子どもを売る悪い奴。20
十三時、午後の作業が開始になる。
入り口のチェーンが外される。
みっちゃんのトラックは計量器に乗る。
「エンジンを止めてください。今日はアルミ缶ですか?」
受付がスピーカーで聞いてくる。
「はい。現金で買取お願いします」
みっちゃんはエンジンを止めて答えた。
「手前から二番目の山にお進みください」
みっちゃんのトラックはアルミ缶の山のところに車をつけ、再びエンジンを止めた。
パワーショベルのアームがゆっくりと動き、その先端のグラップルが大量のアルミ缶をつかみ取る。
最後に、尖った爪を持つハサミのようなグラップルが毛布をつかみ、荷台を拭うように動きながら、残ったアルミ缶をきれいに落としていく。
再度計量すると、1トンを少し切る重さだった。
「車を空いているところに移動して、事務所に来てください」
そう言われ、みっちゃんは指示に従って事務所へ向かう。
それに合わせて、ボクはカメラの死角からそっと入り口に近づく。
事務所では男が、
「九百九十九キロです。惜しいですね。三十二万九千円です」
男は目の前で現金を数え、封筒に入れる。
口には出さなかったけど、この時みっちゃんは、意外とお金になると思ったらしい。
みっちゃんはお金を受け取ると、受け取りのサインを求められた。
みっちゃんはペンを取るふりをして懐に手を入れる。
そして、シグザウアーP320を取り出した。
「敵だ!」
一人が叫び、皆が一斉に銃を取る。
「遅い!」
みっちゃんは次々に銃を向ける。
それを合図に、ボクは事務所の入り口から入り、奥の階段を駆け上がって三階へ向かう。
一階は、みっちゃんがすぐに制圧した。
外の作業員たちは、まだ異変に気づいていない。
重機の音が、銃声をうまくかき消してくれている。
みっちゃんもボクに続いた。
ボクは三階へ真っ直ぐ。
みっちゃんは二階を確認する。
手筈通りだ。
二階には誰もいない。
みっちゃんは防犯カメラを壊しながら進む。
ついでにエレベーターにも細工をして、扉が閉まらないようにする。
これで奴らはエレベーターを使えない。
ボクが階段で三階に差しかかると、ようやく相手も異変に気づいた様子だった。
ドアから様子を伺っている。
ボクの姿を見ると、マシンガンを撃ってきた。
バババババババン!
けたたましい音が響く。
男たちが手にしているのは、イングラムM11。
小型で無骨な短機関銃だ。
華美さはない。
だが、銃を構える男たちの動きには一切の無駄がない。
その姿だけで、ただ者ではないことが伝わってくる。
階段の上り口は廊下に直角に取り付けられているので、身を隠すことはできる。
けど……。
キーン!
パシッ!
「イッ!」
跳弾が掠め、脇腹にうっすらと血がにじむ。
「まこと、大丈夫か?」
追いついたみっちゃんが、心配そうに声をかける。
「大丈夫。かすっただけ。でも、近づけないよ」
ドアは開いている。
「うん」
みっちゃんは三階角の防犯カメラを撃ち壊すと、リュックの中から何かを取り出した。
「こんな時のために持ってきていたんだ。これを付けろ」
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