子どもを売る悪い奴。18
二階は、本当に雑多なものを積み上げたスペースになっていた。
ホコリもたまっている。
どうやら、ほとんど使われていないみたいだ。
荷物の影になったところに、ちょうど小窓があり、事務所の入り口が見えた。
ここに隠れて、マリアがいるのか見張ろう。
ボクは少し仮眠をとった。
三時間くらいだろうか?
ボクはトラックの音で目が覚めた。
午前二時。
倉庫の扉が開けられ、中に四トントラックが入ってくる。
四トン箱車の後ろのドアが開かれる。
十三人の子どもが連れてこられた。
そのうち四人は日本人だ。
残りの子どもたちは、アジア系、ヨーロッパ系、アフリカ系と様々だ。
どこかの変態に高く売るんだろう。
みんな目隠しされ、手錠もされている。
四人の男たちに地下へ連れていかれる。
声を上げる者はいない。
どうやら、これまでに何度も殴られたり、蹴られたりしたんだと思う。
恐怖での支配……。
助けたい。
でも、今は何もしない。
まずはマリアを見つけなければ。
男たちはトラックを倉庫内に置いたまま、事務所に向かう。
マリアはいるのかな?
男たちは三階に向かう。
ボクは後をつけた。
三階には男が一人いて、その男に報告している。
「大島さん。今回は十三人です」
「おい、十四人じゃなかったのか?」
「それが、船便の十人のうち一人が死んでました」
「病気か?」
「栄養失調で……」
「チッ、商品なんだから大事に連れてこいって言っていたのに。だから中東の船は……」
大島という男は舌打ちをしながら、文句を言う。
「まさか……おめーら、騙されたんじゃないだろうな」
「し、死体は確認しました」
「外傷はありませんでした」
男たちが必死に言う。
「明日、ボスが来たらどやされるぞ」
大島が言った。
大島は、ここのチームのリーダーだろうか?
たぶん、ボスがマリアなんだろう。
ボクは軽く事務所を確認しながら、倉庫の二階に戻った。
事務所の一階は、完全に産業廃棄物会社の事務所。
二階は従業員、つまり手下の宿泊施設。トイレとシャワーも完備している。
三階は大島の部屋と、その隣がおそらくマリアの部屋。
でも、ここは拠点の一つに過ぎないんだと思う。
人身売買組織の本部としては、お粗末だから。
ボクはここで、途中経過をみっちゃんに報告した。
「じゃあ、明日にはボス……多分、マリアが来るんだな」
「うん。みっちゃんの方は準備OK?」
「ああ、こっちも抜かりない」
「じゃあ、明日ね」
そう言って、ボクは通信を切った。
夕方、ハンバーガーを食べておいてよかった。
お腹は空いていない。
もう少し仮眠しておこう。
ボクはもう一度、仮眠をとった。
その頃、みっちゃんは銃の手入れをしていた。
シグザウアーP320。
傭兵訓練以来の愛銃だ。
分解してオイルを差しながら、一つひとつ丁寧に組み直していく。
柏ノ葉を始末しに行った後、バレルを交換した。
線条痕を違うものにするためだ。
ただ、そのせいか、少し銃の癖が変わった。
今までは発砲すると反動で右に跳ね上がっていたが、今度は真上に近い。
「明日は、この癖を考えて撃たなくっちゃな」
みっちゃんは独り言のようにつぶやいた。
そして、みっちゃんも銃を組み上げると、明日に備えて仮眠を取った。
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