ニッコリ笑って人を斬る。11
黙って報告を聞いていた、あきなママ。
報告をすべて聞き終えると、口を開いた。
「まず、みっちゃん。あなたのことから」
ママは一呼吸置くと、
「あなたがついていて、どうしてこんなことになったの? 冷静さがあなたの取り柄でしょう」
言葉の出ないみっちゃんを見かねて、ボクが、
「仕方ないよ。みっちゃん、実質、人を殺したのは初めてだったから……」
「アンタは黙ってなさい!」
すごい形相で怒られる。
「いや、俺が悪いです。まことが死ぬと思って、気が動転してたから。すみません」
みっちゃんが謝る。
「謝罪が欲しいわけではないわ。よく考えて。自分たちの何がいけなかったのかを」
「………」
何も答えられなかった。
「フーッ、いいわ。一から教えてあげる」
ママはもう一呼吸すると、
「まずは、相手を殺したか確認しなかったこと。いくらみっちゃんが柔道や空手をしていたとしても……いや、長く競技をしてきたからこそ、止めを刺すということができなかったのね」
「確かに、柔道や空手などでは残心と言って、倒した後も気を抜かないことになっているが、形だけだったかもしれない」
そう言ってみっちゃんは反省している。
「それが一つ。もう一つは、手順を無視したこと」
「手順……」
「そう。今川を死体袋に入れず、さらに拳銃の弾も抜かずに、一緒にキャリーケースに入れたわよね。その手順を無視しなかったら、二人が犠牲になることはなかった」
みっちゃんはうつむいてしまった。
ママがボクの方を向く。
「そして一番駄目なのは、まこと、アナタよ!」
ママの目がさらに吊り上がる。
「確かに、あの日アナタがあの豚野郎を殺したところを見て、私はアナタの才能とイカレた性格に惚れて、殺し屋にスカウトしたわ。でも、アナタ、それから何をしていたの? 技は磨かない。体力もつけない。ただただ怠惰な時間を過ごしていただけじゃない。仲間二人を殺したのは、あなた自身よ。何か反論できる?」
ママがボクの目をじっと見つめる。
そして、もう一言。
「アンタたち、今夜の閉店まで時間をあげるわ。それまで殺し屋を続けるか、よく考えて」
あきなママは、僕たちに背を向けた。
次回、いよいよまことの過去が明かされる。乞うご期待。




