子どもを売る悪い奴5
葛生方面に向かい、秋山川を越えて柏ノ葉ファームに着いたのは、午後三時くらいだった。
柏ノ葉ファームは、大きく五つのエリアに分けられている。
一つ目は、子牛や羊、ヤギ、アルパカなどの大人しい動物に触れられるエリア。
二つ目は、レストランや売店、宿泊施設のエリア。
三つ目は、乳製品などの食品加工エリア。
四つ目は、牧場エリア。
そして五つ目は、居住エリアだ。
今の時期なら、レストランエリアを除いて十八時まで営業している。
レストランや売店は二十一時まで。
宿泊施設は、「研修センター」という名目らしい。
各エリアには、それぞれ駐車場が用意されている。
ボクたちは、先に閉まってしまうかもしれない動物ふれあい広場に向かった。
「まこと、アルパカがいるぞ」
みっちゃん、なんだか楽しそう。
「そうだね」
逆にボクは、あまり興味がない。
そこそこ広い広場には、百頭もの動物がいる。
子どもたちが楽しそうに遊んでいる。
ここは隠れる場所もあるけど、動物が騒ぐから駄目だろうね。
すぐにパスする。
みっちゃんは、少し残念そうだ。
次に牛舎へ向かう。
牛の臭い。
そして、牛舎を消毒するクレゾール消毒液の臭い。
これが牧場の臭いだ。
クレゾールの臭いは苦手だ。
でも、飼料置き場や納屋など、隠れる場所は豊富にある。
特に納屋には、使えそうなものがたくさんある。
隠れるなら、ここがいい。
次に工場へ向かった。
工場は二十四時間操業らしい。
ひっきりなしにトラックが出入りしていて、かなり繁盛しているのが分かる。
工場を見ていると、声をかけられた。
「お客さん。工場見学はもう終わってます。また来てください」
どうやら、長居しすぎたようだ。
ボクたちはレストランエリアに行くことにした。
レストランは、チーズや肉料理をメインにしている。
「何か食べるか?」
みっちゃんが聞いてくる。
「いや、いまはいいや」
ボクは、さっき食べた裂きイカと佐野ラーメンで、お腹に余裕がなかった。
最後に居住エリアへ向かった。
そこには、約二十世帯が暮らせる社宅と、その奥にひと際大きな屋敷がある。
あの屋敷が、柏ノ葉の住んでいるところだ。
遠目に見ていると、屋敷とは別に、離れのような建物が見える。
「怪しいね」
「ああ」
ボクもみっちゃんも、その一つの建物に注目した。
「まこと、あそこ」
みっちゃんが指をさす。
「ドーベルマン?」
「ああ」
「チョット厄介だね」
離れの周りには番犬……ドーベルマンが数匹放たれていた。
「こりゃあ、いろいろ考えなくちゃならないな」
「しっかりと調査しないとね」
今日はここまで。
ボクたちは一度佐野市街へ戻り、対策を考えることにした。




