子どもを売る悪い奴。6
ぶらりと下見をしたボクらは、明日は居住エリアを本格的に調査することにした。
みっちゃんには、何か考えがあるらしい。
「任せておけ」
というので、準備はみっちゃんに任せて、ボクは寝ることにした。
この間の真室川の二の舞にならないように、部屋は当然、別々で……。
朝。
「まこと、起きてるか?」
みっちゃんが起こしに来る。
「何時?」
「七時だ」
「早いよ。もう少し……」
ボクは二度寝をしようとした。
「ハイハイ、仕事。シゴトの時間」
「みっちゃん、楽しそうだね」
絶対、何か企んでる。
みっちゃんが準備したのは、登山用の衣類や靴一式だった。
「みっちゃん。山でも登るの?」
ボクが聞くと、
「それもある」
なんだか、もったいぶっている。
「じゃーん。この道具を見よ!」
リュックから取り出したのは、ハンマーや先の尖った金属の棒が入っていた。
「何なの? また撲殺?」
いまいち、何をしたいのかわからない。
「違う。俺たち、お・や・こは週末を利用して、化石を採取しに来たことにして、ファームの周辺を探索するんだ」
「いや、みっちゃん、それ、化石を取りたいだけでしょ。ねえ、そうだよね?」
「バレたらしょうがない」
バレないわけはない。
「仕方ないなー」
ボクは付き合うことにした。
ホテルで急いで朝食を食べ、着替えを済ませて、柏ノ葉ファーム近くの秋山川の河川敷に到着したのは、午前九時を回っていた。
「まこと、着いたぞ」
車を降りると、早速、河原で化石を採取していく。
みっちゃん曰く、この辺りは化石の採取がオーケーらしい。
あまり疑われずに行動できると、自信満々だった。
石を割っては、リュックに詰めていく。
「それ、ホントに化石なの?」
「そうだ」
「見た目、ただの石だけど」
みっちゃんが自信満々に石に水をかけると、小さな何かが浮かび上がってきた。
「フズリナだ。古生代に生息していた単細胞の原生生物で、今からおよそ三億年前から二億五千万年前くらいに生きていたんだ」
「へー、意外とおもしろい」
ボクも暇なのでやってみる。
「みっちゃん、なんか違うのが出てきたよ?」
「それはウミユリだな」
軽くリュックいっぱいに詰めると、みっちゃんが言った。
「じゃあ、そろそろ本業といくか」
「あっ、仕事、忘れてたんじゃなかったんだね」
「えっ、本当に遊んでると思ったのか?」
「うん」
ボクは本気で思っていた。
「これはいわば、アリバイ作りのようなものだ」
どうやら、人と出くわした時のためだったみたいだ。
疑ってごめん……。
みっちゃんはジュラルミンケースを取り出し、岩陰に隠れた。
ジュラルミンケースの中には、ドローンとモニターが入っていた。
うまく岩を崩し、化石を掘っているように見せかけながらドローンを飛ばすようだ。
ボクは近くで河原の石を、ハンマーと長い鉄の棒(それはタガネというものだと、あとで知った)を使って割っているように見せかけながら、周囲を警戒した。
岩の影から、居住エリアに向かってドローンを飛ばす。
小型のドローンながら、性能はかなりいいみたいだ。
モニターには、柏ノ葉ファームの様子がかなり詳細に映し出されていた。




