ニッコリ笑って人を斬る。3
アジトは新宿3丁目にある築30年のマンション。
そこから、花園通りを抜けて新宿2丁目にある事務所に向かう。
夜の新宿2丁目。
酔っ払いと、客引きのニューハーフたち。
何とも言えない不思議な空間だ。
そんな中を、普通の顔して歩いている殺し屋二人。
目的の事務所まで10分かからなかった。
雑居ビルの2階にあるニューハーフバー「SuiteKissⅡ」。
店に入ると、
「あら、みっちゃんじゃな~い。待ってたわよ。ウフッ」
「あきなママおはよう」
みっちゃんが答える。
「僕もいるんだけど。
自己主張してみる。
「あら、まこともいたの小さくて見えなかったわ」
「ずいぶんみっちゃんと態度が違うじゃないか」
「メスガキには用はないわ」
ずいぶんな言われ方だ。
「まあ、まあ、それより仕事入っているんだろ」
すかさずみっちゃんが間に入る。
「ええ、奥の部屋に来て」
バーのカウンターの奥にある部屋に入る。
事務所とは言うが、その部屋はママの趣味だろうか高級家具が並んでおり、小さいながら大企業の応接室みたいだ。
あきなママは奥。僕とみっちゃんはその対面に座る。
「で、今回のターゲットは?」
みっちゃんが尋ねる。
「いつもとちょっと毛色の違うターゲットよ」
「違うって?」
ボクは黙っていようかなと思っていたけど、ついつい聞いてしまった。
「今川武志。33歳」
あきなママが写真を指で軽く叩いた。
「魔眼天使というストリートギャングに所属している男よ」
写真に写っているのは、いかにもドチンピラといった感じの男だった。
「ストリートギャング?」
みっちゃんが写真を手に取る。
「ええ。主に薬を扱っている連中ね。今川はその中でも、若い女の子をターゲットにしているわ」
「若い女の子って?」
「中高生よ」
あきなママの声が少し低くなる。
「違法薬物をばらまいて、薬漬けにする。そのあと、売春させて金を稼いでいるわ」
「……最低だな」
みっちゃんが写真をテーブルに戻した。
僕はもう一度、写真を見る。
なるほど。
結局、こいつも若い女の子を食い物にしているクソ野郎というわけだ。
そう思った瞬間、口元が緩んだ。
「まこと、顔」
「え?」
「また笑ってるぞ」
「だって、面白そうじゃん」
「仕事だぞ」
「分かってるよ」
でも、どんな死にざまを見せてくれるのか。
そう考えると、どうしても口角が上がってしまう。
「……本当にお前ってやつは」
みっちゃんが呆れたようにため息をついた。
「でもね、今回はいつもとちょっと勝手が違うのよ。あなたたちにできるかしら?」
あきなママがちょっとどうかなというような表情で言った。
いつもは、独り舞台の台本を書いているので、どうしてもセリフ中心になってしまいます。舞台だと演技で表現できるけど。文章ですべて表現するのは難しいですね。




