ニッコリ笑って人を斬る。13
ボクのことを、演出家で学校の理事でもある男が呼び出した。
ボクは先輩たちと同じく、劇団に呼んでもらえるんだと思い、喜んで行った。
劇団の事務所。
「君を劇団に入れてあげよう」
「本当ですか?」
「ただし、そのためには……条件がある」
男は、劇団に入る代わりにボクの体を要求してきた。
よくある話だけど、ボクは拒んだ。
すると男は豹変した。
その後は、男の臭い息と痛さしか覚えていない。
口惜しさと、情けなさでボクの心は壊れてしまった。
どうやって家に戻ったかも、覚えていない。
家に閉じこもり、親には風邪と言って学校を休んだ。
気が付いたら、フリマサイトでナイフを買っていた。
キルクエストで初めてドロップしたアイテム、アルマーのシーア。
ボクはナイフを持って、男の事務所に向かった。
劇団の事務所には、幸か不幸か、その男一人しかいなかった。
「また来たのか」
男は、自分から身を捧げに来たと思ったのか、下卑た笑みを浮かべて近づいてきた。
「うん」
ボクもニッコリ笑って、男が近くに来た瞬間。
ナイフを首筋に突き立てた。
首から血を吹き出して、転がり回っている男。
それを微笑んで見ているボク。
そのとき、ボクは本当に、自分でない自分になった。




