子どもを売る悪い奴4
栃木県佐野市。
関東平野の北端に位置する。
南側は平坦な農地が多いが、北側は山林が多い。
北関東自動車道と東北自動車道が交差する交通の要所で、プレミアム・アウトレットというショッピングモールもある。
ボクとしては、佐野ラーメンのほうが興味があるけど……。
東京から車で二時間ほど。ボクたちは佐野市に着いた。
「みっちゃん、おなかすいた」
「えっ、さっき一人で裂きイカの燻製を一袋食べたばっかりじゃないか」
「どこに行っちゃったんだろうね」
ボクはとぼけてみる。
「俺は、お前のその小さい体のどこに入るのか不思議でしょうがないよ」
「じゃあ、せっかくの佐野だし、佐野ラーメンでも食べるか?」
「やったー!」
さすが、みっちゃん。
ボクのことを分かっている。
「でも、若いうちから塩分の摂りすぎだと、俺みたいになるぞ」
「大丈夫。塩分を排出するサプリ飲んでるから」
「そんな便利なものがあるのか?」
「むくんじゃうから飲んでるんだー」
ボクたちは、青竹手打ち麺で有名な店に入った。
佐野ラーメンは、青竹に体重をかけて生地を延ばし、包丁で切る伝統的な製法が特徴だ。
そのため、麺の太さが少しずつ違い、独特の縮れもある。
スープがよく絡み、コシがありながら、滑らかな喉越しも楽しめる。
醤油ベースのスープは透明感があり、鶏ガラや豚骨などを使った、すっきりとした味わい。
チャーシュー、メンマ、ネギ、ナルトなど、具材もシンプルだ。
後味も軽く、毎日でも食べられそうな味だった。
相変わらず塩分制限中のみっちゃんはスープを残したが、ボクは最後の一滴まで残さず飲んだ。
お腹がいっぱいになったところで、少し眠いけど、柏ノ葉が経営する農業生産法人に向かおう。
……って、ボクは寝てるだけだけどね。
秋山川を遡るように進むと、葛生地区に到達する。
ここは、日本有数の石灰岩の採掘場がある場所だ。
そして、ここでは化石も採れるらしい。
「まこと、帰りに川で化石を採ってもいいかな?」
「えー、終わったらさっさと帰ろうよ」
ゲームがしたいボクは、帰りたいアピールをする。
「どうしてもだめか?」
「ハイハイ。仕事が先ね。その後考えよう」
いつものボクとみっちゃんのセリフが、逆になっちゃった。
葛生の町を越えていくと、家や店はぐっと少なくなってくる。
田畑や山林が多くなり、東京からそんなに離れていないのに、まるで別の世界のようだ。
そんな丘陵地帯に、一軒の大きな農業生産法人があった。
会社の名前は、柏ノ葉ファーム。
チーズやケーキ、アイスクリームなどの乳製品を中心に製造・販売し、栃木県内だけでなく、日本全国に商品を出荷している。
表向きは、成功した農業経営者。
しかし、その社長である柏ノ葉には、誰にも知られてはいない裏の顔があった。




