに疑わしい人間は始末して。単純な仕事よ」
「分かった。取りあえず調査しよう」
そしてボクたちはSuiteKissⅡを出て、仕事の段取りに入った。
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