子どもを売る悪い奴。14
SuiteKissⅡに残ったみっちゃんは、あきなママと話をしていた。
「みっちゃん。ああは言ったけど、今回はちょっとまずいわよ」
「今回は俺も賛成したから……」
「そこは非情にならなくちゃ。こういうとき、貴方が止めないと、まこと自身が危険に晒されるのよ!」
ママはかなりきつく言ったみたいだ。
「でも、助けたいという気持ちすら無くなったら、まことは本当に人でなくなってしまう」
みっちゃんは珍しく反論したみたいだった。
「でも貴方たちは、殺し屋。忘れないで!」
みっちゃんの言葉に、あきなママは少し苛立ったみたいだった。
ママは大きく息を吐いてから、
「次は無いわよ」
と、強くひと言言った。
* * *
夕方近くになって、みっちゃんが病院までやってきた。
「どうだ、容体は?」
みっちゃんも心配そうにしている。
「少し熱が下がらないんだ……。油断できないって」
「そうか。じゃあ、アジトには?」
「無理みたい。今日は泊まっていいって、ヤブ医者が」
「珍しいな」
「でも……特別料金だって」
「いくらだ?」
「経費別で一千万円」
みっちゃんの顔がゆがむ。
「まこと、俺には金がない」
「分かってるよ。みっちゃんの報酬は、生活費以外みんな借金に充てているもんね」
「すまん」
みっちゃんは、本当に申し訳なさそうにしている。
「だいじょうぶ。ボクがもらった報酬で何とかするよ。みっちゃんのおかげで、少し節約もしていたしね」
そこにヤブ医者がやってきた。
「少し治療が遅かった。敗血症になっている」
敗血症……細菌やウイルスなどによる感染症をきっかけに、体の免疫反応が暴走し、自分の臓器を傷つけてしまう重篤な状態のこと。肺炎や尿路感染症、腹膜炎、傷口の感染などが原因になることがある。Su Suの場合、汚れたナイフで斬られた傷から感染したのが原因……なのかな。
進行すると血圧が低下し、呼吸不全や急性腎障害、意識障害などを起こすこともあるらしい。
「そんな。どうすればいいのさ⁉」
「大きな病院には行けないんだろ。ここでできる限りのことはする。だが、期待はするな」
ヤブ医者は言い放った。
「おい! ヤブ医者! 絶対生かして、生かしてよ!」
いつも人を殺しているボクが、「生かしてくれ」なんて言うのは、後で考えるとおかしなことだけど……。
この子だけは、生かしたい。
「ちっ、しばらく閉院だ。その分の費用は全部払ってもらうからな」
ヤブ医者はそう言うと、二人いるスタッフに指示を出した。
「みつ、お前はドレーンチューブと不織布を調達」
「分かった」
「おい、まこと。お前は薬の調達だ。もう昇圧剤と抗菌薬の在庫がない。取ってこい」
「行ってくる」
二人は同時にクリニックを出た。
ボクは中野区にあるモグリの薬局、白髭堂に向かった。
電車での移動。
もどかしい。
こんなときに……真面目に免許を取っておけばよかったと後悔した。
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