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まことはニッコリ笑って人を斬る。  作者: ほりーⅯ


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14/40

ニッコリ笑って人を斬る。14

 そんなボクの一部始終を見ていた人がいた。

「あーら、先を越されたじゃない。ミッション・インコンプリートよ」

 あきなママだ。

「でも、いいもの見せてもらったわ。アンタ、高校生?」

 ボクの頭に、ママの言葉は入ってこない。

「何があったかは知らないけど、人殺しはよくないわ。まあ、殺し屋の私が言うことではないんだけどね」

 ボクが反応しないので、あきなママはお手上げのポーズをとる。

「まあ、アナタ気に入ったわ。とりあえず、ここに長居してはダメよ。私と一緒にいらっしゃい」

 悪意がないことだけは分かったので、ボクはついていった。

 ついていった先は、新宿二丁目のニューハーフバー「SuiteKissⅡ」だった。

 少し落ち着いたボクは、いきさつを話した。

「アナタには選択肢が二つあるわ。一つは自首して罪を償うこと。そして、もう一つは私たちの仲間になること」

 ママによると、一つ目の選択肢を選ぶと、人を殺したことが公になる。

 未成年だから罪は重くはないが、家族もろとも指を指されることになる。

 そうなれば、母親や妹は今のところに住むこともできない。

 二つ目の選択肢は、全てをなかったことにする。

 親にも妹にも何も影響がない。

 家族は今まで通りの生活ができる。

 その代償として、同じ組織に入る。

 「アナタ、人殺しを楽しんでいたわ。本当の自分でない自分に酔いしれていたわ」

 その言葉を聞いても、ボクは何も答えなかった。

 ただ、あの男を殺した瞬間のことだけが、頭から離れなかった。

 怖かったはずなのに。

 憎かったはずなのに。

 あの瞬間だけは、ボクは自分ではない誰かになれた。

 こうしてボクは、殺し屋になった。

 ………自分ではない自分になるために。

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