フレンド1
Su-Suが息を引き取ってから一週間。
ボクは部屋に引きこもって、ゲームをしていた。
誰とも顔を合わせたくなかった。
みっちゃんとも……。
食べ物は袋に入った珍味や、ポテチなんかのジャンクフード。
トイレ以外は部屋の外に出ない。
着替えもしないし、お風呂なんてずっと入っていない。
ポテチの袋、ジュースのペットボトル……部屋は散らかり放題。
ひたすらゲームをして、寝る。
ゲームして、寝る。
それの繰り返しだった。
みっちゃんは時折、外に出てしばらく帰ってこない。
多分、バイトをしているのだろう。
ある日の昼過ぎ、みっちゃんが仕事を終えて帰ってきた。
コン、コン、コン。
みっちゃんがドアを叩く。
ボクは気づいていたけど、無視した。
コン、コン、コン。
「まこと、入るぞ」
みっちゃんが入ってきた。
ボクはあえて無視していた。
別に、みっちゃんが何かしたわけでもない。
何となく……反抗したくなっただけだ。
「まこと!」
とうとう、みっちゃん切れたかな?
「おまえ、臭うぞ」
そう言うと、みっちゃんはボクの首根っこをつかんで、バスルームに放り込んだ。
仕方なくシャワーを浴びて、脱衣場に出る。
そこには新しい着替えが置いてあった。
髪を乾かして着替えると、バスルームを出る。
すると、みっちゃんが今度は財布とスマホ、それにアジトの鍵をボクに渡した。
「少しはお日様に当たってこい」
そう言うと、みっちゃんはボクを家の外に追い出し、チェーンロックをかけた。
ボクは仕方なく、街をぶらぶらすることにした。
新宿の街をぶらぶらしていると、都営大江戸線の新宿西口駅を通りかかった。
何となく地下に降りて、地下鉄に乗った。
気がついたら、実家に近い終着駅の光が丘まで来ていた。
光が丘の商業施設を抜けると、公園に出る。
光が丘公園は、練馬区光が丘にある都立公園だ。
もともとは飛行場だった広大な敷地には、大きな芝生広場があり、サクラやケヤキなどの大木が点在している。
公園内には野球場やテニスコート、陸上競技場などのスポーツ施設も整備されている。
休日には区民だけでなく、近隣の市区町村からも多くの人が訪れる。
木々に囲まれた遊歩道や池、バードサンクチュアリもある。
都会にありながら、豊かな自然を感じられる場所だ。
遠くからトランペットの音が聞こえてくる。
ここでは、誰もが思い思いの時間を過ごしているみたいだ。
秋晴れの中、ボクは公園をぶらぶらしていた。
一回りすると、空が茜色に染まり始めた。
ボクは公園の外れにあるベンチに座る。
ポケットから電子タバコ(VAPE)を取り出すと、
「スーッ、ハーッ」
大きく吸い込み、ゆっくりと吐き出す。
そして、一息ついた。
Su-Suが死んだのは悲しいし、後悔もあるけど……。
なんだか、悩んでいることがどうでもよくなってきた。
そんなことを考えていると、
「キミ、キミ、ここは禁煙だよ」
後ろから声をかけられた。
「ご、ごめんなさい」
あまりに唐突だったので、ついつい謝ってしまった。
振り返ると、白い小さめのTシャツにベージュのシャツを羽織り、デニムのショートパンツに白い厚底スニーカーを履いた、茶髪の女の子が立っていた。
「プッ……ププーッ。ごめんごめん。でもキミ、小学生から喫煙なんて、背が伸びないぞって……大人?」
声をかけてきた女の子は、ボクが大人だと知って驚いた様子だった。
「ボクはいちおう大人。19歳だけど。しかも、これVAPEだからタバコじゃないし」
ボクは、ひとこと言い返したかった。
「ほんとゴメンね。小学生がタバコ吸ってると思ったから、ついついからかってみたかったの」
女の子は、両手を合わせて謝っていた。




