フレンド4
「まこと、お前、分かっているのか?」
「何が?」
「ここは、ただのマンションじゃないんだぞ。ここはアジトだ」
みっちゃんは反対のようだ。
「だから?」
「ここには、一般人が見ちゃいけないものだってあるんだぞ」
「で? そんなの、あの部屋に入らなきゃいいだけのことじゃないか」
ボクは食い下がる。
「だとしても、あきなママに知られたら、どうするんだ?」
「みっちゃんが言わなきゃ、分からないよ」
「いや、俺が言わなくても、ママには分かるだろうな」
ボクはイライラしてきた。
「じゃあ、みっちゃんは反対なんだね。理由も聞かないで反対なんだね」
「その理由は何なんだ?」
「まだ……聞いていない……」
少し冷静になったボクたちは、舞花の話を聞くことになった。
ボクたちはリビングに戻ると、
「舞花、家を出た理由をボクたちに聞かせてくれない?」
「そうだよね。理由もなく、家に泊めてなんて言えないね」
舞花は話し始めた。
「六月に○○高校で、男子が転落死した事件、知っている?」
「うん。確か、同級生の目の前で死んだって話」
「……」
「まさか?」
「そう……その同級生が、あたし」
舞花は言いづらそうに口を開いた。
「あの日、あたしは同じクラスの、よく名前も覚えていない男子に呼び出された。
アタシは呼び出されたとき、行く気はなかった。でも、来なかったら秘密をばらすと言われて、仕方なく屋上に行った……。
屋上に上がったあたしに、彼は……」
「秘密をばらさないから、俺と付き合え」
そう言われた。
あたしは何のことか分からなかった。
「でも、彼は写真を見せてきた……。それには、二年生の時に犯した、たった一度の過ちが写っていた」
ボクもみっちゃんも、沈黙したまま聞いていた。
「たった一度の過ち……万引きしたときの写真を撮られていたんだ。
あいつは二年生で同じクラスになった時から、あたしのことが気になって、ストーカーのようなことをしていた。
あたしは頭が真っ白になった。
何故なら、推薦で大学に行くつもりでいたから……」
舞花は一度言葉を切った。
「動揺しているあたしに、あいつは腕を掴み、急に抱きついてこようとした。
あたしは手を振り払って、一度逃げた……」
「いいんだな!」
「あいつの一言にひるんだあたしに、もう一度捕まえようとしてきた。
必死でよけたら、あいつは勢い余って柵を乗り越え、下まで落ちた。
下では悲鳴とか聞こえたけど、あたしはパニックになって、その場を逃げるように去った」
舞花によると、その後、職員室に呼び出され、教師や警察から事情を聞かれた。
そこでは、万引きのことは黙っており、告白を断ったら飛びかかってきたので、それをよけたら落ちたと話した。
しかし、後からその少年の家から万引きの写真が見つかり、警察に呼ばれて事情聴取を受けた。
かなり疑われていたが、嫌疑不十分で解放された。
「だけど、殺したと一度疑われたら、いつの間にか学校中に噂が広がって、とても居られなくなって、学校を辞めたんだ」
そうして、家族も信じてくれず、家出に至ったとのことだった。
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