フレンド2
「アタシは舞花、そこの高校卒業し損ねて今は無職。よろしくね」
「ボクはまこと。フリーター、いや、ニートかな」
ここ最近、そんな生活をしていたから。
「へーっ、で、どっちなの?」
「なにが?」
「男? 女?」
「そんなの……どっちだっていいじゃん」
「ごめん、気に障った? 気になったら聞いちゃう性質なんだよね」
悪気は無さそうだ。
「生物学的には女。あとはよく分からない」
「そっか。で、今は暇?」
「うん。特にすることはないよ」
「じゃあ、カラオケでも行こうよ」
ボクたちはカラオケに行くことにした。
カラオケたぬき猫。日本全国に店舗を展開するカラオケチェーン。
飲食物の持ち込みができる店舗が多く、料金も比較的利用しやすい。
学生向けの割引や、24時間営業の店舗もあり、幅広い世代に利用されている。
ボクたちはジャンクフードを山ほど買って、一晩中歌った。
朝になるころには、すっかり仲良しになっていた。
「まこと、じゃあまたね」
「うん。また」
ボクらはSNSのアカウントを交換して帰っていった。
家に着いたのは朝の6時。
みっちゃんは朝ごはんの準備をしていた。
「まこと、お帰り」
みっちゃんは、特にどこに行ってきたかなんて詮索はしない。
「ただいま」
昨日までなんにもしゃべらなかったのが、ひどく子どもっぽかったと思った。
「じゃあ、おれはバイトに行ってくる」
「行ってらっしゃい」
みっちゃんは出かけて行った。
部屋に行くと、綺麗に片づけられていた。
* * *
夕方近く、舞花からSNS、LAMINで連絡が来た。
「これから遊びに行かない?」
ボクはすぐに、
「OK どこ行く?」
と返信した。
「新宿は?」
「いいよ、じゃあ西武新宿駅前の宝くじ売り場前で」
新宿はボクの庭だ。
どこ行こうかな……と思っていると、みっちゃんが、
「少しは気晴らしができているか?」
心配そうにしている。
「うん。大丈夫」
と答えた。
みっちゃんは、多分また一人で何かしらの仕事をしてくれてるんだろう。
心の中では「ごめん」とつぶやいて、ボクは舞花の所に行った。
西武新宿線新宿駅の宝くじ売り場の前は、小さな広場になっている。
ボクがスマホでゲームをしていると、手を大きく振って舞花がやってきた。
「待った⁉」
舞花は息を切らせながら、満面の笑顔で聞いてきた。
「ううん、そんなに」
ボクが答えると、ホッとしたようだった。
「で、今日は何しようね?」
「ゲームセンターはどう?」
舞花の問いに、ボクの知っている唯一の選択肢を提案した。
「いいね」
舞花の答えに、今度はボクがほっとした。
でも、ただのゲームセンターではなく、XRの空間でゾンビを倒すゲーム。
銃を持ってその部屋に入ると、そこは近未来の廃墟になっていた。
実際の部屋にデジタル映像が重なり、目の前に建物や瓦礫、そしてゾンビまで現れる。
周囲を見回すと、本当に廃墟の中にいるような感覚になる。
「キャー、なにこれ、すごい」
舞花は初めての体験に喜んでくれた。
舞花も運動神経がいいのか、反射神経がいいのか、ゲームの呑み込みも早い。
ボクは自分で言うのもなんだけど、持ち前のゲームの才能で、二時間ゲームを独占し、ゲームが設置されて以降最高のハイスコアを叩きだした。
いつの間にか、野次馬が集まっており、スクリーンに映し出されているボクらにくぎ付けになっていたみたいだ。
最後は舞花がミスをしたのだけど、その時は周囲から大きなため息が聞こえた。
「まこと、足引っ張ってごめんね」
舞花が本当に悪かったというような顔をしていた。
「えっ、たかがゲームじゃん」
ボクは本当に気にしていなかった。
その日はモックバーガーを食べて解散した。
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